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15章
朱里と3人のおチビさん
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朱里が竹で出来た笛をピーッと鳴らしながら、庭で紐を輪にして電車ごっこをしている3人の子供達に「出発進行~」と声を掛ける。
電車はこの世界にはないので、朱里は『馬車ごっこ』と呼んでいる。
ティルナールが先頭で紐を引き、エルシオンとルーシーが後ろで紐を持って歩いて行く。
11ヶ月を過ぎた頃から歩き始め、1歳半を過ぎてからはバラバラに動き回るので『馬車ごっこ』と称してなるべく3人を一緒に同じ方向へ歩かせるようにしている。
「女将亭を出発しましたー。お次は竜の癒し木下~」
馬車ごっこをさせながら朱里が駅員のアナウンスの真似事をして歩いてついていく。
「したー」
「したー」
「したー」
三つ子はトテトテと歩きながら声を揃えていく。
言葉は割りと周りが喋り回るせいで言葉を覚えている為にお喋りで、バラバラに喋る時は統一性は0で誰が何を言っているかは判らないが、こうして統一している時は三つ子だなぁと微笑ましく思う。
「はーい。竜の癒し木下ですー。お降りの方はいらっしゃいませんかー?では、出発進行~お次は大窯ピザですー」
「ぴじゃー」
「ぴっつぁー」
「ぴしゃー」
「おおぅ・・・。なんという発音の良い息子が1人いるのでしょう」
朱里が笑いながら竹の笛を鳴らして3人の子供達の後をまたついて歩く。
ピザ焼き窯の前ではハガネが魚とジャガイモを入れたパイ包み焼きを作っている最中で3人に気付くと着物の懐を漁る。
「ほれ。乗車手形だ。持ってけ」
3人に紐付き飴を渡し、手をグーパーさせながら見送り、朱里にも紐付き飴を渡す。
「あいあとー」
「あいあーと」
「おりあとー」
「ありがとー」
「おう。気ぃつけて行けよー」
ハガネが笑いながら4人を見送り大窯の火を調整する。
「大窯ピザのお次は~竜宿舎裏~少し木陰になっていますのでご乗車の皆様お足元にお気をつけくださーい。その前に一時停止でございまーす」
ピーッピッ
「皆様、飴は紐をお手々にぐるぐるしましょうねー」
朱里が3人の手に紐付き飴の紐をぐるぐると巻きつけて落ちない様にして、再び竹の笛を鳴らす。
「はーい。出発進行~」
ピーッ
「あーい」
「・・・はふ」
「・・・」
「あらま。ティル以外は飴をもう口に入れてるのね。コケない様にティルゆっくり出発してあげてねー」
「あい」
先頭とあってかティルナールは真面目に進むが、後ろの2人は飴に夢中なので気をつけなくてはと朱里が2人を見て歩いているとガサッと茂みに突っ込み、そのまま木の枝に髪留めが引っかかり「ふわぁあ!」と声を上げる。
「ううっ、私が事故を起こしてどうするのよ。ふぇー・・・絡まり過ぎ」
木の枝から無理やり髪を引っ張るとカチンと音がして髪留めが落ちて木の枝から茂みに落ちていく。
「ああん!どうして落ちるかなぁ・・・えーと、どこかなー?あっ、ティル!動かないでねー。一時停止ねー」
「あい」という言葉が聞こえないので茂みから顔を出すと、朱里の後ろで地面にお尻をついて3人共飴を食べるのに夢中になっている。
「あ、うん。よく出来たお子様達です・・・。母上は髪留め探すから、いい子に飴舐めててね」
再び朱里が茂みの中に手を入れて探し始めると、朱里の後ろで声がする。
「母上、何してるの?」
「母上、何かドジったの?」
「髪留めが落ちちゃったの~」
朱里の腰をヒョイとシュトラールが抱き上げて、茂みの中に獣化したリュエールが入り込み髪留めを咥えて獣化を解くと髪留めを清浄魔法で綺麗にして朱里に手渡す。
「ありがとー2人共」
「別にそれくらいは良いけど、母上3人共歩き始めてるよ」
「え?!今まで飴舐めてたのにー!」
「母上、頑張れー」
3人を追って朱里が駆けだし、リュエールとシュトラールが「慌ただしいね」「元気だよね」と笑って見送る。
朱里が3人に追いつくと3人は飴を口に咥えながら、テクテクとドラゴン達の住まいの建物の前を歩いて、木と木の間にハンモックを並べて甲羅干しをしているドラゴン達の下を歩いて行く。
風に揺られてハンモックの中で眠るドラゴン達は30cm程の小さな体にサイズを合わせて幸せそうに口をむにむに動かして寝ている。
「皆様~お静かに~シーッですよー」
朱里が指を唇につけて注意しながら歩くと3人は口の中の飴をコロコロと鳴らして返事の代わりに朱里に知らせて来る。
ドラゴン達のハンモックの昼寝場所を過ぎると、洗濯物を干している場所に出る。
洗濯物のシーツの下でミルアとナルアがレジャーシートを敷いてフリウーラの娘シレーヌと一緒に色とりどり刺繍糸でミサンガを作っている。
「はーい。シーツ広場は本日はお祭りの様です。皆さん美女が多いのでよそ見に注意ですよー安全に出発進行~」
朱里のアナウンスにミルアとナルアとシレーヌが笑いながら、ティルナール達に手を振り、ティルナール達も手を振ってテクテク歩いて行く。
「はーい。次は終点、女将亭前ですよー」
朱里と3人がテクテクと馬車ごっこをしながら出発地点の『女将亭』前に行くと、ルーファスが少し屈んで手を広げると朱里が笑顔で口を開く。
「皆様、ご乗車ありがとうございました。終点女将亭前です。本日は歓迎パレードでお出迎えです。お忘れ物の無い様に足元にお気をつけてお降りくださいませ~」
ルーファスに3人が手を広げて飛びつくと3人をまとめて抱き上げてルーファスが笑う。
「アカリ、ただいま。今日は随分と暴れ馬車だった様だな」
「あ、ちょっと木に突っ込んじゃって。事故です。ふふっ、おかえりなさい」
髪を整えて髪留めで髪をまとめると、ルーファスが朱里の頬にキスをして朱里もキスを返す。
子供達の手放した紐を拾って朱里が「さて、お家に入りましょうか」と女将亭のドアを開ける。
「ただいま」
「ふふ。ただいまー」
ふわっと優しい匂いが広がり、2人は顔を合わせて笑う。
電車はこの世界にはないので、朱里は『馬車ごっこ』と呼んでいる。
ティルナールが先頭で紐を引き、エルシオンとルーシーが後ろで紐を持って歩いて行く。
11ヶ月を過ぎた頃から歩き始め、1歳半を過ぎてからはバラバラに動き回るので『馬車ごっこ』と称してなるべく3人を一緒に同じ方向へ歩かせるようにしている。
「女将亭を出発しましたー。お次は竜の癒し木下~」
馬車ごっこをさせながら朱里が駅員のアナウンスの真似事をして歩いてついていく。
「したー」
「したー」
「したー」
三つ子はトテトテと歩きながら声を揃えていく。
言葉は割りと周りが喋り回るせいで言葉を覚えている為にお喋りで、バラバラに喋る時は統一性は0で誰が何を言っているかは判らないが、こうして統一している時は三つ子だなぁと微笑ましく思う。
「はーい。竜の癒し木下ですー。お降りの方はいらっしゃいませんかー?では、出発進行~お次は大窯ピザですー」
「ぴじゃー」
「ぴっつぁー」
「ぴしゃー」
「おおぅ・・・。なんという発音の良い息子が1人いるのでしょう」
朱里が笑いながら竹の笛を鳴らして3人の子供達の後をまたついて歩く。
ピザ焼き窯の前ではハガネが魚とジャガイモを入れたパイ包み焼きを作っている最中で3人に気付くと着物の懐を漁る。
「ほれ。乗車手形だ。持ってけ」
3人に紐付き飴を渡し、手をグーパーさせながら見送り、朱里にも紐付き飴を渡す。
「あいあとー」
「あいあーと」
「おりあとー」
「ありがとー」
「おう。気ぃつけて行けよー」
ハガネが笑いながら4人を見送り大窯の火を調整する。
「大窯ピザのお次は~竜宿舎裏~少し木陰になっていますのでご乗車の皆様お足元にお気をつけくださーい。その前に一時停止でございまーす」
ピーッピッ
「皆様、飴は紐をお手々にぐるぐるしましょうねー」
朱里が3人の手に紐付き飴の紐をぐるぐると巻きつけて落ちない様にして、再び竹の笛を鳴らす。
「はーい。出発進行~」
ピーッ
「あーい」
「・・・はふ」
「・・・」
「あらま。ティル以外は飴をもう口に入れてるのね。コケない様にティルゆっくり出発してあげてねー」
「あい」
先頭とあってかティルナールは真面目に進むが、後ろの2人は飴に夢中なので気をつけなくてはと朱里が2人を見て歩いているとガサッと茂みに突っ込み、そのまま木の枝に髪留めが引っかかり「ふわぁあ!」と声を上げる。
「ううっ、私が事故を起こしてどうするのよ。ふぇー・・・絡まり過ぎ」
木の枝から無理やり髪を引っ張るとカチンと音がして髪留めが落ちて木の枝から茂みに落ちていく。
「ああん!どうして落ちるかなぁ・・・えーと、どこかなー?あっ、ティル!動かないでねー。一時停止ねー」
「あい」という言葉が聞こえないので茂みから顔を出すと、朱里の後ろで地面にお尻をついて3人共飴を食べるのに夢中になっている。
「あ、うん。よく出来たお子様達です・・・。母上は髪留め探すから、いい子に飴舐めててね」
再び朱里が茂みの中に手を入れて探し始めると、朱里の後ろで声がする。
「母上、何してるの?」
「母上、何かドジったの?」
「髪留めが落ちちゃったの~」
朱里の腰をヒョイとシュトラールが抱き上げて、茂みの中に獣化したリュエールが入り込み髪留めを咥えて獣化を解くと髪留めを清浄魔法で綺麗にして朱里に手渡す。
「ありがとー2人共」
「別にそれくらいは良いけど、母上3人共歩き始めてるよ」
「え?!今まで飴舐めてたのにー!」
「母上、頑張れー」
3人を追って朱里が駆けだし、リュエールとシュトラールが「慌ただしいね」「元気だよね」と笑って見送る。
朱里が3人に追いつくと3人は飴を口に咥えながら、テクテクとドラゴン達の住まいの建物の前を歩いて、木と木の間にハンモックを並べて甲羅干しをしているドラゴン達の下を歩いて行く。
風に揺られてハンモックの中で眠るドラゴン達は30cm程の小さな体にサイズを合わせて幸せそうに口をむにむに動かして寝ている。
「皆様~お静かに~シーッですよー」
朱里が指を唇につけて注意しながら歩くと3人は口の中の飴をコロコロと鳴らして返事の代わりに朱里に知らせて来る。
ドラゴン達のハンモックの昼寝場所を過ぎると、洗濯物を干している場所に出る。
洗濯物のシーツの下でミルアとナルアがレジャーシートを敷いてフリウーラの娘シレーヌと一緒に色とりどり刺繍糸でミサンガを作っている。
「はーい。シーツ広場は本日はお祭りの様です。皆さん美女が多いのでよそ見に注意ですよー安全に出発進行~」
朱里のアナウンスにミルアとナルアとシレーヌが笑いながら、ティルナール達に手を振り、ティルナール達も手を振ってテクテク歩いて行く。
「はーい。次は終点、女将亭前ですよー」
朱里と3人がテクテクと馬車ごっこをしながら出発地点の『女将亭』前に行くと、ルーファスが少し屈んで手を広げると朱里が笑顔で口を開く。
「皆様、ご乗車ありがとうございました。終点女将亭前です。本日は歓迎パレードでお出迎えです。お忘れ物の無い様に足元にお気をつけてお降りくださいませ~」
ルーファスに3人が手を広げて飛びつくと3人をまとめて抱き上げてルーファスが笑う。
「アカリ、ただいま。今日は随分と暴れ馬車だった様だな」
「あ、ちょっと木に突っ込んじゃって。事故です。ふふっ、おかえりなさい」
髪を整えて髪留めで髪をまとめると、ルーファスが朱里の頬にキスをして朱里もキスを返す。
子供達の手放した紐を拾って朱里が「さて、お家に入りましょうか」と女将亭のドアを開ける。
「ただいま」
「ふふ。ただいまー」
ふわっと優しい匂いが広がり、2人は顔を合わせて笑う。
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