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17章
氷竜と出発
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白い息を吐きながらモコモコに着込んだ上にコートとフード付きのケープを被り手袋をしている朱里と黒いコートに身を包んだルーファス、そして薄桃色のコートを着たミルアとナルアに白いケープ付きのコートを着た三つ子。
「寒いよぉ~ううっ」
「嫁は根性が足りんのう。こんなに気持ちがいいのに」
「グリムレインは寒いの好きだろうけど、私は寒いよぅ」
ガチガチと歯を震わせながら、朱里がまだ月も見えている夜更けに出発計画を立てたグリムレインを見上げて眉を下げる。
グリムレインは元の6メートルの大きさに戻り涼しそうな顔で朱里を咥えると自分の背中に乗せると次々に咥えては背中に子供達を乗せていく。
「母上、これを持って行って」
リュエールが朱里に何かを投げるとミルアがキャッチして朱里に手渡す。
ヒドラのクリスタルで出来たブレスレットに火の魔石の埋め込まれた何やら怪しげな装備である。
「リューちゃんコレなぁに?」
「ドワーフの人達に作ってもらった冬の狩り用の装飾。母上は寒がりだから火の魔石入りなら温かいでしょ?あとヒドラの自動回復が付いてるから多少コケても大丈夫だよ」
「コケないよ!でもありがとー!借りていくね」
リュエールが頷きながら朱里からルーファスの方へ向くと、ルーファスがリュエールの頭をガシガシと撫でる。
「父上、子供じゃないんだからやめてよ」
「ククッ、まだまだ酒の味もわからん子供だ。オレが居ない間【刻狼亭】を頼んだぞ。鍵をお前に預けておくから必要な時に使うと良い」
お互いに右手を合わせて鍵を受け渡すとルーファスが「頼んだ」と言ってグリムレインの尻尾を伝ってジャンプしながら背中へ登っていく。
「それじゃあリューちゃん後の事はお願いね!」
「リュー兄様行ってきますー!」
「リュー兄様お土産楽しみにしててくださいましー!」
「うー!」
「ないなーい」
「あーい!」
「リュー、何かあれば連絡しろ」
「もう、皆声大きいよ。夜中なんだからね?まぁゆっくり楽しんできてよ」
腰に手を当てて少し困った顔で家族を見上げてリュエールが「はしゃぎ過ぎ」と笑って、グリムレインは全員乗ったのを確認してから飛び立つ。
「「「いってきまーす!」」」
「だから、声が大きいってば」
グリムレインの上から手を振る朱里と妹達にリュエールが「まったく」と小さく溜め息を吐きながらグリムレインが出発するのを見送る。
姿が見えなくなると獣化して自分の家に走って帰ると玄関に灯りがあり、キリンがキルトで作られたひざ掛けを肩に掛けてリュエールを出迎える。
「おかえりなさいリュエール」
「ただいま。ベッドの中に居てくれて良かったのに」
獣化を解いてキリンに微笑むとキリンからも笑みが返って来る。
「さっき寝室の窓から空を見たらグリムレインが空を飛んでるのが見えたから直ぐにリュエールが帰って来るなって思って出てきたの」
「相変わらず目が良いんだから」
「フフーン。エルフは目が良いって言ったじゃない」
「僕の番は可愛すぎかな?」
得意げな顔をしたキリンの腰を抱いておでこにキスをしながら家の中へ入っていく。
自分の双子の片割れのシュトラールは確実に寝過ごしたんだろうなぁと思いつつ、キリンと一緒にベッドに潜り込み2人で少し冷えた手足を温め合っていると魔法通信の腕輪に振動があり、リュエールが出るとシュトラールからだった。
『リュー、父上達もう行っちゃった?』
「うん。もう出発したよ」
『寝過ごしちゃったー!』
「だと思ったよ。後で連絡しとけばいいんじゃない?」
『うん・・・。そうするー・・・』
「じゃあ、朝の仕事には遅れないようにね」
『それはちゃんと起きるよ!うん!』
「ん。それは大事だからね」
『じゃあ仕事場でねー』
「はいはい。おやすみー」
プツンと通信を切って、小さく欠伸をするとリュエールの顔を見ていたキリンも小さく欠伸をして「おやすみ」と唇にキスをして目を閉じるとリュエールからもキスが返ってきて、キリンが目を開けると目が合い2人で笑いながら眠りにつく。
夜空をグリムレインが気持ちよさそうに目を閉じて飛び、背中の朱里達はグリムレインのドーム型の風を遮断する魔法を掛けられ毛布にくるまりながら一塊になっている。
「ううっ、ルーシー達温かい・・・母上から離れないでね」
「うーっ!ははえーほかほか」
「・・・すぴぃー・・・」
「エルねむぅ・・・」
朱里に抱きついてルーシーが嬉しそうに尾っぽを振る中でティルナールは既に寝ており、エルシオンも目をゴシゴシと手でこすっている。
「ほら、エルこっちに来い。アカリも寄っかかって寝ておけ」
「はい。皆父上に寄り掛かろうね」
ルーファスに朱里が寄り掛かってはふぅと息をつきながら、獣人は温かいと擦りつくとルーファスがフッと笑って朱里の肩を抱くとエルシオンがルーファスの膝の上に乗り、寄り掛かって寝始めるとルーシーも間に入ってきて横になる。
「折角起きたのに寝るなんて勿体ないのですわ!」
「旅行は全力で楽しみませんと!」
ミルアとナルアが眠ってしまった三つ子と朱里に肩をすくめる。
グリムレインとミルアとナルアは旅行の前日からはしゃいでいたので、今もその延長線らしくテンションが高い。
ルーファスが途中で眠気で寝落ちする事にならなければ良いがと苦笑いで空の眺めを楽しむミルアとナルアを見つめる。
「最初の街は冬リンゴの美味いデレアの街に行くぞ!」
「リンゴのタルトを食べるのですわー!」
「アップルパイは欠かせませんわー!」
グリムレインが行き先を告げると2人が「冬リンゴー!」と元気に声を上げる。
「寒いよぉ~ううっ」
「嫁は根性が足りんのう。こんなに気持ちがいいのに」
「グリムレインは寒いの好きだろうけど、私は寒いよぅ」
ガチガチと歯を震わせながら、朱里がまだ月も見えている夜更けに出発計画を立てたグリムレインを見上げて眉を下げる。
グリムレインは元の6メートルの大きさに戻り涼しそうな顔で朱里を咥えると自分の背中に乗せると次々に咥えては背中に子供達を乗せていく。
「母上、これを持って行って」
リュエールが朱里に何かを投げるとミルアがキャッチして朱里に手渡す。
ヒドラのクリスタルで出来たブレスレットに火の魔石の埋め込まれた何やら怪しげな装備である。
「リューちゃんコレなぁに?」
「ドワーフの人達に作ってもらった冬の狩り用の装飾。母上は寒がりだから火の魔石入りなら温かいでしょ?あとヒドラの自動回復が付いてるから多少コケても大丈夫だよ」
「コケないよ!でもありがとー!借りていくね」
リュエールが頷きながら朱里からルーファスの方へ向くと、ルーファスがリュエールの頭をガシガシと撫でる。
「父上、子供じゃないんだからやめてよ」
「ククッ、まだまだ酒の味もわからん子供だ。オレが居ない間【刻狼亭】を頼んだぞ。鍵をお前に預けておくから必要な時に使うと良い」
お互いに右手を合わせて鍵を受け渡すとルーファスが「頼んだ」と言ってグリムレインの尻尾を伝ってジャンプしながら背中へ登っていく。
「それじゃあリューちゃん後の事はお願いね!」
「リュー兄様行ってきますー!」
「リュー兄様お土産楽しみにしててくださいましー!」
「うー!」
「ないなーい」
「あーい!」
「リュー、何かあれば連絡しろ」
「もう、皆声大きいよ。夜中なんだからね?まぁゆっくり楽しんできてよ」
腰に手を当てて少し困った顔で家族を見上げてリュエールが「はしゃぎ過ぎ」と笑って、グリムレインは全員乗ったのを確認してから飛び立つ。
「「「いってきまーす!」」」
「だから、声が大きいってば」
グリムレインの上から手を振る朱里と妹達にリュエールが「まったく」と小さく溜め息を吐きながらグリムレインが出発するのを見送る。
姿が見えなくなると獣化して自分の家に走って帰ると玄関に灯りがあり、キリンがキルトで作られたひざ掛けを肩に掛けてリュエールを出迎える。
「おかえりなさいリュエール」
「ただいま。ベッドの中に居てくれて良かったのに」
獣化を解いてキリンに微笑むとキリンからも笑みが返って来る。
「さっき寝室の窓から空を見たらグリムレインが空を飛んでるのが見えたから直ぐにリュエールが帰って来るなって思って出てきたの」
「相変わらず目が良いんだから」
「フフーン。エルフは目が良いって言ったじゃない」
「僕の番は可愛すぎかな?」
得意げな顔をしたキリンの腰を抱いておでこにキスをしながら家の中へ入っていく。
自分の双子の片割れのシュトラールは確実に寝過ごしたんだろうなぁと思いつつ、キリンと一緒にベッドに潜り込み2人で少し冷えた手足を温め合っていると魔法通信の腕輪に振動があり、リュエールが出るとシュトラールからだった。
『リュー、父上達もう行っちゃった?』
「うん。もう出発したよ」
『寝過ごしちゃったー!』
「だと思ったよ。後で連絡しとけばいいんじゃない?」
『うん・・・。そうするー・・・』
「じゃあ、朝の仕事には遅れないようにね」
『それはちゃんと起きるよ!うん!』
「ん。それは大事だからね」
『じゃあ仕事場でねー』
「はいはい。おやすみー」
プツンと通信を切って、小さく欠伸をするとリュエールの顔を見ていたキリンも小さく欠伸をして「おやすみ」と唇にキスをして目を閉じるとリュエールからもキスが返ってきて、キリンが目を開けると目が合い2人で笑いながら眠りにつく。
夜空をグリムレインが気持ちよさそうに目を閉じて飛び、背中の朱里達はグリムレインのドーム型の風を遮断する魔法を掛けられ毛布にくるまりながら一塊になっている。
「ううっ、ルーシー達温かい・・・母上から離れないでね」
「うーっ!ははえーほかほか」
「・・・すぴぃー・・・」
「エルねむぅ・・・」
朱里に抱きついてルーシーが嬉しそうに尾っぽを振る中でティルナールは既に寝ており、エルシオンも目をゴシゴシと手でこすっている。
「ほら、エルこっちに来い。アカリも寄っかかって寝ておけ」
「はい。皆父上に寄り掛かろうね」
ルーファスに朱里が寄り掛かってはふぅと息をつきながら、獣人は温かいと擦りつくとルーファスがフッと笑って朱里の肩を抱くとエルシオンがルーファスの膝の上に乗り、寄り掛かって寝始めるとルーシーも間に入ってきて横になる。
「折角起きたのに寝るなんて勿体ないのですわ!」
「旅行は全力で楽しみませんと!」
ミルアとナルアが眠ってしまった三つ子と朱里に肩をすくめる。
グリムレインとミルアとナルアは旅行の前日からはしゃいでいたので、今もその延長線らしくテンションが高い。
ルーファスが途中で眠気で寝落ちする事にならなければ良いがと苦笑いで空の眺めを楽しむミルアとナルアを見つめる。
「最初の街は冬リンゴの美味いデレアの街に行くぞ!」
「リンゴのタルトを食べるのですわー!」
「アップルパイは欠かせませんわー!」
グリムレインが行き先を告げると2人が「冬リンゴー!」と元気に声を上げる。
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