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19章
合体技
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「グリムレイン!一斉掃射!」
朱里の声にグリムレインが海岸の魔獣に向かって氷を尖らせたものを口から吹いて倒していく。
「どうだ!嫁よ、我の完全勝利であろう?」
「偉い!グリムレインは流石ですよ!ドンドンやっちゃえー!」
グリムレインの背中で朱里が弾んだ声を上げてグリムレインも朱里の声に尻尾を揺らしながら、海岸から海の上で戦っている海上戦闘をしている方へ飛んでいく。
「大女将何してるんですか!?」
「船の周りがあんまりにも多いからせめて海面を凍らせて足場を作ろうかって事でね、来ましたー!」
「来ましたじゃないですよ!!危ないから大女将は撤退してくださいよ!」
「凍らせたら戻りますよー!グリムレインお願いします!」
「凍りたくなくば、皆、海面から離れておれよ!」
海面を凍らせるという荒業にリロノス達がホエールデビルから船上へ飛び移り、ホエールデビルに深くまで潜り沖合に行くように命令する。
それを見計らったグリムレインが海面を凍らせていき、身動きの取れなくなった魔獣達を見て「どうだ!」と背中の朱里に顔を向けると、朱里が両手で親指を上げて「バッチリ!」と声を上げる。
「私のグリムレインがいっちばーん!」
「そうであろう!我が一番だ!」
ハイテンションな二人に少し海上の人々は「大女将は仕方ないな」と苦笑いして、海面の凍っているうちに魔獣と海獣の始末だと凍った海面の上を駆ける。
「母上!父上に怒られてしまいますわよ!」
「母上は直ぐに避難してくださいませ!」
「ええ。最後にルーファスの所に行ってから戻るから心配要らないわ。あなた達も無理しないでね」
ミルアとナルアが「「わたくし達はちゃんと注意しましたからねー!」」と声を揃えて空に飛び立つグリムレインと朱里に向かって叫ぶ。
「母上は困った人ですの」
「父上が雷を落としますの」
左右に頭を振りながらミルアとナルアは火竜ローランドにも自由行動で攻撃を開始する様に言って三人はバラバラに動き出す。
海面に火柱が3ヵ所で上がり、拳に炎を纏わせてミルアとナルアが魔獣と海獣に飛び掛かり殴って沈めていく。
そんな娘達と火竜の様子に朱里が「攻撃的なところは狼族特有なのかな?」と言うと、「そうじゃない。普通に自分のテリトリーに入って来たものを排除しているだけだ」とため息交じりに声が答える。
「アカリ、何故こんな所まで来たんだ!」
「そうだよ!アカリは私達の寿命を縮める気なの!」
ルーファスとアルビーが朱里を嗜めるように小言を口にするが朱里とグリムレインは少し得意な顔をして「お手伝いに来たんだよ」と答える。
「第一、ここは黒いモヤが渦巻いている。アカリは自分の体に害のある物だと分かっているだろう?直ぐにココから離れろ」
「大丈夫です。よく見て、私の体の周り」
「体の周り?何だコレは?」
ルーファスが朱里の体の周りに薄っすらと膜が張っているのをいぶかしげな顔で見る。
「グリムレインのドームを私の体に合わせて作ってもらって、私が内側からドームを触っているから黒いモヤは中には入ってこないの。物を1枚通せば私にも自分の聖域が利用できるから安全なんだよ」
「我のドームのおかげだな」
「グリムレインにはいつも感謝してますよ」
二人のやり取りにルーファスは黒いモヤが朱里に影響が無い物になった事には安心はするが、危ない場所に来たことに関しては、許してはいない。
「アカリ、ともかくここはオレ達に任せてアカリは非難をしていろ!」
「うん。最後に1回だけ試したいことを試したら撤収するよ」
「試したい事?」
「はい。グリムレインと私の合体技です!」
「嫁と我の必殺技だ!」
まるで子供の様なノリの朱里とグリムレインにルーファスが困った顔をして二人に言い聞かせる。
「遊びでは無いんだぞ?分かっているのか?」
「私達は真剣ですよ!」
「我達は遊びで必殺技を編み出したのではない!」
「まぁ、ルーファス見ていてください!」
朱里が巨大な水玉を出すと、グリムレインが空気を吸い込み水玉に向けて息を吐きかけると、水玉から幾つもの氷の礫が飛び出し、空を飛ぶ魔獣達を貫いて黒いモヤが吹き出していく。
それはさながらガトリング砲の様で朱里のイメージする物でもあった。
朱里とグリムレインの必殺技で空を飛ぶ魔獣達が次々と撃ち落され姿を消して行く。
ルーファスとアルビーも周りの残った魔獣達を薙ぎ払って、空の魔獣がほぼ居なくなると、そこでようやく空に残っていた筈のシュトラールとケルチャの姿が見えない事に気付く。
「シュー?シュトラール!何処にいる!?」
「え?シューちゃん居ないの!?」
ルーファスがシュトラールを探して目を凝らすが、シュトラールの姿を見つけることが出来ずに声を張り上げる。
朱里もシュトラールの名前を呼んで海面の方を目を凝らして探す。海面の方でも魔獣と海獣の討伐が片付き始め、凍った海面の上には魔獣と海獣の死骸が山になっていた。
「嫁よ、腕輪で呼びかけてみればいいのではないかの?」
グリムレインの言葉に朱里とルーファスがバッと自分達の腕輪に手を掛ける。
「アカリはシューを、オレはリューに連絡を取る」
「はい!わかりました!」
お互いに腕輪通信で息子達に連絡を取ると、お互いに2人の息子は直ぐに応答した。
「リュー、空の魔獣は撃退した。大陸の方はどうだ?」
『お疲れさま。こっちの方は怪我人を治療するのにごった返してるよ』
「死者は出ているか?」
『死者は今の所居ないよ。まぁ皆殺しても死にそうにない人達ばかりだけどね』
リュエールの軽口にルーファスも少し安堵しつつ、海の方を片付けたら戻る旨を伝えて通信を切る。
「シューちゃん!あなた何所に居るの!?大丈夫なの!?」
『オレもケルチャも大丈夫。ただ、魔獣に飲み込まれた人が居て、戦闘離脱して治療中』
「そう。無事なら良いの。空の方は終わったから、海の方が終われば何とかなるから、その人の治療に専念して」
『うん。温泉大陸の近くの小島で治療してるから、直ぐに戻るよ』
息子の無事に朱里もホッと息を付いて、ルーファスに頷いて見せるとルーファスも頷いてみせる。
シュトラールに早めに戻る様に言い、ルーファスが朱里にも早く戻って特殊ポーションを一応飲んでおくように言って二人は別れた。
朱里の声にグリムレインが海岸の魔獣に向かって氷を尖らせたものを口から吹いて倒していく。
「どうだ!嫁よ、我の完全勝利であろう?」
「偉い!グリムレインは流石ですよ!ドンドンやっちゃえー!」
グリムレインの背中で朱里が弾んだ声を上げてグリムレインも朱里の声に尻尾を揺らしながら、海岸から海の上で戦っている海上戦闘をしている方へ飛んでいく。
「大女将何してるんですか!?」
「船の周りがあんまりにも多いからせめて海面を凍らせて足場を作ろうかって事でね、来ましたー!」
「来ましたじゃないですよ!!危ないから大女将は撤退してくださいよ!」
「凍らせたら戻りますよー!グリムレインお願いします!」
「凍りたくなくば、皆、海面から離れておれよ!」
海面を凍らせるという荒業にリロノス達がホエールデビルから船上へ飛び移り、ホエールデビルに深くまで潜り沖合に行くように命令する。
それを見計らったグリムレインが海面を凍らせていき、身動きの取れなくなった魔獣達を見て「どうだ!」と背中の朱里に顔を向けると、朱里が両手で親指を上げて「バッチリ!」と声を上げる。
「私のグリムレインがいっちばーん!」
「そうであろう!我が一番だ!」
ハイテンションな二人に少し海上の人々は「大女将は仕方ないな」と苦笑いして、海面の凍っているうちに魔獣と海獣の始末だと凍った海面の上を駆ける。
「母上!父上に怒られてしまいますわよ!」
「母上は直ぐに避難してくださいませ!」
「ええ。最後にルーファスの所に行ってから戻るから心配要らないわ。あなた達も無理しないでね」
ミルアとナルアが「「わたくし達はちゃんと注意しましたからねー!」」と声を揃えて空に飛び立つグリムレインと朱里に向かって叫ぶ。
「母上は困った人ですの」
「父上が雷を落としますの」
左右に頭を振りながらミルアとナルアは火竜ローランドにも自由行動で攻撃を開始する様に言って三人はバラバラに動き出す。
海面に火柱が3ヵ所で上がり、拳に炎を纏わせてミルアとナルアが魔獣と海獣に飛び掛かり殴って沈めていく。
そんな娘達と火竜の様子に朱里が「攻撃的なところは狼族特有なのかな?」と言うと、「そうじゃない。普通に自分のテリトリーに入って来たものを排除しているだけだ」とため息交じりに声が答える。
「アカリ、何故こんな所まで来たんだ!」
「そうだよ!アカリは私達の寿命を縮める気なの!」
ルーファスとアルビーが朱里を嗜めるように小言を口にするが朱里とグリムレインは少し得意な顔をして「お手伝いに来たんだよ」と答える。
「第一、ここは黒いモヤが渦巻いている。アカリは自分の体に害のある物だと分かっているだろう?直ぐにココから離れろ」
「大丈夫です。よく見て、私の体の周り」
「体の周り?何だコレは?」
ルーファスが朱里の体の周りに薄っすらと膜が張っているのをいぶかしげな顔で見る。
「グリムレインのドームを私の体に合わせて作ってもらって、私が内側からドームを触っているから黒いモヤは中には入ってこないの。物を1枚通せば私にも自分の聖域が利用できるから安全なんだよ」
「我のドームのおかげだな」
「グリムレインにはいつも感謝してますよ」
二人のやり取りにルーファスは黒いモヤが朱里に影響が無い物になった事には安心はするが、危ない場所に来たことに関しては、許してはいない。
「アカリ、ともかくここはオレ達に任せてアカリは非難をしていろ!」
「うん。最後に1回だけ試したいことを試したら撤収するよ」
「試したい事?」
「はい。グリムレインと私の合体技です!」
「嫁と我の必殺技だ!」
まるで子供の様なノリの朱里とグリムレインにルーファスが困った顔をして二人に言い聞かせる。
「遊びでは無いんだぞ?分かっているのか?」
「私達は真剣ですよ!」
「我達は遊びで必殺技を編み出したのではない!」
「まぁ、ルーファス見ていてください!」
朱里が巨大な水玉を出すと、グリムレインが空気を吸い込み水玉に向けて息を吐きかけると、水玉から幾つもの氷の礫が飛び出し、空を飛ぶ魔獣達を貫いて黒いモヤが吹き出していく。
それはさながらガトリング砲の様で朱里のイメージする物でもあった。
朱里とグリムレインの必殺技で空を飛ぶ魔獣達が次々と撃ち落され姿を消して行く。
ルーファスとアルビーも周りの残った魔獣達を薙ぎ払って、空の魔獣がほぼ居なくなると、そこでようやく空に残っていた筈のシュトラールとケルチャの姿が見えない事に気付く。
「シュー?シュトラール!何処にいる!?」
「え?シューちゃん居ないの!?」
ルーファスがシュトラールを探して目を凝らすが、シュトラールの姿を見つけることが出来ずに声を張り上げる。
朱里もシュトラールの名前を呼んで海面の方を目を凝らして探す。海面の方でも魔獣と海獣の討伐が片付き始め、凍った海面の上には魔獣と海獣の死骸が山になっていた。
「嫁よ、腕輪で呼びかけてみればいいのではないかの?」
グリムレインの言葉に朱里とルーファスがバッと自分達の腕輪に手を掛ける。
「アカリはシューを、オレはリューに連絡を取る」
「はい!わかりました!」
お互いに腕輪通信で息子達に連絡を取ると、お互いに2人の息子は直ぐに応答した。
「リュー、空の魔獣は撃退した。大陸の方はどうだ?」
『お疲れさま。こっちの方は怪我人を治療するのにごった返してるよ』
「死者は出ているか?」
『死者は今の所居ないよ。まぁ皆殺しても死にそうにない人達ばかりだけどね』
リュエールの軽口にルーファスも少し安堵しつつ、海の方を片付けたら戻る旨を伝えて通信を切る。
「シューちゃん!あなた何所に居るの!?大丈夫なの!?」
『オレもケルチャも大丈夫。ただ、魔獣に飲み込まれた人が居て、戦闘離脱して治療中』
「そう。無事なら良いの。空の方は終わったから、海の方が終われば何とかなるから、その人の治療に専念して」
『うん。温泉大陸の近くの小島で治療してるから、直ぐに戻るよ』
息子の無事に朱里もホッと息を付いて、ルーファスに頷いて見せるとルーファスも頷いてみせる。
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