598 / 960
19章
カイナの書簡
しおりを挟む
全ての始まりは『星降り祭り』に起因する魔獣の王から始まる。と、カイナの書簡はそこから始まっていた。
最初の魔獣の王は異世界召喚で呼び出された【勇者】つまり、カイナの先祖であるヒイロ・ツグモが倒した。
彼の正式な名前は津雲緋色。
異世界召喚には魔力値の高い者達が7日間寝ることなく集中して魔獣の王を倒せる者だけを望み続けなければいけない。
望みに少しでも余計な事が紛れてしまうと召喚される人物の質が落ちると言われている。
その時、東国の近くに魔獣の王が生まれてしまった為に、召喚士たちは余計な望みなどなく、ただひたすらに倒せる者を望んだ。
それが功を奏して、津雲緋色という【勇者】を召喚する事に成功したと言って良い。
津雲緋色と一緒に召喚された物がある。
むしろソレこそが【勇者】足りえたのかもしれない。
” 月刀ー山茶花ー ”
月の様に美しい刀身を持ち、山茶花の咲く頃に献上するはずだった一振り。
津雲家は代々刀鍛冶氏で月刀ー山茶花ーは、津雲家の命運をかけた物で緋色はそれを献上しに行く最中に召喚され、この一振りの為に多額の金を渡されていた為に、もし献上されなければ残された家族は殺されてしまう、殺されなくても、周囲からは何といわれるか想像出来た。その為、緋色は残された異世界の家族はどうしてくれるのだと泣き叫び怒り狂ったそうだ。
そして、緋色はその怒りの矛先を召喚士に向け、召喚に携わった人間は切り伏せられた。
同時に召喚にまつわる方法も闇に葬られたという。これ以上召喚の犠牲者を出さない為にという処置だったらしい。
月刀ー山茶花ーの切れ味は素晴らしく、どんな魔物でもまるで紙切れの様に斬る事が出来、魔獣の王も月刀ー山茶花ーの力で討ち取った様なものだった。
資料によると、魔獣の王を打つ場合には普通の方法で倒してはならない。
なぜなら、魔獣の王となった魔獣が倒される時に【怨嗟】と呼ばれる呪いが発動し、他の魔獣達に【怨嗟】が降り撒かれ、それは魔獣を生きたまま腐敗させ、【怨嗟】に掛かった魔獣達は助けを求めながら人々を襲っていくようになる。
まさに、今回の魔獣の王討伐で起きた事、それが【怨嗟】といえる。
月刀ー山茶花ーにはその【怨嗟】を断ち切る力があり、だからこそ、魔獣の王を倒した時【怨嗟】は発動せず、魔石だけが綺麗にこの世界に降り撒かれた。
緋色は魔獣の王を討伐したあと【勇者】として一番に力を注いだのが、召喚士の撲滅と召喚方法を書かれた文献などをこの世界から無くすことだった。
この世界で異世界召喚の方法が残されている物のほとんどがかなり条件が厳しく無謀な召喚方法ばかりが残されているだけだという。
強靭な肉体と精神力と召喚する際の贄、そして召喚陣。
どれ1つ欠けても召喚は失敗する。東国では召喚方法は【勇者】の手により失われたのでもう召喚することは出来ない。
この世界で異世界から偶然落ちて来た者以外は召喚された人間というのは殆どいない。
今現在、召喚が成功したと確認されているのは2人だけだという。
カイナが何故、召喚の事を書いたかと言うと、月刀ー山茶花ーは異世界人にしか扱えないのである。
今現在、討伐された魔獣の王の魔石は討伐された土地にそのまま置いてあり、月刀ー山茶花ーで魔石を斬る事が出来れば【怨嗟】は消え、世界の魔獣達は解放される。
子孫であるカイナがその役目を【勇者】の最後の仕事として請け負ったが、おそらくは無駄に終わるだろうと、何故なら、異世界人の血はもうほぼ薄れている為に今までは月刀ー山茶花ーを力でねじ伏せて使っていたが、【怨嗟】に呪われた魔獣達は群れを成し、魔石を守っている。
近付くことは難しいだろう、月刀ー山茶花ーがそれまで大人しく使われてくれるかどうかわからないのがカイナの正直な気持ちでもある。
西の【聖女】亡き今、頼れるのは異世界人である朱里だと書かれていた。
どうか、どうかこの世界を愛しているのなら、自分達の子供達が【怨嗟】に呪われた魔獣に怯えなくて済む様に望むのならば、月刀ー山茶花ーで魔獣の王の魔石を斬り、【怨嗟】をこの世界から無くしてほしい。
貴女に迷惑を掛ける事を十分承知の上でのお願いです。
東国の【勇者】はもう居ない、貴女が次の【勇者】になって欲しい。
そんな言葉でカイナの書簡は締めくくられていた。
書簡を読んでルーファスが「ふざけるな!」と怒り、朱里が戸惑いを隠せずに小さく手を握りしめる。
異世界人というのならば、亡くなった事にありすはなっている為にカイナも知る由は無かっただろうが、朱里もアリスもそんな危険な場所に行けるほど強いわけでもない。
グリムレインと朱里のドームもで魔石までたどり着けても、刀を扱う事自体が朱里には無理なのである。
朱里は刃物の恐怖を克服していないのだから_____
最初の魔獣の王は異世界召喚で呼び出された【勇者】つまり、カイナの先祖であるヒイロ・ツグモが倒した。
彼の正式な名前は津雲緋色。
異世界召喚には魔力値の高い者達が7日間寝ることなく集中して魔獣の王を倒せる者だけを望み続けなければいけない。
望みに少しでも余計な事が紛れてしまうと召喚される人物の質が落ちると言われている。
その時、東国の近くに魔獣の王が生まれてしまった為に、召喚士たちは余計な望みなどなく、ただひたすらに倒せる者を望んだ。
それが功を奏して、津雲緋色という【勇者】を召喚する事に成功したと言って良い。
津雲緋色と一緒に召喚された物がある。
むしろソレこそが【勇者】足りえたのかもしれない。
” 月刀ー山茶花ー ”
月の様に美しい刀身を持ち、山茶花の咲く頃に献上するはずだった一振り。
津雲家は代々刀鍛冶氏で月刀ー山茶花ーは、津雲家の命運をかけた物で緋色はそれを献上しに行く最中に召喚され、この一振りの為に多額の金を渡されていた為に、もし献上されなければ残された家族は殺されてしまう、殺されなくても、周囲からは何といわれるか想像出来た。その為、緋色は残された異世界の家族はどうしてくれるのだと泣き叫び怒り狂ったそうだ。
そして、緋色はその怒りの矛先を召喚士に向け、召喚に携わった人間は切り伏せられた。
同時に召喚にまつわる方法も闇に葬られたという。これ以上召喚の犠牲者を出さない為にという処置だったらしい。
月刀ー山茶花ーの切れ味は素晴らしく、どんな魔物でもまるで紙切れの様に斬る事が出来、魔獣の王も月刀ー山茶花ーの力で討ち取った様なものだった。
資料によると、魔獣の王を打つ場合には普通の方法で倒してはならない。
なぜなら、魔獣の王となった魔獣が倒される時に【怨嗟】と呼ばれる呪いが発動し、他の魔獣達に【怨嗟】が降り撒かれ、それは魔獣を生きたまま腐敗させ、【怨嗟】に掛かった魔獣達は助けを求めながら人々を襲っていくようになる。
まさに、今回の魔獣の王討伐で起きた事、それが【怨嗟】といえる。
月刀ー山茶花ーにはその【怨嗟】を断ち切る力があり、だからこそ、魔獣の王を倒した時【怨嗟】は発動せず、魔石だけが綺麗にこの世界に降り撒かれた。
緋色は魔獣の王を討伐したあと【勇者】として一番に力を注いだのが、召喚士の撲滅と召喚方法を書かれた文献などをこの世界から無くすことだった。
この世界で異世界召喚の方法が残されている物のほとんどがかなり条件が厳しく無謀な召喚方法ばかりが残されているだけだという。
強靭な肉体と精神力と召喚する際の贄、そして召喚陣。
どれ1つ欠けても召喚は失敗する。東国では召喚方法は【勇者】の手により失われたのでもう召喚することは出来ない。
この世界で異世界から偶然落ちて来た者以外は召喚された人間というのは殆どいない。
今現在、召喚が成功したと確認されているのは2人だけだという。
カイナが何故、召喚の事を書いたかと言うと、月刀ー山茶花ーは異世界人にしか扱えないのである。
今現在、討伐された魔獣の王の魔石は討伐された土地にそのまま置いてあり、月刀ー山茶花ーで魔石を斬る事が出来れば【怨嗟】は消え、世界の魔獣達は解放される。
子孫であるカイナがその役目を【勇者】の最後の仕事として請け負ったが、おそらくは無駄に終わるだろうと、何故なら、異世界人の血はもうほぼ薄れている為に今までは月刀ー山茶花ーを力でねじ伏せて使っていたが、【怨嗟】に呪われた魔獣達は群れを成し、魔石を守っている。
近付くことは難しいだろう、月刀ー山茶花ーがそれまで大人しく使われてくれるかどうかわからないのがカイナの正直な気持ちでもある。
西の【聖女】亡き今、頼れるのは異世界人である朱里だと書かれていた。
どうか、どうかこの世界を愛しているのなら、自分達の子供達が【怨嗟】に呪われた魔獣に怯えなくて済む様に望むのならば、月刀ー山茶花ーで魔獣の王の魔石を斬り、【怨嗟】をこの世界から無くしてほしい。
貴女に迷惑を掛ける事を十分承知の上でのお願いです。
東国の【勇者】はもう居ない、貴女が次の【勇者】になって欲しい。
そんな言葉でカイナの書簡は締めくくられていた。
書簡を読んでルーファスが「ふざけるな!」と怒り、朱里が戸惑いを隠せずに小さく手を握りしめる。
異世界人というのならば、亡くなった事にありすはなっている為にカイナも知る由は無かっただろうが、朱里もアリスもそんな危険な場所に行けるほど強いわけでもない。
グリムレインと朱里のドームもで魔石までたどり着けても、刀を扱う事自体が朱里には無理なのである。
朱里は刃物の恐怖を克服していないのだから_____
51
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。