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26章
エデンとドラゴンの谷
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我が家のドラゴンに関して、私が動かせるドラゴンは……
氷竜グリムレイン、水竜アクエレインの兄弟竜と、木竜ケルチャ、花竜ケイトの兄妹竜と、金竜エデンの五人なのよね。
一応、彼等を私達が『1匹』とか『一体』って呼ばないのは、存在を同等に扱っているからなんだけどね。
同等すぎて、主従関係もあまり無いのよ。多分、彼等は私を仲の良い飯炊き女くらいの扱いにしているかもしれない。
ルーファスの動かせるドラゴンは、風竜スピナ、土竜ニクストローブ、ケルチャとケイトも一応、契約はしてあるから使えるんだけど、私を主として見ている節もある。
リュエールとシュトラールには光竜アルビーが生まれた時に、名づけをする事で主従関係を結んでいる。アルビーに関しては未来で【刻狼亭】十九代目の『番』になるようなので、子孫をよろしく頼みたいところだ。
アルビーはルーファスが卵から孵した事もあって仲が良いから、割りと主従関係なく手を貸してくれる。
ミルアとナルアは火竜ローランドと主従関係を結んでいて、魔国へ嫁いだナルアに今はついて行っていて、ナルアが夫婦喧嘩でもして「帰る!」と言えば、喜んで連れ帰れるだろうし、何より知らない土地に一人で嫁いでいるナルアを守る者が必要だったのもある。
我が家のルーシーも魔国の王宮だし、姉妹で仲良くしていてくれたら良いけど、王妃の侍女だから早々会えるかも分からないからね。
魔国は、王様も騎士も侍女も全員が同じ食卓でご飯を食べるアットホームさはあるけれど、親としては、心配せざるを得ないのが心情だ。
そうそう、忘れてはいけないのが、ギルさん。
ルーファスの叔父にして黒竜ネルフィームと主従関係にある。
うちの四男エルシオンの養父にも今現在はなっているけど、どちらかというと、うちのエルシオンに仕事を押し付けて夜会の帝王と化しているという噂だ……ギルさんにも困ったものだけどね。
我が家のドラゴンはこんな感じかしらね?
あと一人、ドラゴンで確認されているのは、ネルフィームのお兄さんドラゴンの宝竜ファルヒュームが『ロックヘル』という銀行のような所で人々の財貨を守っている。
ファルヒュームは財貨に囲まれた生活を気に入っているので、早々ロックヘルから出てくることは無い。
「__と、いうわけで、エデンはドラゴンの谷に行きたいです!」
エデンが夕飯時に、声高らかに宣言したものの、何が「という訳なのか?」と、こちらとしては「???」という感じで首を傾げる。
「エデン、とりあえず一から説明しようか?」
「んん??」
首を傾げるエデンに、グリムレインが「我らにしか説明をしていない。嫁には口で伝えねば、話は見えてこぬのだ」と、どうやらドラゴン同士の中で話をしていたらしい。
「んっと、ドラゴンの谷に行って、ドラゴンハーフに食べられちゃった仲間の数を知りたいのと、なにか方法で見落としが無いかを調べたいの! だから、主様をドラゴンの谷に連れて行くの!」
「はい? 待って、エデン。それじゃ私を連れて行くことになるじゃない?」
「だから、そう言っているの!」
エデンが笑顔で目をくるくるさせながら「いい事言った」という得意気な顔をしているけど、私が行く必要はあるのかな?
「何故アカリがついて行かねばならん?」
「だって、主様が居ないと、エデンは力がちょっぴりしか使えないの。それじゃドラゴンの谷では対応しきれないの」
そう、ドラゴンは主従関係になってしまうと主の命令が無ければ全力で力が出せなくなる。数日ぐらいなら主命令で『全力でガンガンいきましょう!』も通じるけど、それがすぎると駄目なんだよね。
ルーファスが眉間にしわを寄せて溜め息を吐いているけど、他のドラゴン達もドラゴンの谷に行く気みたいでソワソワしているのが目に見えて分かる。
「えーと、ドラゴンの谷に行きたい子は手を上げてー!」
私が手を上げるように言えば、グリムレインとアクエレイン、エデンにスピナが手を上げる。
スピナも手を上げたという事は、ルーファスも巻き込みで一緒に行く事になる。
「私はリューもシューもここから離れられないだろうからパス」
「そうだね。僕は【刻狼亭】があるし、シューはフィリアから離れられないだろうしね。ごめんねアルビー」
「気にしないで。私は別にドラゴンの谷に行きたいわけじゃないしね」
リュエールとアルビーがフフッと笑い合って、小さなお猪口でお酒を飲み交わしながら楽しそうにしているけど、いつの間にかリュエールもアルビーとお酒を酌み交わせる歳になっちゃったのよねぇ。
「しかし、屋敷を空けて置く訳には……」
「大旦那、別に大旦那やアカリが少し居なくても、俺が居りゃなんとかなるだろ? なっ? スー」
「んふーっ」
まぁ、確かにハガネに任せておけば、我が家は安泰ではあるのよね。悔しいけど、ハガネは我が家の子供達を全員育ててきたようなものだし、お料理から何から器用にこなすのよ……多分、私が死んだとしても、ハガネが居たら何とかなっちゃいそうなのよね。
「ルーファス、どうしようか?」
「ふむ。しかし、コハルがいるからな……コハルも連れて行くか?」
ルーファスがコハルを膝に乗せようとしたら、ハガネの方へトテトテ歩いて、スクルードからハガネの膝の上を陣取る暴君ぶり……
コハル、お父さんが悲痛な顔ですよ? これはコハルもわざとやっていそうな気がする。
愛されているのを知っているからこその暴君ぶりなのよね。
「アカリ……」
「まぁ、ドラゴンの谷なんて面白そうな所に早々行ける物じゃないだろうし、行ってみましょうか? 旅行がてら」
「やったのー!」
ルーファスより先にエデンが飛びついてきて、グリムレインとアクエレインもついでとばかりに飛び掛かってくる。うーん。モテモテではあるけど、潰される―!! ついでにルーファスがギリギリ歯を剥きだしているから、そろそろ離れた方が良さそうだ。
こうして、ドラゴンの谷へのプチ旅行計画が決定した。
氷竜グリムレイン、水竜アクエレインの兄弟竜と、木竜ケルチャ、花竜ケイトの兄妹竜と、金竜エデンの五人なのよね。
一応、彼等を私達が『1匹』とか『一体』って呼ばないのは、存在を同等に扱っているからなんだけどね。
同等すぎて、主従関係もあまり無いのよ。多分、彼等は私を仲の良い飯炊き女くらいの扱いにしているかもしれない。
ルーファスの動かせるドラゴンは、風竜スピナ、土竜ニクストローブ、ケルチャとケイトも一応、契約はしてあるから使えるんだけど、私を主として見ている節もある。
リュエールとシュトラールには光竜アルビーが生まれた時に、名づけをする事で主従関係を結んでいる。アルビーに関しては未来で【刻狼亭】十九代目の『番』になるようなので、子孫をよろしく頼みたいところだ。
アルビーはルーファスが卵から孵した事もあって仲が良いから、割りと主従関係なく手を貸してくれる。
ミルアとナルアは火竜ローランドと主従関係を結んでいて、魔国へ嫁いだナルアに今はついて行っていて、ナルアが夫婦喧嘩でもして「帰る!」と言えば、喜んで連れ帰れるだろうし、何より知らない土地に一人で嫁いでいるナルアを守る者が必要だったのもある。
我が家のルーシーも魔国の王宮だし、姉妹で仲良くしていてくれたら良いけど、王妃の侍女だから早々会えるかも分からないからね。
魔国は、王様も騎士も侍女も全員が同じ食卓でご飯を食べるアットホームさはあるけれど、親としては、心配せざるを得ないのが心情だ。
そうそう、忘れてはいけないのが、ギルさん。
ルーファスの叔父にして黒竜ネルフィームと主従関係にある。
うちの四男エルシオンの養父にも今現在はなっているけど、どちらかというと、うちのエルシオンに仕事を押し付けて夜会の帝王と化しているという噂だ……ギルさんにも困ったものだけどね。
我が家のドラゴンはこんな感じかしらね?
あと一人、ドラゴンで確認されているのは、ネルフィームのお兄さんドラゴンの宝竜ファルヒュームが『ロックヘル』という銀行のような所で人々の財貨を守っている。
ファルヒュームは財貨に囲まれた生活を気に入っているので、早々ロックヘルから出てくることは無い。
「__と、いうわけで、エデンはドラゴンの谷に行きたいです!」
エデンが夕飯時に、声高らかに宣言したものの、何が「という訳なのか?」と、こちらとしては「???」という感じで首を傾げる。
「エデン、とりあえず一から説明しようか?」
「んん??」
首を傾げるエデンに、グリムレインが「我らにしか説明をしていない。嫁には口で伝えねば、話は見えてこぬのだ」と、どうやらドラゴン同士の中で話をしていたらしい。
「んっと、ドラゴンの谷に行って、ドラゴンハーフに食べられちゃった仲間の数を知りたいのと、なにか方法で見落としが無いかを調べたいの! だから、主様をドラゴンの谷に連れて行くの!」
「はい? 待って、エデン。それじゃ私を連れて行くことになるじゃない?」
「だから、そう言っているの!」
エデンが笑顔で目をくるくるさせながら「いい事言った」という得意気な顔をしているけど、私が行く必要はあるのかな?
「何故アカリがついて行かねばならん?」
「だって、主様が居ないと、エデンは力がちょっぴりしか使えないの。それじゃドラゴンの谷では対応しきれないの」
そう、ドラゴンは主従関係になってしまうと主の命令が無ければ全力で力が出せなくなる。数日ぐらいなら主命令で『全力でガンガンいきましょう!』も通じるけど、それがすぎると駄目なんだよね。
ルーファスが眉間にしわを寄せて溜め息を吐いているけど、他のドラゴン達もドラゴンの谷に行く気みたいでソワソワしているのが目に見えて分かる。
「えーと、ドラゴンの谷に行きたい子は手を上げてー!」
私が手を上げるように言えば、グリムレインとアクエレイン、エデンにスピナが手を上げる。
スピナも手を上げたという事は、ルーファスも巻き込みで一緒に行く事になる。
「私はリューもシューもここから離れられないだろうからパス」
「そうだね。僕は【刻狼亭】があるし、シューはフィリアから離れられないだろうしね。ごめんねアルビー」
「気にしないで。私は別にドラゴンの谷に行きたいわけじゃないしね」
リュエールとアルビーがフフッと笑い合って、小さなお猪口でお酒を飲み交わしながら楽しそうにしているけど、いつの間にかリュエールもアルビーとお酒を酌み交わせる歳になっちゃったのよねぇ。
「しかし、屋敷を空けて置く訳には……」
「大旦那、別に大旦那やアカリが少し居なくても、俺が居りゃなんとかなるだろ? なっ? スー」
「んふーっ」
まぁ、確かにハガネに任せておけば、我が家は安泰ではあるのよね。悔しいけど、ハガネは我が家の子供達を全員育ててきたようなものだし、お料理から何から器用にこなすのよ……多分、私が死んだとしても、ハガネが居たら何とかなっちゃいそうなのよね。
「ルーファス、どうしようか?」
「ふむ。しかし、コハルがいるからな……コハルも連れて行くか?」
ルーファスがコハルを膝に乗せようとしたら、ハガネの方へトテトテ歩いて、スクルードからハガネの膝の上を陣取る暴君ぶり……
コハル、お父さんが悲痛な顔ですよ? これはコハルもわざとやっていそうな気がする。
愛されているのを知っているからこその暴君ぶりなのよね。
「アカリ……」
「まぁ、ドラゴンの谷なんて面白そうな所に早々行ける物じゃないだろうし、行ってみましょうか? 旅行がてら」
「やったのー!」
ルーファスより先にエデンが飛びついてきて、グリムレインとアクエレインもついでとばかりに飛び掛かってくる。うーん。モテモテではあるけど、潰される―!! ついでにルーファスがギリギリ歯を剥きだしているから、そろそろ離れた方が良さそうだ。
こうして、ドラゴンの谷へのプチ旅行計画が決定した。
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