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友達は少ない方ですが
しおりを挟む友達が居ないのには理由がちゃんとある。
一番の原因は私がディザスターという事で、二番目の原因は兄達のガードがかなり堅いこと。
と、言ってもソルはとても好意的だけれどそれは王家とディザスターの関係を考えればまぁ必要なことでもあるからだろうと思っている。
近頃、望まずしてできた友達の聖女ことリエラは純粋で眩しすぎて苦手だ。
「珍しいね、お茶?」
「んっ……ファル兄さんっ、やらぁっ」
「返事してないよ、王宮に通って何してるの?ソル?」
「違うの……っリエラが居るからっっんんーー!!」
魔法で拘束されて動けない私の全てを隈無く愛するファルズフ兄さんは容赦が無くて、隣の部屋ではベリアル兄さんが商談しているのにみっともなく漏れ出る声はもう殆ど叫びとなりつつある。
もう何度も何度も繰り返された愛情表情に身体は敏感に反応して、ファルズフ兄さんの指が極部を撫でるだけで大きく跳ねて達した。
同時に水音が鳴って、羞恥で涙が溢れると頬に舌を這わせたファルズフ兄さんは「可愛い」「愛してる」と甘く囁いてくれる。
掠れた声で、「聖女が……王宮に保護されてるから、友達になったの」と言うと少しだけ目を見開いて「そうだったの、ごめんね」って拘束を解いてくれた。
いくら私でもファルズフ兄さんには敵わないから、いつも機嫌を損ねると落ち着くまでは話を聞いてもらえなくてこうなって困る。
だから何度も言おうとしたのに、兄さん達のために聖女との関係を良好に保ってるのにって言おうとしたけど説明できないから止めた。
私を「美しい」というリエラは知らないだろう。
ドロドロに甘やかされて兄たち無しでは生きていけない私のこんな姿を想像もしないだろうし、彼女こそ美しくて凛々しい。
だからこそ兄達は好きになってしまうのだろうか。
そう考えると突然モヤモヤして不安になって、身体の熱が引いた。
「友達も親友も良いけど、イチバンは俺達だけだよフリア。ずっと三人一緒だよ」
なんて当たり前の事を言うファルズフ兄さんの言葉に違和感を感じたのはほんの最近、前世の知識を得た瞬間だった。
すごい速度で失われる前世の知識はもう殆ど断片的で、メモを頼りに行動の策を練っている。既に始まっている筈のシナリオは全くその通りには動かないが。
今度は「ベリアルにもお裾分けしないと」って壁に押し付けられて背後から容赦なく突き上げられて悲鳴にも似た声が出た。
「あの商談長にこの間、手握られてたね」って言うけど全然覚えていなくて
挨拶が何かだったんじゃないかなって言いたいけれど、私から発されるのは情けない声が出るだけ。
「仲直りシようねえ」
呑気なファルズフ兄さんの声が場違いで可笑しい。
「おー、おー兄さん、商談相手情けない顔して帰ったぜ」
「ベリアル、お疲れ様」
「ベリアル兄さんとも仲良くしてな?」
そう言って私の頭を撫でたベリアル兄さんの質量が大っきくなったのを口内で感じてじわりと身体の奥が熱くなった。
そう、コレは間違ってるって確かにあの時感じた筈なのに
兄さん達から逃げなきゃって何で思ったのか思い出せない
物心ついた時から三人でずっとひっついてたし、
私達にとっては普通の日常でどの部分が危険だったのか分からなくなって、ただザワつく胸の気色の悪い感覚だけが残っていた。
「フリアは俺達が好きだねぇ、また締まった」
「んっ、ん、にひさん、好きっ」
「そのまま喋んな……俺らも、フリアが好き」
「ベリアルにひさっ、ぁっ」
「俺も呼んで」
「ファルにひはっんんーーー!!!!」
何度目か分からない頂点に意識は途絶えて、結局何が駄目だったのか思い出せなかったなって思ったのが最後だった。
朝になったら三人で手を繋いで眠っていて
「幸せだなぁ」って笑ったら兄さん達も同じように笑った。
でも、昨日の商談相手だろうか?
私達の仲の良さが噂になって、一晩にして「イカれた兄妹」として広まったらしい報告が届いて兄さん達は平気そうだったけど私は驚いた。
「ねえ、兄妹ってどこまでが良くて、どこから駄目なの?」
「何言ってるのフリア、普通にしてれば大丈夫だよ」
「でも……ファル兄さんっ」
「俺達を信じな?」
「ベリアル兄さん……」
きっと大丈夫だと心を落ち着かせて、二人に「分かった」って微笑んだ。
だってこれが日常だし、二人からの愛は重いけど嫌じゃないから。
「「愛してるよ、フリア」」
「私もよ!」
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