暴君に相応しい三番目の妃

abang

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噂ほど悪い子じゃないわ

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他の使用人達の落ち込んだ様子を見て何かあったのだとすぐに分かった。


ララが調べたところ、第三妃はと噂が立っているらしい。


レントンにも色目を使っている、だとか。

容姿と身体を遣って立場を固めている。

と、言った馬鹿らしい内容のものばかりで中にはとても性格の悪い悪女だという噂もあった。


「ふぅん」

「ドルチェ様……第二妃殿下の仕業でしょう」

「身も心も汚れた悪女ね……」

「どうされますか?」

「まぁ、性格が悪いのだけは合ってるわね」


くすくすと笑うドルチェは一体こんなにも無礼な仕打ちの何がおかしいのだろう?ララは主人を貶され怒りの気持ちでいっぱいだった。


「まずは、陛下との初夜が必要ね」

「えぇっ!」

「そんなに赤くして、可愛い子ね」

「えっと、でも……何故?」

「私がだと証明して貰うのよ、彼に」


確かに一理あるが、相手は暴君と名高いヒンメルだ。

そう簡単にことが進むだろうか?

それでも、ぶっ飛んだ発想ではあるが確実な方法だった。



「さ、流石です!ドルチェ様」

「とびきり綺麗にしてくれる?皆……」


ララを筆頭に侍女やメイド達は意気揚々と返事をする。



(って、言ったもののどうやって彼の寝室へ……?)



強引に寝室へ入れば、刺客を疑われるだろう。

とは言え遠慮していてはいつまで経っても実現しない。

段々とエスカレートしていく噂を放っておくのも威厳に関わる。


初歩的で地味だが、こう言う他人には確認しようがない噂は名誉を貶める為には有効なのだ。


いつもより丁寧に湯浴みをして、手入れをしてもらう。

お気に入りの寝衣では無くシースルーの美しいが機能性にかけるナイトドレスを着るとガウンを羽織った。


噂はきっとヒンメルにまで届いている筈だ。


けれど彼から何の音沙汰もない所をみると信じていないのか、特に興味がないかのどちらかだろう。


(きっと後者ね)


とにかくここ最近で知ることが出来た、彼がよく通る場所でヒンメルを待つ。


レントンと数人を連れて歩いて来たヒンメルに微笑んだ。


「何してる?」

「待っていました」

「何のつもりだ」

「私達、初夜がまだだと思いまして」

「ハ、馬鹿な事を……帰れ」


「じゃあこれは、要りませんでしたね……」


ヒンメルに背中を向けてからはらりとローブを肩から落としていく。


薄桃色のシースルードレスの下からでも分かる艶やかで柔らかそうな肌、引き締まった細い腰、その場の全員が危険を察知し、慌てて目を背ける。

けれど、その先を想像せざるを得ない色香。

前を向いてしまえばどうなるのか、きっとヒンメルの為だけに磨き上げれた最上級の美しさ。


ヒンメルもまた喉を静かに嚥下した。


こんな場所で堂々と皇帝を誘惑しようという度胸。


まるで自分の価値を恥じない堂々たる姿。


そして何よりも耐え難い色香と、ほんの少しだけ震えている指先から感じる愛らしさ。


身体の奥底から熱くて泥々したものが込み上げるのが分かった。


それは、情欲、そして……独占欲だった。


ヒンメルはそれ以上、ドルチェを他の者の目に触れさせない為にマントを脱いで被せると背中と膝裏に腕を回して抱き上げた。


(やはりな……)

自信ありげな表情とは裏腹に、指先は震え脚には力が入っていない。


「そんなに、俺が欲しいと?」

意地悪く耳元で囁くと、一瞬瞳を揺らせたドルチェはすぐに表情を元に戻して彼の耳元に囁き返した。


「初めては、貴方がいいと思ったの」


ぷつん、

ヒンメルの理性が切れる音がした気がした。







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