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研究所
8話 計画
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「おはよう、アメリア」
「ん……おはよう」
朝、重い頭をフラフラさせて、目を擦る。アメリアよりも先に起きていたレオは、霊達と脱走の話をしていた。いつ、どうやって、どこから抜けてるのか。牢屋の鍵や警備、相手の武器も考えた。
「レオ、誰かと喋っていた?」
「霊と話してたよ」
「え……? 霊? いるの? 喋れるの?
すごーい! 初めて知ったよ! 良いなあ、私も見たい」
全く嫌な素振りをせず、むしろ褒めてきた。普通の子供なら、きみ悪がるはずなのに、自分も見たいなんて発言をしている。そんな相変わらずな態度に、レオは微笑んで見せると考えている事を明かした。
「脱走しよう。逃げれるかもしれない」
「本当? でも、どうして急に?」
「色々とねー。話長くなるし、恥ずいから言わなーい」
「えー、何気になるじゃん。脱走、本当にやるんだよね? どうするの? 鍵とか特に」
「アメリアもそんな事考えれるの⁉︎ 走れば何とかなるとか思ってそうだけど」
「失礼ね。それくらい考えるよ。まあ、走れば良いとは少し思ってたけども」
やっぱりね、と言いながらレオはスクッと立ち上がった。そして、縦に並んだ金属の棒を握りながら、牢屋の先の廊下を見つめる。廊下を進むと扉があり、その奥は階段になっていて、下におりなければならない。まず、問題なのが、扉に立っている警備員だ。
「まず、鍵は霊が持ってこれれば何となりそう。一番は、その先の扉の警備員と、階段を降りた先の研究員と実験体。そこをどうやって抜けるか……」
「別に、廊下を通らなくても良いんじゃない?」
「何言ってるの? それ以外にどこを通るっていうんだ」
アメリアは、外が見える隙間を指差した。つまり、飛び降りて逃げるという事だ。突拍子もない発想に、レオは首を横に振る。
「ここは二階。死なずに済んでも、怪我はするよ。それじゃあ、逃げるのに手こずってしまう」
「レオは忘れちゃったの? 私はエルフの血を持っているのよ。重い病気や瀕死な状態は無理でも、多少の火傷は切り傷は何とかなるわ」
「キツいでしょ。骨折とかは難しくない? 魔力の消費が激しくて、体力がなくなるのも問題だよ」
それに「あー、そっか」とアメリアは納得すると、考えるなり口を閉じた。すると、十一番が横から計画の話し合いに参加する。
「霊は飛べるぜ」
当たり前の事を言われて「は?」となった。霊は飛べたとしても、レオやアメリアは飛べない。レオは十一番の話に、だから何? とでも言うように、続きを待った。
「全員で力を合わせて、レオとアメリアを運ぶのはどう? 例えば、金属の棒を霊が持って、それに捕まりながら降りるとか」
「「それだ!」」
レオと三十二番は声をハモらせて、納得するようにうなずいた。それなら、怪我をせずに降りる事ができる。十一番は、二人の盛り上がりようにドヤ顔をして見せる。
「すごい! 霊って飛べるし物も触れるんだ」
レオは、飛び降りる十一番の名案をアメリアに話した。すると、霊の性質に目をキラキラと輝かせる。それに、十一番は「へへん」と得意満面の笑みをした。三十二番は「何得意げになってんのよ」と頭をバシッと叩いた。
「じゃあ、問題は柵をどうやって越えるか……。子供二人分の体重を、私たち霊でも柵まで運ぶのは難しいから、ニ階から下ろした後の先を見つからずに逃げないと。それに、あの高いトゲトゲした柵を越えるには、出入り口を通らないといけないし、そこには警備員がいるよ」
三十二番の言葉に、全員が「うーん」と顎に手を当てて考えた。レオはアメリアに通訳すると、彼女も「んー、壊すのは難しいかなぁ」と外に目を泳がせながら考える。
レオは、何分か考えると頭がパンクし、唸りながら大の字に体を横にした。ちょっとしたため息を吐くと、目の前の天井を見ながら呟く。
「研究所の兵器を盗んで、柵やら何やら壊して逃げるのは? ……なんてね」
「それ、意外といけんじゃね? 俺達霊で兵器を動かして、物が浮いてる&自分達に作動って、大混乱☆ その間に、逃げるのは?」
「でもさ、そんな上手く行くかな」
「やってみないとわかんないけど、やってみる価値はあるよ」
三十二番の言葉に、レオはそうかも、と頷いた。もし、それでも出入り口の警備員を退かす事ができなかったら、レオとアメリアが武器を持って対抗するしかない。あまりにもリスクが高いが、できることと言えばこれくらい。三十二が言ったように、全てやらないと分からないし、少なくとも成功の可能性はある。
むしろ、失敗する前提で考えた方が良さそうだ。
そうして、話し合いを続けて、鍵を盗むタイミングや決行の日、どこから通って出入り口まで行くか考えた。その時に、研究員が食事を持ってくる事があり、二人は慌てて口を閉じた。
勘付かれてしまったら、もう全て終了だ。
途中途中でアメリアが気後れしていたが、それに合わせるようにレオは通訳する。自分も霊が見えたらな、なんてアメリアは言い出していたが、説明すると脳を整理できた。
「絶対に、生き残れよ」
「うん! ありがとう」
十一番が確かめるように、レオに言った。
逃げることへの不安や恐怖があったが、霊達の励ましや協力で段々と自信が出てくる。大丈夫、できるはずだ、と自分に言い聞かせながら、決行の日を待った。
「ん……おはよう」
朝、重い頭をフラフラさせて、目を擦る。アメリアよりも先に起きていたレオは、霊達と脱走の話をしていた。いつ、どうやって、どこから抜けてるのか。牢屋の鍵や警備、相手の武器も考えた。
「レオ、誰かと喋っていた?」
「霊と話してたよ」
「え……? 霊? いるの? 喋れるの?
すごーい! 初めて知ったよ! 良いなあ、私も見たい」
全く嫌な素振りをせず、むしろ褒めてきた。普通の子供なら、きみ悪がるはずなのに、自分も見たいなんて発言をしている。そんな相変わらずな態度に、レオは微笑んで見せると考えている事を明かした。
「脱走しよう。逃げれるかもしれない」
「本当? でも、どうして急に?」
「色々とねー。話長くなるし、恥ずいから言わなーい」
「えー、何気になるじゃん。脱走、本当にやるんだよね? どうするの? 鍵とか特に」
「アメリアもそんな事考えれるの⁉︎ 走れば何とかなるとか思ってそうだけど」
「失礼ね。それくらい考えるよ。まあ、走れば良いとは少し思ってたけども」
やっぱりね、と言いながらレオはスクッと立ち上がった。そして、縦に並んだ金属の棒を握りながら、牢屋の先の廊下を見つめる。廊下を進むと扉があり、その奥は階段になっていて、下におりなければならない。まず、問題なのが、扉に立っている警備員だ。
「まず、鍵は霊が持ってこれれば何となりそう。一番は、その先の扉の警備員と、階段を降りた先の研究員と実験体。そこをどうやって抜けるか……」
「別に、廊下を通らなくても良いんじゃない?」
「何言ってるの? それ以外にどこを通るっていうんだ」
アメリアは、外が見える隙間を指差した。つまり、飛び降りて逃げるという事だ。突拍子もない発想に、レオは首を横に振る。
「ここは二階。死なずに済んでも、怪我はするよ。それじゃあ、逃げるのに手こずってしまう」
「レオは忘れちゃったの? 私はエルフの血を持っているのよ。重い病気や瀕死な状態は無理でも、多少の火傷は切り傷は何とかなるわ」
「キツいでしょ。骨折とかは難しくない? 魔力の消費が激しくて、体力がなくなるのも問題だよ」
それに「あー、そっか」とアメリアは納得すると、考えるなり口を閉じた。すると、十一番が横から計画の話し合いに参加する。
「霊は飛べるぜ」
当たり前の事を言われて「は?」となった。霊は飛べたとしても、レオやアメリアは飛べない。レオは十一番の話に、だから何? とでも言うように、続きを待った。
「全員で力を合わせて、レオとアメリアを運ぶのはどう? 例えば、金属の棒を霊が持って、それに捕まりながら降りるとか」
「「それだ!」」
レオと三十二番は声をハモらせて、納得するようにうなずいた。それなら、怪我をせずに降りる事ができる。十一番は、二人の盛り上がりようにドヤ顔をして見せる。
「すごい! 霊って飛べるし物も触れるんだ」
レオは、飛び降りる十一番の名案をアメリアに話した。すると、霊の性質に目をキラキラと輝かせる。それに、十一番は「へへん」と得意満面の笑みをした。三十二番は「何得意げになってんのよ」と頭をバシッと叩いた。
「じゃあ、問題は柵をどうやって越えるか……。子供二人分の体重を、私たち霊でも柵まで運ぶのは難しいから、ニ階から下ろした後の先を見つからずに逃げないと。それに、あの高いトゲトゲした柵を越えるには、出入り口を通らないといけないし、そこには警備員がいるよ」
三十二番の言葉に、全員が「うーん」と顎に手を当てて考えた。レオはアメリアに通訳すると、彼女も「んー、壊すのは難しいかなぁ」と外に目を泳がせながら考える。
レオは、何分か考えると頭がパンクし、唸りながら大の字に体を横にした。ちょっとしたため息を吐くと、目の前の天井を見ながら呟く。
「研究所の兵器を盗んで、柵やら何やら壊して逃げるのは? ……なんてね」
「それ、意外といけんじゃね? 俺達霊で兵器を動かして、物が浮いてる&自分達に作動って、大混乱☆ その間に、逃げるのは?」
「でもさ、そんな上手く行くかな」
「やってみないとわかんないけど、やってみる価値はあるよ」
三十二番の言葉に、レオはそうかも、と頷いた。もし、それでも出入り口の警備員を退かす事ができなかったら、レオとアメリアが武器を持って対抗するしかない。あまりにもリスクが高いが、できることと言えばこれくらい。三十二が言ったように、全てやらないと分からないし、少なくとも成功の可能性はある。
むしろ、失敗する前提で考えた方が良さそうだ。
そうして、話し合いを続けて、鍵を盗むタイミングや決行の日、どこから通って出入り口まで行くか考えた。その時に、研究員が食事を持ってくる事があり、二人は慌てて口を閉じた。
勘付かれてしまったら、もう全て終了だ。
途中途中でアメリアが気後れしていたが、それに合わせるようにレオは通訳する。自分も霊が見えたらな、なんてアメリアは言い出していたが、説明すると脳を整理できた。
「絶対に、生き残れよ」
「うん! ありがとう」
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