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20、言ってしまいました。
「ヒューバート様、私から求婚されて照れ隠しをしているのだとしても、その冗談は全く笑えませんわよ」
「冗談ではなく本心です。わざわざご足労頂いた様ですが、私が貴女と婚姻を結ぶことはこの先もありませんので、どうぞお帰りください」
王女様に対してそんな言い方をして不敬にならないかと心配になるけれど、ヒューバート様も相当怒ってらっしゃる様で、こういう言い方しかできなかったのでしょうね。
「ふふふ、ヒューバート様ったら本当に冗談がお上手ね。帰るのは私ではなくその方ではなくて?」
私を指さす王女に、ヒューバート様が分かりやすく睨み返す。
「私は、冗談が嫌いなんです。そして、私の顔だけを見てよってくる貴女のような女性も心底嫌いです。このまま衛兵によってつまみ出されたくなければ、ご自分で歩いてここから出て行って下さい」
ヒューバート様が射殺すように王女様を睨みつける。
けれど、王女様はにこやかに笑って答える。
「どうして私がそんなことをする必要があるのかしら?私はヒューバート様の顔だけを見て擦り寄ってくる女達とは違いますわ」
「では、私が顔にひどい火傷をおったとしても、貴女は私を愛することが出来ますか?」
「それは無理なことですわ。顔に傷があれば、貴方の価値がないにも等しいことになるのですから」
無邪気に笑って答える王女様の言葉に、私の中で何かが切れる音がした。
「顔に傷を負ったくらいでヒューバート様の魅力は減りませんわ」
「なんですの急に?貴女も結局はヒューバート様の顔に惹かれて結婚したのでしょうに、一体何様なのかしら?」
「確かに、ヒューバート様を好きになったきっかけは見た目ですが、ヒューバート様を見ている間に、冷たいと言われてしまうけど実は誰にでも平等で優しいところや、どんな事にも努力を惜しまない姿に惹かれたのです。決して見た目だけでヒューバート様と結婚したいと願ったわけではありませんわ!」
たとえヒューバート様が顔に火傷をおったとしても、酷いアザが出来たとしても、私はヒューバート様の事を嫌いになったりなんてできない。
もしそうすることが出来るのなら、こんなにもヒューバート様への恋心を捨てるのに苦労なんてしていないのだから。
「努力?何を仰っていますの?ヒューバート様は努力せずになんでもこなせる所が凄いのではありませんか」
「そう見せているだけです。なにもご存知ないのにヒューバート様を知ったような事を言うのはお控えください」
「っ、なんなんですの!突然現れて、私よりもヒューバート様の事を分かっているような口を聞いて!不敬にも程がありますわよ!」
不敬と言われようとも、私は好きな人の努力を無下にする様なことを言われて黙っていられない。
「ヒューバート様のことを何も分かっていない貴女なんかより、私の方が幸せに出来るに決まってますわ!いい加減ヒューバート様から離れなさい!」
「お断りします!」
「なんですって!私はヒューバート様と結婚するのよ!貴女なんてお呼びではないのだから、どこかへ行きなさいよ!」
喚き出す王女様に、私も負けじと大きな声で応戦する。
「どこかへ行くのは貴女です!ヒューバート様の事を何も知ろうともせず、自分の理想と気持ちを押し付ける貴女にヒューバート様の隣は似合いません!」
「捨てられた人がそんなことを言っても説得力なんてありませんわ!それに私の方が貴女よりもヒューバート様を愛していますのよ!私以上に彼の妻に相応しい人なんているはずがないでしょ!」
「ヒューバート様への愛なら私も誰にも負けるつもりはありません!それに、ヒューバート様は私の事を愛して下さっているのですから、貴女こそお呼びではありませんわ!!」
力の限りそう避ければ、王女様が一瞬だけ動きを止める。
そして、唐突に笑い出す。
「ふふふ、あはははは、貴女がヒューバート様に愛されている?離婚をされてもそんな妄想を堂々と言うなんて、あなたって可哀想ね」
相当面白かったのか、王女様がお腹を抱えて笑っている。
その姿に、自分で言ったことを思い出して恥ずかしくなってくる。
勢いに任せてなんて事を言ってしまったのかしら…。それも、旦那様の隣で…。
「ふふふ、こんなに笑ったのは久しぶりよ。ふふ、もう一度言ってくれるかしら?貴女は誰に愛されているの?」
小馬鹿にしたように言われて、余計に恥ずかしくなってくる。
なんだかいたたまれなくなって俯いてしまう。
「彼女、俺から愛されているんです」
俯く私の隣で、ヒューバート様がハッキリと王女様にそう告げると、不意に顎を指ですくいあげられて、柔らかいものが唇に触れる。
それがヒューバート様の唇だと気付いて顔が熱くなる。
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