20 / 28
ルーファス視点
楽しいパーティーの始まりだ!
しおりを挟むエリーナとワーズスを笑いものにしてやろうと思い立ってから3ヶ月近く、ようやくアイツらをバカにしてやる日が来た。
本当ならもう少し早くしてやるつもりだったが、俺の可愛い子猫ちゃんが満足するパーティーをするために思いの他時間がかかってしまった。
だが、そのおかげで子猫ちゃんに満足して貰えたのでよかった。
準備する間は周りがうるさく言ってきたが、全て無視してやった。
「マルクス嬢ならこんな無茶を言われたりしませんでしたよ」なんて言ってきやがる奴らもいたが、もうアイツは居ないのだから言うだけ無駄だろうが。
あの女は俺の婚約者でなくなった今でも俺の事を煩わせやがって…。
だが、そのイラつきも今日で少しはマシになるだろう。
会場へ出て行くまで待機しながらこれから起こるであろうことを想像してニヤけそうになる。
アイツらは一体どんな顔をするだろうな。
恥ずかしくて下を向きながら会場から出ようとするかもな。
ん?会場が何故か色めきたっているな。
俺はまだ登場していないというのにどういう事だ?
「ルーファス様」
「どうしたんだい子猫ちゃん?」
会場を覗いてた子猫ちゃんがこちらへと戻ってきて俺の腕を掴む。
いつも思うが、この胸に当たる柔らかい感覚は癖になるな。
あの女にはなかった豊満さ。やはりあの女と婚約解消をして正解だったな。
「あの、先にエリーナ様にご挨拶をしてもいいですか?」
「エリーナに?」
どうせこれから会うのだからわざわざ今行かなくてもいいだろうに、突然どうしたんだ?
「パーティーが始まってからだと、たくさんの方にご挨拶してエリーナ様とお話する時間があまり取れないと思うので、先にお話させて頂きたいんです」
ダメですか?と胸を押し付けながら上目遣いで聞かれて嫌と言う男は男じゃないだろう。
「いいだろ。では、今から行くか」
「殿下、もうすぐご入場のお時間ですが!」
「煩い!すぐ戻ってくるからお前達はここで待機しておけ!」
全く融通の利かない奴らめ。
少しくらい出て行くのが遅くなっても構わないだろうが。
さて、俺達は別の入口からアイツらの所へ行こうか。
アイツらは一体どこにいるのか…。
なんだあの人だかりは。
周りにいるのは令嬢ばかりのようだが、俺はここに居るのに一体何をしているんだ。
「ルーファス様…あちらにエリーナ様がいらっしゃる様ですわ」
「ああ、そうだな」
何故か子猫ちゃんが掴んでいる手に力が入っている気がするのだが、気のせいか?
服の上からでも分かるほど爪がめり込んで来ているんだが、一体どうしたんだ。
「エリーナ様は、どうやら婚約者様と来られなかった様ですね」
「ん?誰だあの男は?」
婚約者同伴とわざわざ書いてやったのに、別の男を連れてくるとはなんて非常識なやつだ。
隣にいる男は見た目は俺ほどではないがまぁまぁ良い顔立ちをしているな。
ふ、あんな女でも周りの目は気になるのか。
どこで雇った男かは知らないが、婚約者の代わりに見た目が良い男をパートナーに連れてくるなんて笑えるな。
あの生意気なワーズスを笑えなかったのは残念だが、これはこれでいい笑いものになるだろうから許してやるか。
「エリーナ、久しぶりだな」
移動しようとしてるエリーナに声をかけてやれば、少し驚いた顔をしながら挨拶を返してくる。
挨拶だけではなく俺への注意も入っていたがな。
全く、この女は相変わらず俺をイラつかせることしか言わないのか。
婚約解消を根に持っているのだろうが、そんなことは無いと嘘までついてくる。
本当に素直じゃない女だ。
まぁ、俺に婚約解消されて醜い男と婚約させられたのだから嘘も付きたくなるか。
パートナーも別の男を連れてきて、婚約解消も気にしないフリをするとは面白いな。
すぐにバレる嘘をついてまで自分を守りたいのか。
だが、そんな嘘は通用するはずがないだろ。
このパーティーが終わった頃にはお前は国中の笑いものになるんだ。
子猫ちゃんの言った通り先に会いに来て正解だったな。
おかげでパーティーが始まる前から気分が良い。
「あの…。私のせいで、ルーファス様と婚約解消をする事になって、ごめんなさい!」
子猫ちゃんがこの女に謝る事なんて何も無いだろう!
何故子猫ちゃんが謝っているんだ!
婚約解消のそもそもの原因を作ったのはエリーナ自身なのに!
醜い男と婚約したことを気にかけていたなんて、なんて優しいんだ俺の子猫ちゃんは…!
それに比べてこの女はなんだ!
謝罪は不要?パートナーにあの男を連れてきていないくせに強がるのもいい加減にしろ!
631
あなたにおすすめの小説
追放された令嬢ですが、隣国公爵と白い結婚したら溺愛が止まりませんでした ~元婚約者? 今さら返り咲きは無理ですわ~
ふわふわ
恋愛
婚約破棄――そして追放。
完璧すぎると嘲られ、役立たず呼ばわりされた令嬢エテルナは、
家族にも見放され、王国を追われるように国境へと辿り着く。
そこで彼女を救ったのは、隣国の若き公爵アイオン。
「君を保護する名目が必要だ。干渉しない“白い結婚”をしよう」
契約だけの夫婦のはずだった。
お互いに心を乱さず、ただ穏やかに日々を過ごす――はずだったのに。
静かで優しさを隠した公爵。
無能と決めつけられていたエテルナに眠る、古代聖女の力。
二人の距離は、ゆっくり、けれど確実に近づき始める。
しかしその噂は王国へ戻り、
「エテルナを取り戻せ」という王太子の暴走が始まった。
「彼女はもうこちらの人間だ。二度と渡さない」
契約結婚は終わりを告げ、
守りたい想いはやがて恋に変わる──。
追放令嬢×隣国公爵×白い結婚から溺愛へ。
そして元婚約者ざまぁまで爽快に描く、
“追い出された令嬢が真の幸せを掴む物語”が、いま始まる。
---
放蕩な血
イシュタル
恋愛
王の婚約者として、華やかな未来を約束されていたシンシア・エルノワール侯爵令嬢。
だが、婚約破棄、娼館への転落、そして愛妾としての復帰──彼女の人生は、王の陰謀と愛に翻弄され続けた。
冷徹と名高い若き王、クラウド・ヴァルレイン。
その胸に秘められていたのは、ただ1人の女性への執着と、誰にも明かせぬ深い孤独。
「君が僕を“愛してる”と一言くれれば、この世のすべてが手に入る」
過去の罪、失われた記憶、そして命を懸けた選択。
光る蝶が導く真実の先で、ふたりが選んだのは、傷を抱えたまま愛し合う未来だった。
⚠️この物語はフィクションです。やや強引なシーンがあります。本作はAIの生成した文章を一部使用しています。
殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!
さくら
恋愛
王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。
――でも、リリアナは泣き崩れなかった。
「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」
庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。
「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」
絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。
「俺は、君を守るために剣を振るう」
寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。
灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。
答えられません、国家機密ですから
ととせ
恋愛
フェルディ男爵は「国家機密」を継承する特別な家だ。その後継であるジェシカは、伯爵邸のガゼボで令息セイルと向き合っていた。彼はジェシカを愛してると言うが、本当に欲しているのは「国家機密」であるのは明白。全てに疲れ果てていたジェシカは、一つの決断を彼に迫る。
転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!
木風
恋愛
婚約者に裏切られ、成金伯爵令嬢の仕掛けに嵌められた私は、あっけなく「悪役令嬢」として婚約を破棄された。
胸に広がるのは、悔しさと戸惑いと、まるで物語の中に迷い込んだような不思議な感覚。
けれど、この身に宿るのは、かつて過労に倒れた29歳の女医の記憶。
勉強も社交も面倒で、ただ静かに部屋に籠もっていたかったのに……
『神に愛された強運チート』という名の不思議な加護が、私を思いもよらぬ未来へと連れ出していく。
子供部屋の安らぎを夢見たはずが、待っていたのは次期国王……王太子殿下のまなざし。
逃れられない運命と、抗いようのない溺愛に、私の物語は静かに色を変えていく。
時に笑い、時に泣き、時に振り回されながらも、私は今日を生きている。
これは、婚約破棄から始まる、転生令嬢のちぐはぐで胸の騒がしい物語。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、Wednesday (Xアカウント:@wednesday1029)さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎子供部屋悪役令嬢 / 木風 Wednesday
婚約破棄されたので辺境でスローライフします……のはずが、氷の公爵様の溺愛が止まりません!』
鍛高譚
恋愛
王都の華と称されながら、婚約者である第二王子から一方的に婚約破棄された公爵令嬢エリシア。
理由は――「君は完璧すぎて可愛げがない」。
失意……かと思いきや。
「……これで、やっと毎日お昼まで寝られますわ!」
即日荷造りし、誰も寄りつかない“氷霧の辺境”へ隠居を決める。
ところが、その地を治める“氷の公爵”アークライトは、王都では冷酷無比と恐れられる人物だった。
---
見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます
珠宮さくら
恋愛
ローザンネ国の島国で生まれたアンネリース・ランメルス。彼女には、双子の片割れがいた。何もかも与えてもらえている片割れと何も与えられることのないアンネリース。
そんなアンネリースを育ててくれた乳母とその娘のおかげでローザンネ国で生きることができた。そうでなければ、彼女はとっくに死んでいた。
そんな時に別の国の王太子の婚約者として留学することになったのだが、その条件は仮面を付けた者だった。
ローザンネ国で仮面を付けた者は、見るに堪えない顔をしている証だが、他所の国では真逆に捉えられていた。
編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?
灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。
しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる