婚約解消された私は醜い公爵令息と婚約することになりましたが、今の方が断然幸せです。

しあ

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ルーファス視点

全てが思い通りにいかない!

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「私の婚約者のリックス様なら、この会場に入る前から共にいますが?」


なんだと!?


嘘だろう…。
前にあいつを見た時は、座った椅子が壊れそうなほど太っていたぞ。それに、醜い顔を隠すために前髪を伸ばして、メガネもしていた。


いや、この男もメガネはしているか。
だが、眼鏡など買えば誰でもつけられる。
眼鏡をしているからと言ってこれがあの男なんて通るはずがない。


だが、この男の瞳の色はワーズス家の直系しか受け継がれないと言われるエメラルドグリーンと同じだ。


いや、まさか、そんな事は…!


子猫ちゃんの言葉に激高したエリーナを宥めるように発した声は、俺の記憶の中にあるワーズスのものと全く同じだ…。


そんな、そんな事があるのか!?
何故こんなことに!


驚いている俺とは違い、何故か子猫ちゃんが強い口調でワーズスに問いかける。
一体どうしたんだい子猫ちゃん!


今までの奥ゆかしく大人しい君が、一体どうしてそんなにも感情的になんているんだ!


「待ちなさいよ!こんなの詐欺だわ!よくも私を騙してくれたわね!」
「落ち着いて子猫ちゃん!今まで大人しかった君が一体どうしたんだ!?」
「煩いわね!こんなこと、絶対に許されないわ!ちょっと、聞いてるの!ワーズス様!」


う、うるさい!?
子猫ちゃんが俺にこんな事を言うはずがない!
一体あの男は俺の子猫ちゃんに何をしたんだ!


せっかくエリーナとワーズスを笑ってやろうと思っていたのに、それどころではなくなってしまったじゃないか!
子猫ちゃんを何とかなだめてパーティーを始めることは出来だが、子猫ちゃんはワーズスが帰ってからずっと不機嫌で、周りも帰ったアイツらの話でもちきりで俺達のことを本気で祝おうとはしてこない。


くそぉ!主役の俺たちよりも目立ちやがって!
少し痩せて小綺麗になっただけだろうが!
俺を前にしてよくあんな男を見ることが出来るな!
どう考えても俺の方が美しい顔をしているだろうが!


くそくそくそ!
あんな奴らをパーティーに呼ぶんじゃなかった!
せっかくの祝いの席が台無しだ!


きっとこの日は人生で1番最悪な日になる。
そう思っていたが、この日を境に俺の人生は最悪なものへと変わっていった。


パーティーでワーズスに会った次の日から、子猫ちゃんの俺に対する態度がガラリと変わった。


俺の前ではいつも笑顔を絶やさなかったのに、ニコリとも笑うことは無くなり、俺と目線を合わせずに不機嫌そうに地面ばかりを見るようになった。
俺が気を利かせて話しかけても雑な返事しか返ってこず、最終的には「鬱陶しいので話しかけないでください」なんて言い出す始末だ。


あんなにも俺のことが好きと言っていた子猫ちゃんは一体どこに行ってしまったんだ!
何故突然俺に対してこんなにも冷たい態度を取るのかがわからない!


分かることといえば、あの生意気なワーズスに会ってから子猫ちゃんが変わってしまったということだけだ。


一体あの男と子猫ちゃんの間に何があったんだ…。
聞いても何も答えることはないし、それどころか最近では俺の事を避けるようになってきている。
俺が何をしたと言うんだ!


子猫ちゃんの態度に日々頭を悩ませていると、王城である噂を耳にした。


それは、【子猫ちゃんが別の男と褥を共にしている。それも1人ではなく複数人と…】というものだった。


いや、そんなことがあるはずがない!
手を握っただけでも頬を赤らめていた子猫ちゃんがそんな事をするはずがない!
最近の態度はおかしいが、それはきっと王子の婚約者になったというプレッシャーでそうなったに違いない!
俺の子猫ちゃんがそんな事をするなんて絶対にありえない!


そう思っていたし、そう信じていた。


だが、仕事がいつもより早く終わり、子猫ちゃんを驚かせようと彼女の部屋を訪れた時、見てしまった。


子猫ちゃんが見知らぬ男とベッドで肌を合わせている所をーーー。


「なにをしているんだ!」
「っ!で、殿下!」


声を上げれば子猫ちゃんに覆い被さっていた男が弾かれるように子猫ちゃんから飛び退きベッドから落ちる。
俺より先に子猫ちゃんの肌に触れた男に怒りが湧くが、それよりも悪びれる様子もなく退屈そうな態度を取る子猫ちゃんに衝撃を受けて上手く言葉が出ない。


「あーあ、せっかくいい所だったのに…。ホント、ルーファス様って空気が読めないですよね」
「な、なにを言っているんだ…?それよりも、何をしていたんだ」
「なにって、見ればわかるでしょ?ていうか、まだ私が純情でか弱い女だと思ってたんですか?流石に察しが悪すぎません?」


俺に対してバカにするように笑う子猫ちゃんを前に、頭がついて行かない。


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