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リックス視点
婚約者で同居人!?
しおりを挟む彼女は後に第2王子と結婚し王族になる。
王妃ではないにしても、国の為に動く事になるだろう。
その時に国が衰退していれば彼女も苦労することになるはずだ。
ならば、少しでも彼女に苦労をさせない為にも、俺は俺の出来ることをしよう。
直接彼女に何かすることは出来ないが、間接的にでも彼女を助けられる様に、もっとこの国を豊かに出来るようにしていこう。
その為にはまず、国の見本になれるようにこの領をさらに豊かにしていこう。
固定概念は捨て、変えれるところは変えていこう。
他国のことを知り、見習う所は見習って改革を起こしていこう!
そう心に誓い、父上に頼み込んで領地の仕事を手伝わせてもらい、はや8年。
我が領は国1番の美食の地となり、他国で愛されている温泉を作ってみたり、道路整備をしてみたり、領民が住みやすいように福利厚生を整えてみたりと目まぐるしい日々が続いていた。
毎日大量の書類に追われて、俺の憩いといえば、空いた時間に1人で黙々と読書をするくらいだった。
今日は久しぶりに休みが取れたので、急用がない限りは本を読んで過ごそう。
床に座れば前に出た腹が邪魔をするが、床で読む方が好きなので頑張って座る。
最近また増量した為か膝に負担がかかってきた気がするな…。
少し痩せた方が良いのか?
だが、今はこの本の内容の方が興味深いので減量についてはまた後日考えよう。
なんて思っていたが、まさか本気で減量しようと思う日が来るなんて。
そして、まさかマルクス嬢が俺の婚約者になるなんて誰が想像できた?
そして俺の家に来るなんて、予想できるわけが無いだろう!
ルーファス殿下が、マルクス嬢と婚約解消したからお前の婚約者にした。と言う旨が書かれた封書が届けられた時き俺がどれだけ困惑したか…。
婚約解消したことも驚きだが、俺の婚約者にしたってどういうことだ。それも、俺の与り知らぬところで俺の婚約者を決めただと?
いや、相手がマルクス嬢なので拒否はしようとは思わない。
思わないが、もしかするとマルクス嬢自身も俺と同じで一方的に婚約を結ばされたんじゃないのか?
あの王子とは挨拶程度しか話したことは無いが、会う度に立場も考えずに俺の事を睨み付けてくるし、おそらく性格は見た目程よくはないのだろと思う。
婚約解消の理由は何なのかは分からないが、もう結婚目前の今になって解消するということは、おそらく円満な別れ方ではなかったのだろう。
だから婚約者であったマルクス嬢を俺なんかと婚約させ直したのだろう。
婚約解消だけでなく、俺の様な醜い容姿の相手を婚約者に選ぶだなんて、あの王子は思ったよりも性格が悪そうだな。
まぁ、今は王子の性格なんてどうでもいい。
それよりも、マルクス嬢か意に沿わぬ婚約を結ばされたのならとても不愉快だ。
だが、婚約解消をして直ぐにまた俺から婚約解消をされたとなれば、彼女に傷を付けることになるだろう。
それならば、婚約は形だけにして彼女には極力関わらないようにしよう。
そう思っていたのに、彼女と婚約をしたと知らされて直ぐに彼女がこの屋敷を訪ねてくるなんて予想外過ぎた。
目の前に初恋の人が現れてかなり動転して無様な姿を見せてしまったが、彼女の事情を聞けば、家を追い出されて俺を頼ってきたと言うではないか。
恥ずかしくてまともに顔が見れないが、彼女がここに滞在する間は快適に過ごしてもらえるように努めよう。
そして、出来る限り彼女に関わらないようにしよう。
そう思っていたが、両親が彼女と食事を一緒に摂ると言って聞かず、共にテーブルを囲むことになった。
その際俺達に気を使ってか、俺と結婚することは嫌ではないと言うような事を言っていたが、それは本心ではないだろう。
婚約解消をされ、家を追い出され、頼れるところは新たに婚約者にされてしまった俺しかいないんだ、気を使って心にも無いことを言ってしまうのも無理はないだろう。
だが、俺としては彼女には無理をしてほしくない。
ここにいる間は俺に気を使わずに好きな様にしてくれて構わないが、話した感じ彼女はとても心優しい女性のようだし、おそらくそれは出来ないだろう。
どうすれば彼女に気を使わせずに気楽に過ごしてもらえるだろうか…。
夕食後に急用だと回された書類に目を通しながら悩むが、いい案は出てこない。
気付けば日の出の時間になってきた。
書類はあらかた片づいたが、肝心の悩み事は解決しないまま。
煮詰まった思考を1度放棄しようとバルコニーに出れば、隣のバルコニーに薄着のマルクス嬢が立っていた。
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