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しおりを挟む式が終わってから、卒業生の団体から抜け出してきたルシオ先輩と転移門の近くにある木の下に歩いてきた。
転移門の周りには、卒業生と在校生、そして卒業生の親族でごった返していた。
式が終わって早々に帰ろうとする人、後輩に呼び止められて話をする人、最後の思い出にと魔法で花火を打ち上げる人、様々な人達がいるのをボーッと眺める。
明日からルシオ先輩と会えないのかと思うと、じわじわと寂しさが募ってくる。
「リディア、泣かないでよ」
「はい…」
頷いてはみるけど、涙は止まってくれる様子はない。
そんな私を見て、ルシオ先輩は苦笑しながら頭を撫でてくれる。この手付き、本当に好きだな…。
「ねぇ、リディア」
「はい…」
「オレさ、ずっとこの日に言おうって決めてた言葉があるんだけど、聞いてくれる?」
「はい…」
珍しく緊張した様子のルシオ先輩に、私も涙を流しながらもしっかりとルシオ先輩の目を見返す。
そうすれば、先輩は私の前で片膝を地面について腰を落とした。
「リディア、前にオレがレストランで君に、オレの奥さんとして生涯一緒にいて欲しいって言ったの覚えてる?」
「は、はい…覚えてます」
忘れられるわけがない。
「オレは今でもリディアがオレの妻になってほしいと思っている。まだ本格的に働いてなくて収入も少ない。だけど、リディアが卒業する来年までには、2人で贅沢して暮らせるほどまで稼げるようになってるって誓う。だから、その時はオレを君の夫にしてくれないだろうか」
「そんなの…」
そんなの、答えは決まっている。
好きな人にこんな事を言われて誰が断るのか、もしそんな人がいるなら教えて欲しい。私はきっと、今後この人より愛せる人はいないし、この人より私のことを愛してくれる人は現れないと確信している。
緊張しながらそっと差し出されたルシオ先輩の手に、ゆっくりと己のものを重ねる。
「私の方からお願いしたいです。私を、ルシオ先輩のお嫁さんにして下さい」
「マジ、で?」
私の言葉に、ルシオ先輩は信じられないという顔で見上げてきた。だけど次の瞬間、ゆっくりと顔が緩んでいく。その表情は少しいつもより幼くて可愛く見えた。
「よっしゃ!やった!今の、取り消したいって言っても絶対ダメだからね!」
グッと私の手を乗せている方とは逆の手を握りしめて喜ぶルシオ先輩に苦笑する。
「そんな事しませんよ」
「…わかんないじゃん。それに、オレまだ1度もリディアから好きって言われてないし」
拗ねたようにそう言われて首を傾げる。
「言ったこと、なかったですか?」
「なかった。オレが好きって言っても嬉しいですってしか言ってくれなかったじゃん」
「それはその…すみません……」
1度くらい言ったことはあると思ったけれど、思い返しても言った記憶がない。ルシオ先輩はあんなにも毎日私のことを好きだと言ってくれていたのに、私から気持ちを伝えていなかったなんて、なんだか申し訳ない。
「リディアがオレの事恋愛感情で好きなのか分かんなかったから、プロポーズするまですっごいドキドキしてたんだからね」
「す、すみません…。ルシオ先輩」
「なぁに?」
膝をついたままの状態で拗ねるルシオ先輩の手を両手で握り、目をじっと見つめて口を開く。
「好きです。ルシオ先輩の事、誰よりも好きです!愛してます!!」
初めて好きと言った言葉は少し震えていて、2度目に言った言葉はハッキリとした音が出た。最後の言葉は、ルシオ先輩への想いの大きさを表すかのような、自分でも驚くほど大きな声が出た。
だけどその言葉だけで終わらせたくなくて、言の葉を紡ぐ。
「ルシオ先輩の笑顔が好きです!ルシオ先輩の声が好きです!好きって言ってキスしてくれるルシオ先輩が好きです!撫でてくれる手も好きです!抱きしめてくれるルシオ先輩が大好きです!たまに意地悪なルシオ先輩も、甘やかしてくれるルシオ先輩も、ルシオ先輩の全てが大好きです!!」
そう言いきってから、ハァハァと肩で息をする。
こんなに大声を出したのは生まれて初めてかもしれない。とにかくルシオ先輩に自分の想いを伝えたくて必死に声を出したけど、慣れない事をしたせいか少し酸欠でふらつく。
ふらついたままルシオ先輩を見つめれば、珍しく顔を赤く染めた先輩がいた。
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