嫌われ皇后は子供が可愛すぎて皇帝陛下に構っている時間なんてありません。

しあ

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48、私を信じてくださるのですか

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2人が去っていったことを見届けてから、無意識に身体が入っていた力を抜く。


とんでもない事を聞いてしまった…。


正直なところ…私、はルビアになってからアイリを産めて、初めての育児で周りのことなんか考える余裕も全くなくて、でも、そんな状況に幸せを感じていた。


リアム様とも仲良くなれて、理由はよく分からないけど皇后としての仕事もする必要がなくてラッキーなんて思っていた。だって、仕事をせずに子供と一緒に居れるなんて、私にとってはこれほどにもなく幸せな事だから。


だけど最近、元のルビアの記憶を知るたびに、本当にこのままで良いのか?と心の中で問いかけてくる自分がいた。


そして、さっきイザベラ様の話を聞いて、このままアイリの育児をしたまま部屋に閉じこもっていてはいけないと心が叫んでる。


なにか、なにか行動しなければ、私も、私の大切な人達も、イザベラ様とギルバートの手によって不幸になるかもしれない。それに、記憶の中で苦しんでいたルビアも報われないだろう。


だけど……一体、どうすれば良いんだろう。まずは毒を飲まされたリアム様を助けたいけど、城内で目の敵にされ、外部との連絡も遮断されている私がどうやって助ければ良いんだろう。


もう既に、私が毒を盛ったと思われているみたいだし…。


「皇后…?」
「皇帝陛下…?」


密会していた2人が完全に消えてから、私も部屋の方へと向かっていると、何故か1人で散歩をしている皇帝と出会った。


「おひとりで、どうされたのですか?」
「皇后こそ…こんな夜遅くに1人でどうしたのですか?城の中とはいえ、夜に1人で出歩くのは危険ですよ」


確かに、あの2人の話を聞いた今では、自分がいつ刺されてもおかしくないなと思ってしまう。


「そう、ですね…。気を付けます」
「……部屋に戻るのでしたら送ります」
「いえ、すぐそこですし、陛下の手を煩わせるわけにもいけませんので…」
「距離が短くても、1人で行かせるわけにはいきません。それに、貴女に…聞きたいこともありますので」


聞きたいこととはなんだろう。もしかして、私がリアム様に対して毒を盛ったかどうかを確認したいのだろうか。


これまでのルビアの記憶とギルバートとイザベラ様の会話を聞いて、ルビアが周りから疎まれる様な事はしていないと分かってきている。だけど、皇帝はそんな事は知らないだろうし、イザベラ様から直接私の悪評を伝えられているはずだ。


それに、経緯はハッキリ分からないけど、私が皇帝に薬を盛ったと言う前科があるので、リアム様の件についても心配になるのは当然だろう。


だけど、信じてもらえないかもしれないけど、一応リアム様の件については無罪だと伝えてみよう。


「皇帝陛下…その、リアム様のことですが」
「…ああ、リアムの事は、皇后も心配でしょうが、今どのような状況か確認をさせ、毒を盛った犯人を探し出そうと動いているところですので安心してください」
「…え?」


私が疑われているものだと思っていたのに、安心させる様に話てくれる皇帝に驚いてしまう。そんな私の表情を見て、どう勘違いしたのか、皇帝は慌てたように口を開く。


「…やはり、今の情報では安心出来ませんか?本当は、もう少し詳しいことが分かってから貴女に伝えようと思ったのですが…。まだはっきりと分かっていることがなくて…」
「あの、いえ、そうではなくて…!」


今にも謝罪をしそうな勢いの皇帝に、こちらも慌てて遮るように声を出す。


「その…私が毒を盛ったのか、とは聞かないのですか…?」
「何故聞く必要があるのですか?」


何故そんなことを聞くのか心底不思議で仕方ない、という様な表情で聞き返されて、更に驚きが隠せない。


「だって、ギルバ…今日のパーティで、私がリアム様に毒を盛ったことをメイドが言っているのを聞いた、とあの男性が言っていたので…」
「確かにそんな人物はいましたが、あの席であの様な事を言う男の言葉は信用できません。それになによりも、貴女がリアムに毒を盛ったなどとは思えません」


きっぱりとそう言ってくれる皇帝に、少し泣きそうになる。


アイリが産まれてからよく会うようになったとは言え、皇帝に対する私の態度は決して良いものではなかったし、以前のルビアの印象も良くないだろうから、きっと皇帝から疑われるのだろうと思っていた。


だけど、それは私の思い込みで、皇帝は私の事を全く疑っていないどころか、私を安心させるようにリアム様についての状況を教えてくれた。


この城に、ミリアナやジェーン、マーガレットしか私を信じてくれる人は居ないと思っていた…。


だけど、それは違っていたみたいだ。


「…私を信じていただき、本当に、ありがとうございます」
「いえ、感謝されることではありません。貴女のリアムに対する接し方を見ていれば、疑うことなんて出来るはずがありません。それに、皇后を貶めるような発言をしたというメイドも、すぐに探し出して処罰するつもりですので、安心してください」


皇后である貴女に対して失礼な態度を取ろうとする使用人は必要ありませんから。そう言い切る皇帝に、感謝の言葉しか出てこない。


どうして彼は、こんなにも私に優しくしてくれるのだろう。


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