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65、イザベラ視点5
しおりを挟む驚く私に、ギルバートは可笑しそうに話す。
「俺の父親が前皇帝の弟って言ったけど、本当はデブですけべで下品な金だけ持ってる君の父親と一緒だから。俺と君は腹違いの兄弟ってこと」
「そんな…」
「いやぁ、まさか気付かないなんて思わなくてマジで驚いたわ。けど、そのおかげで俺は楽しめたけどさ」
私の父は、どんなに歳を取ろうが、見た目が綺麗で誰からも引き取り手のない女性や未亡人を次々と娶っては子供を作る下衆な人間。ギルバートは連れ子だと言っていたので、その事を信じて疑わなかったのに…。
まさか、父親が同じだったなんて…。
「どうして…皇族の血筋だなんて嘘をついたの…」
「だって、その方が面白そうだったし?俺を皇帝にする!なんて頑張ってた君はなかなか面白くてさ。あの家に居ても、俺が家督を継げるわけもないし、君の話に乗る方が得な気がしたんだよね」
「そんな理由で……!私を愛していると言ったのは?」
「もちろん、本当に愛しているわけが無いだろ?それに、君に話し掛けたのも、ただ単に暇だったからだし。ま、話しかけたおかげで俺は得で来たから結果的に良かったんだけどね」
ニヤリと笑う姿が、新しい妻を見て笑う父親にそっくりで嫌悪感を抱いてしまう。
私を愛しているいると優しく笑いかけてくれていたギルバートは一体どこへ行ったの。どうして、私を愛していないだなんて嘘をつくの…。
「嘘よ…こんなの信じないわ…」
「信じる信じないは君の勝手だけど、パーティで声を上げた男が俺だってバレるのも時間の問題だろうし、俺はそろそろここから退散するから。ま、君も頑張って」
「ちょっと待って!私を置いてどこへ行くつもりなの!」
「そりゃ、愛する家族のとこだよ。ここにいれば命の危険もあるしさ。金も溜まったし、君と話を合わせるのもいい加減疲れてきてたし、後は適当によろしく」
ヒラっと軽く手を振り出て行こうとするギルバートの足に、咄嗟にしがみつく。
「そんな…!私を置いていかないでよ!私の事を愛していると言ったのなら、責任を取って私も連れていきなさいよ!」
「無理だし、君と居れば俺まで危険にさらされるし。そして何より、家族にアンタみたいな頭のおかしい奴を会わせたくないね」
「っ、」
人を殺せそうな冷たい目を向けられ、身体が恐怖で固まる。そんな私の手を払い除け、ギルバートはにっこりと笑う。
「誰がアンタみたいな狂った人間を好きになるんだよ。母親もかなりヤバかったけど、アンタも相当ヤバイ。だから、あの家で誰からも話しかけられなかったんだよ。じゃあな、もう二度とアンタと会うことがないよう祈ってるよ」
「まっ、」
「俺の事を誰かに言ったら、アンタがした事全部洗いざらい話すからな」
そう言い残し、ギルバートは部屋の外へと出て行った。
部屋に1人残された私は、ギルバートから手を振り払われた時のまま、床に倒れた状態で動くことが出来なかった。
ギルバートが、私を愛していないだなんて…。
それどころか、私の話を聞きながら心の中で嘲笑っていたの?
私は、貴方に話し掛けられて、あんなに嬉しかったのに…。母親以外から愛されていると知って、本当に幸せだったのに…。
母が冤罪で処刑された時も、彼だけは私に寄り添って慰めてくれた。私が母の無念を晴らそうと計画を立て始めた時も相談に乗ってくれて、一緒に首都まで来て手伝ってくれていたのに。
それが全て嘘だった…?
いえ、計画を立て始めた時は私を愛していたに違いないわ。計画が狂って彼を皇帝にする事が遅くなってしまったから、だから心変わりしてしまったんだわ。
そうよ、そうに違いないわ。
こうなってしまったのも、私の計画を邪魔したあの女が全て悪いのよ。遠回しに追い出そうとしたのが全ての間違いだったのね…前皇帝の様に邪魔だと思った時に消すべきだったのよ。
あの女を消して、ルミリオも消して、皇帝の座を用意すれば、きっとギルバートの心も戻ってくるはずよ。家族がいたとしても構わないわ。ギルバートが私の所へ戻ってくるのなら。
大丈夫、母の遺言通りに私が正しい形に戻せばいいのよ。そうすれば、全て上手くいくはずよ。今までだってそうだったのだから、今度も上手くいくわ。
「ふふふ、そうと決まれば早いうちに済ませてしまわないとね…」
棚の奥に隠している睡眠薬をハンカチに染み込ませ、母の形見のナイフを服に隠して部屋の外へと出て行く。
外にはルミリオが寄越したであろう見張りが立っていたけど、油断させて薬で眠らせてしまう。そして、あの女の元へと向かう。
待っていてね、ギルバート、お母様。私が必ず在るべき形に戻すから。
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