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64、イザベラ視点4
しおりを挟むここで強く声を上げてしまえば真実だと言っているようなもの。なのでここは大人しくしている方が良いわ。大丈夫、きっと後で挽回するチャンスはあるわ。冷静に考えるのよ。
「それで、お前は何故その事を知っているんだ」
「皇后陛下を冷遇しろと言うことは、イザベラ様が採用された使用人全てに指示したことなので、私以外も知っている事です。そうだろ?」
「え、あ、はい!私も、その事については指示をされていました!手紙の件も、先程お伝えした通りです」
「そうか」
待って…手紙の件って、一体どこまで話したの。まさか、手紙を止めていた事や、偽の手紙を送った事まで報告されていないわよね?
平民から貴族にしてあげたっていうのに、まさか恩を仇で返されるとは思ってもみなかったわ!
それに、ギルバートもいくらルミリオに怖気付いたからって、私を売るような事をするなんて信じられないわ!あんなにも私のことを愛していると言っていたのに!貴方の愛はこんなものだったの!
「予算につきましては、イザベラ様が私のことを気に入って下さり、皇后陛下の予算を孤児院やアクセサリーを買う為に回していたと教えてくれたのです」
それは半分嘘よ!お母様に仕送りや、私の隣に立つ時に恥ずかしくないように服を買いたいからと言っていたからギルバートにもかなりの額を渡していたわ。
それなのに、全て私が横領していたような言い方をするなんて!まるでギルバートだけ逃げようとしているみたいな言い方じゃない!
「皇后の予算を…。イザベラ、何故そんなことをしたのか話してくれるな」
「そう言われましても…私には何がなんだか……」
「この期に及んでしらを切るつもりか?おい、この男達の話を詳しく聞いて、後で私に報告してくれ」
「かしこまりました」
アレックスにギルバートと執事長を連れて行かせ、私と二人きりにさせてくる。
「さて、これで他に聞いているものは居ない。正直に話してくれ。君とは長い付き合いだし、何か理由があるのならちゃんと聞く。だから、皇后に対して何をしたかを話すんだ」
話せと言われて馬鹿正直に話すわけが無いのに。この男からすれば、私は素直で気の弱い女でしかないのね。
それなら、する事は1つよ。
「わ、わたしは、本当になんの、こと、だ、か…」
「イザベラ!?おい、しっかりしろ!誰か!医者をすぐに呼んでくれ!」
目の前で倒れてやれば、分かりやすく動揺するルミリオに笑いそうになる。本当に騙しやすいんだから。
このまま気絶したフリをして、今後どうするかを考えましょう。執事長が裏切ったとしても、この城には私の配下が沢山いるんだから。いざとなれば、ルミリオを消してしまえば良いのよ。
そして、ギルバートとも後でしっかりと話し合わないといけないわ。恋人を売ろうとするなんてありえないわ。今後の為にも、しっかりと話し合わないといけないわね。
気絶したフリを続けていれば、すぐに自室のベッドへと連れて行かれる。
自室に戻すだなんて、本当に馬鹿よね。私が悪意を持ってこの城に居るなんて微塵も思っていないのかしら。本当におバカさんで扱いやすい人。
さて、この状況をどうしましょうかしら。ルミリオが本格的に使用人達に尋問をはじめれば、執事長の様に口を割る人間だって出てくるだろうし、リアムに毒を飲ませた事も知られてしまうでしょうし…。
ルミリオを消すにしても、私が疑われないように準備をする必要があるから、今すぐには出来ないわ。
簡単に口を割るだなんて、本当に使えないわね!あの子が黙っていればここまで面倒な事にはならなかったのに!それに、ギルバートも一体どういうつもりよ!今度会ったらタダじゃ置かないんだから!
そんなことを考えていると、静かにドアが開く音が聞こえる。
私の部屋に断りもなく入ってくるなんて一体誰なのよ!
入ってきた人物を見れば、さっき私に全ての罪を着せようとしたギルバートだった。
「今更何なのかしら?私への謝罪にでも来たの?」
そう聞けば、ギルバートは肩を竦めて呆れたように笑う。
「いいや。お別れの挨拶をしに来たのさ」
「お別れだなんて一体どういうことよ!」
「そのままの意味さ。君とは長い付き合いだから、何も言わずに出て行くのは良心が痛むから、一応言いに来たのさ」
「一応って何よ!私達はそんな軽い付き合いでは無かったはずよ!」
私とギルバートの付き合いは、お母様が亡くなる少し前からなのでルミリオよりも長い。それに、恋人となって10年近くもなるのに。
「まぁ、君のおかげで俺もかなりいい思いは出来たし感謝してるよ。おかげで一生働かなくても良いほど金が溜まったし、嫁も子供も出来たしさ」
「………どういう…こと…?」
嫁?子供?
私と結婚すると言っていたのは嘘だったの…?
「皇帝になるんでしょ…?」
「ああ、それ?普通に考えて無理に決まってんじゃん。君があんまり真剣に言うから話に乗ってただけだよ。俺が皇族の血を引いてるってのも嘘だし」
「うそよ…」
「いや、マジで信じてるとは驚きだわ。皇帝のこと馬鹿にしてたけど、君も結構だよね?ずっと思ってたけど」
馬鹿にしたような笑いをするギルバートに、驚き過ぎて声が出ない。
そんな…嘘よ…。
家で嫌われていた私に、唯一優しく話し掛けてくれた彼が、こんな嘘をつくはずがないわ…。
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