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63、イザベラ視点3
しおりを挟む私とギルバートが恋仲だなんて誰にも知られていないはずなのに、一体どうやって気付いたのかしら。
それに、あの女の手紙も何故すぐに捨ててしまわなかったのよ!本当に役立たずだね!本当に面倒な事をしてくれたわね!
「イザベラ…正直に話してくれ」
「そう言われましても、私はなんの事だか…まさか、私の知らないところでこんな事が起きていただなんて…!」
「……ギルバートと言ったか?君も黙っていないで知っている事を話せば話せ」
戸惑う演技をすれば、ルミリオは少し考えてからギルバートに話を振った。だけど残念。ギルバートが何か話すわけが無いわ。
「私は城を警備する事が仕事ですので、皇后陛下の周りで起こっていた出来事については何も分かりません…」
ほらね。ギルバートの口は、平民上がりの下賎な人間とは違って軽くないのよ。
「ですが、イザベラ様が私に特別な感情を抱かれているのは事実です。しかし、私には地元に残してきた恋人がいるので気持ちには答えることが出来ないと常々申し上げておりました」
何を言っているの…!恋人が居るなんて聞いたことがないわ!と思わず声に出しそうになるけど、これは私達の関係をルミリオに気付かれないように言っているのよね。
だけど、私だけがギルバートに恋心を抱いていると言われるのは複雑な気分だわ。誤魔化すためだとしても、私達の間には何も無いと言うべきではないかしら。
「こう言っているが、どうなんだ」
「どうと言われましても…。私が彼に話しかけたことはありますが、まさか彼に好意を寄せていると勘違いされているなんて思ってもみませんでした。私から申し上げられることは、私も彼に恋心など抱いてはいないということです」
ルミリオの前ではこう言う方がいいに決まっているわ。ギルバートが私から愛されている事をルミリオに言いたい気持ちは分かるけど、今その事を言うのは軽率だわ。
私が恋心を抱いていないと言ったとしても、きっとギルバートの事だから本心じゃないとわかってくれるわよね。
「そうか。では、2人で密会していたのは何故なんだ」
どうしてルミリオがそんなことを知っているの…!誰にも見つからないように気を付けていたはずなのに。いえ、今はそんなことよりも、そんな事実は無いとルミリオに信じさせないといけないわ。
「それは…」
「それは、イザベラ様がどうしても私に会いたいからと…。私は何度もお断りをしたのですが、イザベラ様から強く要望されてしまえば、ただの騎士が断れるはずもありませんでした…」
どうしてそんな事を言うの!
私の言葉を遮って話し出すギルバートに驚きが隠せない。
まるで私が無理やり誘ったような言い方をして、どういうつもりなの!そんな事を言えば、私がルミリオから疑われてしまうじゃない!
「ルミリオ様、これは何かの間違いです。そんな事実はありません!私は貴方の事をずっと支えてきたのに、貴方を裏切るようなことするはずがありません」
こうやって悲しそうに言えば、必ずルミリオは私の事を信じてくれる。もしダメなら涙を流せばいいだけよ。
そう思っていたのにーー。
「イザベラ、君に想い人が居ようと別に構わない。ただ、真実を話してくれ。そして、皇后について知っている事を全て話してくれ。お前達もだ。話す気がないのなら……話したくなる様に、今すぐさせてってもいいんだぞ」
今まで聞いたことも無いルミリオの冷たい声に戸惑ってしまう。
どうして…。
私があんなにも優しくしてあげたのに、その事も忘れてあんな女の為に動くなんてどういうつもりよ!また計画がめちゃくちゃになるわ!
なにか…なにか策を打たないと…。
ギルバートもルミリオの威圧感で顔が青ざめて頼りになりそうにないし、私がどうにかしないと…!
「お許しください陛下!」
「ギル…!」
また何を話す気なの!
勢いよく床に頭を付けるギルバートに焦りが隠せない。一体何を言うつもりなの!このまま彼に話させるのは危険だわ!
この部屋に呼ばれてからのギルバートは様子がいつもとはおかしいし、私を庇う様子も全然見えないわ。私の事を愛しているのなら、ルミリオに疑われないように話すべきなのに!
「ルミリオ様、どうか私の話を…」
「私は、イザベラ様には逆らえなかったのです!皇后陛下を追い詰めるように使用人達に指示したのも、皇后陛下の予算を自分のものにしようとしたのも全て、イザベラ様がされた事です!」
「なっ、何を言っているの。ルミリオ様、この男の言葉を信じてはいけません。私はそのような事は…」
「イザベラ、信じるか信じないかは私が判断する。話を続けろ」
冷たく言い放つルミリオに口を噤むしか無くなる。
もう!ギルバートは一体どういうつもりなの!
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