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62、イザベラ視点2
しおりを挟むリアムがいなくなり清々しい気持ちでお茶を飲みながら、ギルバートに会う時にどの服を着ていこうかと考えていた時ーーー。
「イザベラ様!大至急お伝えしたいことがございます!」
返事を待たずに入ってきたメイドによって、楽しい気持ちが一気に冷めてしまう。
「一体何なのかしら?私のお茶の時間を邪魔してまで伝えたい事ってなんなの?」
「申し訳ありません!で、ですが、メリーの姿が消えていたので、直ぐにお伝えした方がいいと思いましーー」
「メリーがいなくなったってどういう事?」
あの子が逃げられないように縛って痛めつける様に言っていたはずなのに…。
どうやって逃げだしたのかしら…。報告では自力では動けない様になっていると聞いたから、メリー自身が縄を解いて逃げたとは考えにくい…。
絶対に見つからないように人が入ってこない森の中で罰を与えるように指示していたはずだから、誰かに助け出された、という可能性も低いはずだし…。
「現在、城の中で静かに捜索していますが、まだ見付かってはいません…」
「一体どんな管理をしていたの?何故誰一人としてあの子を監視していなかったの!」
「も、申し訳…」
「謝罪はいいから早く見つけて来なさい!」
「か、かしこまりました!」
急いで部屋を出ていくメイドの後ろ姿を見て頭を抱える。
あの子は色々と知り過ぎている。もしも城外へ出て誰かに知っている事を話せば面倒な事になるわ。平民上がりのメイドだから、教養がなくておかしな事を言っていると言えば殆どの人が納得してくれるだろうけど、そこにメリーと最近仲が良くなっていたあの女が出てくるれば話が変わってくる
それに、せっかくあの女から距離を置こうとしているルミリオもあの女に影響されてメリーの話を信じるかもしれない。そうなれば計画を進めるどころの話では無くなってくるわ。
全く…誰も彼も使えないわね。
平民を多く採用したのが良くなかったのかしら。やはり平民は平民。どれだけ教育し、貴族の姓を与えた所で貴族よりも劣るわ。
それに、貴族でも家督を継ぐ可能性がない第3子以降を懐柔して連れてきたけど、その人達も使えないわね。生まれながらにして敗北者もダメね。
今私の使えるコマがそれだけしか無いから仕方ないけど、私が皇后になった後はもう用済みよ。それに、私があの女や他の人間にしてきた事を告発する、なんて脅されても面倒だし、ちゃんと後処理はしないといけないわよね。
私にはギルバートが居るんだもの。他の人間なんて必要ないわ。
それにしても、メリーは一体どうやって逃げ出したのかしら。次は逃げられないように鎖で繋ぐように指示しておかないと。またこんな事があったら面倒だわ。
冷めてしまったお茶を取り替えさせ、またゆっくりとお茶を楽しむ。平民が入れるお茶はあまり美味しくはないけれど、今はこれで我慢よ。
もうすぐ、私にふさわしいお茶が飲める。その日が近付くにつれ、この低級のお茶も悪くないと思えるわ。
メリーはまだ見付かっていない様だけど、今日は久しぶりにゆっくりと過ごせたわ。夕食も済んで残すところ、ギルバートとの逢瀬だけ。ギルバートと会う時は人目を忍んで会っているから、全然オシャレが出来なくて悲しいわ。
ルミリオの前で着飾るより、ギルバートの前での方がどれだけ良いか。早く彼と堂々と愛し合えるようになりたいわ…。
「イザベラ様、よろしいでしょうか」
今からギルバートの所へ行こうかと思っていたのに、こんな時間に部屋を訪ねて来るなんてどういう要件なの。メリーが見つかったという報告かしら。
「入りなさい」
「失礼致します」
「それで、なんの用かしら?」
「ルミリオ陛下が執務室にお呼びです」
ルミリオが?一体こんな時間になんのつもりかしら。私を休ませたいと言っていた口で私を呼び付けるなんて。
「すぐに行くとお伝えして」
この後ギルバートと会う予定だったからこのメイクではルミリオの所へ行けないわ。今のメイクを落として、やつれているように化粧をし直さないと。面倒だけど、一応まだ皇帝のルミリオには従順でいてあげないと。
メイクをすぐに施させ、ルミリオの執務室へと向かう。
「遅くなり申し訳ありません…。っ、」
入室して直ぐに私以外に人がいる事に気付いたけど、顔を上げて思わず声が出そうになった。
どうしてここにギルバートが…!
昨日のパーティの時は、今と大分髪型も雰囲気も変わっているけど、あの女を疑わせるようなことを言った人がギルバートだと気付かれでもしたらどうしよう。
いえ、それよりも、今までルミリオと接点のなかった彼が呼ばれるという事は、まさか既に気付かれているのかしら…。
マヌケなルミリオがどうして気付けたの…。
そう考えてから、この部屋にはギルバート以外にも執事長がいることに気付く。
もしかして、あの男が漏らしたの…?
だけど、ギルバートがパーティで目立っていた時は、あの女の両親の対応をしていたから、あの男はその事を知らないはずよ。
それに、彼は拾ってあげた時から私に従順で、特に懐いていてきた信用出来る男なのだから、彼がルミリオに情報を漏らしたとは考えにくい。
そう思っていたのに、まさか本当に裏切られるなんて思ってもみなかったわ…!
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