嫌われ皇后は子供が可愛すぎて皇帝陛下に構っている時間なんてありません。

しあ

文字の大きさ
81 / 99

81、ピクニック!

しおりを挟む



「お母様、どこにする?」
「うーん。リアムは何処がいい?」
「えっと、あっち!」


指をさしながら、繋いだ私の手を引っ張って歩くリアムについて行けばーー。


「ここって…」
「うん!お母様と散歩していた時に、初めてお父様と会った時に座ったベンチ!」


今では懐かしく感じる場所に案内された。


そういえば、あの日から、皇帝と散歩をしたり話すようになったんだっけ…。


最近はここに来ていなかったから、なんだかすごく懐かしい。あの時は私が皇帝を避けていたのに、まさか今では真逆の気持ちになるなんて思わなかったな…。


イザベラ様の事や、城のことも落ち着いたから会ってもらえるかと思ったけど、未だに会うことが出来ない。今回のピクニックもアレックスさんを通して誘ってみたけど、返事は『楽しんできて下さい』だけだった。


リアムもアイリも居るから、参加してくれるかもしれないと期待していた分、伝えられた言葉に胸がチクリと傷んだ。それに、いつも通りの皇帝の敬語にも、なんだか距離が感じられて寂しくなった。


もしかしてルビアもこんな気持ちだったのかな…。


私以外に敬語なんか使わないのに…なんて、思考がどんどん暗くなっていくのに気付いてハッとする。


顔を上げると、心配そうにこちらを見上げるリアムと目が合う。


「ここで食べるの嫌だった?」
「あ、ううん!あの日から色々あったなって思っただけ。ここで食べるのが嫌なわけじゃないよ」
「そう?それなら良かった!じゃあ、ここで食べよ!」
「うん。だけど、このベンチに全員は座れないから、後ろの芝生に布を広げようか」
「うん!」

無意識に考えてしまった皇帝の事を振り払うように、リアムと一緒にレジャーシート代わりの布を広げる。そして、その上にマーガレット達が運んでくれたお弁当達を置いてもらう。


「うわぁ~美味しそう!」
「いっぱい作ったから好きなだけ食べてね。マーガレットにジェーンもミリアナも遠慮せずに食べてね」


そう3人に声をかければ、ジェーン、ミリアナ、マーガレットの順で感謝を述べてくれる。


「ありがとうございます!では、遠慮なく!」
「ありがとうございます。頂きます」
「私達の分まで用意して下さりありがとうございます。ルビア様のお料理を頂けるなんて嬉しく思います」
「…味はそこまで期待しないでね?」


感激したように感謝されると、一応前世で献立を立てたり、人が足りない時に調理場に立って仕事をしていたとはいえ、味が大丈夫か心配になる。一応味見はしたけど、口に合わなかったらどうしよう…。


「口に合わなかったら残してくれていいからね」
「そんな!ルビア様が作って下さったのに残すわけがありません!」
「そうです。それに、ルビア様のお料理はいつも美味しので心配はいりませんよ」
「そう?」


ジェーンとミリアナはそう言ってくれるけど、やっぱり心配にはなってしまうよね…。


「お母様のご飯が美味しいのは、僕とアイリが1番知ってるから大丈夫だよ。それに、みんなが残しても僕が1人で食べちゃうから大丈夫!」
「え、それはずるいですよリアム様!私だって食べるのを楽しみにしていたんですからね!」
「そう?でも、絶対僕の方が楽しみにしてたよ!」
「そんな事はありません!私だって!」


リアムの言葉にジェーンが反応して、2人でわちゃわちゃとお弁当を開けて、競うように食べ始める。そんな2人を笑いながら、ミリアナもマーガレットも食べ始めてくれる。


「美味しいです」
「本当?良かった…」
「もしルビア様がお店を開かれれば行列間違いなしですね!」
「それは言い過ぎだよ」
「あうー!」
「ほら、アイリ様もそうだって言ってますよ」


なんてみんなで笑いながら食べていると、リアムがポツリと呟く。


「父上とメリーも、一緒だったら良かったな…」


皇帝も一応は誘ったけど、仕事が忙しいとの事で断られたし、メリーは…目は覚ましたけど、ここに来れる状態ではなかったから誘えなかったんだよね…。


だけど、リアムにとって2人とも大切な人だから、一緒に楽しい時間を過ごしたかっただろうな。


「……今回は来れなかったけど、次は来てもらうように一緒にお願いしてみようか?」
「僕ができるの?メリーにも?」
「もちろん。どうして出来ないと思ったの?」
「だって、メリーは僕が嫌いになって家に帰っちゃったんでしょ?」
「え…?」


そんなことあるはずがない。そもそも、メリーがあんな状態になっていたのも、リアムを助けようとしたからなのに。一体誰がそんなことを…って、そんな嘘を教えのはあの人しか居ないよね…。


「イザベラ様がそう言っていたの?」
「うん…。僕が馬から落ちて部屋に戻った時に、メリーが僕の事を嫌いになって出て行ったって…」


そんなことあるはずがないのに…。


「嘘だって思ったけど、メリーの部屋に物がなくなってて、他のメイドも同じこと言ってたから…。だけど、違うの?メリーは僕のこと嫌いになってない?」
「嫌いになんてなるはずがないよ」


前の使用人達は全員何かしらの刑や罰を下されたけど、リアムに対して心に傷を作るような事を言っていたって知ってたら、どの人が言ったかを調べ上げて皇帝にキツイ罰を与えてもらえるように進言したのに…!


リアムにありえない嘘を言って傷付けた人達を、今からでも探し出して追加で罰を与えてやろうか…。


前の使用人達にもふつふつと怒りが湧いてくる。


だけど、今はリアムに本当のことを知ってもらう方が先なので、一旦心を落ち着かせてリアムに話をする。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。

ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。 毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい

廻り
恋愛
第18回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました。応援してくださりありがとうございました!  王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。  ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。 『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。  ならばと、シャルロットは別居を始める。 『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。  夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。  それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi(がっち)
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

〖完結〗死にかけて前世の記憶が戻りました。側妃? 贅沢出来るなんて最高! と思っていたら、陛下が甘やかしてくるのですが?

藍川みいな
恋愛
私は死んだはずだった。 目を覚ましたら、そこは見知らぬ世界。しかも、国王陛下の側妃になっていた。 前世の記憶が戻る前は、冷遇されていたらしい。そして池に身を投げた。死にかけたことで、私は前世の記憶を思い出した。 前世では借金取りに捕まり、お金を返す為にキャバ嬢をしていた。給料は全部持っていかれ、食べ物にも困り、ガリガリに痩せ細った私は路地裏に捨てられて死んだ。そんな私が、側妃? 冷遇なんて構わない! こんな贅沢が出来るなんて幸せ過ぎるじゃない! そう思っていたのに、いつの間にか陛下が甘やかして来るのですが? 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。 人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。 それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。 嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。 二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。 するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー

【完結】2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜

雨香
恋愛
美しく優しい狼獣人の彼に自分とは違うもう一人の番が現れる。 彼と同じ獣人である彼女は、自ら身を引くと言う。 自ら身を引くと言ってくれた2番目の番に心を砕く狼の彼。 「辛い選択をさせてしまった彼女の最後の願いを叶えてやりたい。彼女は、私との思い出が欲しいそうだ」 異世界に召喚されて狼獣人の番になった主人公の溺愛逆ハーレム風話です。 異世界激甘溺愛ばなしをお楽しみいただければ。

処理中です...