黒猫と異世界転移を楽しもう!

かめきち

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第1章 異世界転移と旅立ち

第26話 森の調査依頼3

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 前日はいろいろとあったが、一晩休んで気持ちの整理がだいぶついた。
 夜中にフッと目を覚ましたときに、アリスが側にいてくれて体温を感じれたのはすごく落ち着いたことを思いながら、アリスを優しく撫でながら起きる。

 《よし、今日は冒険者ギルドに行って昨日の報告をしてから、再度森の調査に行こう。 がんばるから一緒にいてくれよ。》

 (もちろん一緒にいますよ。 ギルドへの報告は地図を見せながら説明すれば良いかもしれませんね。)

 冒険者ギルドに到着し、いつものショートカットの受付嬢に話しかける。

 「昨日に依頼は達成したのですが、盗賊討伐と門番への引渡しを行なっていたら、依頼達成の報告を忘れていたのですが。」 

 「ヤスト様ですね。先日の盗賊の件は伺っております。 盗賊2人の引渡しを行なっていただいた報酬が町から200,000クローナ出ております。 お怪我が無くて良かったです。 報告は本日でも大丈夫ですが、討伐部位等はございますか?」 

 ゴブリンの討伐部位と、薬草を受付嬢に渡す。

 「確かに確認出来ました。 薬草は全くしなびてないですが、今朝採取に行かれたのですか?」

 「え・えぇ、あぁ今朝ではなく水に浸しておいたのですよ。」

 時間停止のアイテムボックスは秘密にしないといけないので急な質問に焦ったがなんとか答えれた・・・ と思う。
 アリスのため息が念話で聞こえたような気もするがきっと気のせいだろう。

 「分かりました。 それでは盗賊引渡しの報酬も含めまして230,000クローナになりますので、ご確認下さい。」

 報酬を確認しながら流してくれた受付嬢に感謝していると、受付嬢が、

 「ヤスト様、森の調査依頼はいかがでしょうか? あと盗賊と出会った場所も詳細に教えていただきたいのですが。」

 受付嬢に言われてから地図を見せるのを思い出し、地図を見せながら指を指して説明する。

 「この地図の二重丸を印してある所で出会いました。丸印は魔物と出会った場所、バツ印は危険箇所ですね。」

 「ありがとうございます。 ずいぶんと丁寧に記載していただいているのですね。 すごく分かりやすいです。 この地図でも十分調査依頼は達成となりますがいかがいたしますか?」 
 
 「いえ、もう少し地図を作成してみたいですし、またゴブリンの討伐依頼を受けながらで良いですか?」

 「もちろん大丈夫です。 詳しい調査結果であればあるほど報酬の上乗せがありますのでよろしくお願いいたします。」

 ゴブリン5匹の討伐依頼を受けてから、今日も森へと向かう。

 《よし、今日も森の調査をがんばっていこうな。》

 (はい、危険もありますから十分注意してくださいね。 あと誤魔化すときは堂々と誤魔化して下さい。)

 《・・・はい》

 やはりさっきのアイテムボックスの誤魔化し方は相当下手くそだったみたいだ。
 少しへこみながらも、地図を作成していく。

 ゴブリン2匹にホーンラビット1匹を討伐し、森の奥まで進んだところで、魔物の反応が気配察知に引っかかった。

 《アリス、前方に魔物が3匹いるよな? 他には反応がないようだが。》

 (3匹以外は私も察知できておりません。)

 速い速度でこっちに向かってきており、サーベルを構えたときには草むらを越えて狼が3匹姿を現した。
 初めて見る魔物ということもあり、魔眼で見てみる。

  種族 : ウルフ(魔物)
  ランク:   E
  LV : 2
  HP : 30/30
  MP :  5/5
  筋力 :  12
  魔力 :   1
  耐久力 :  8
  敏捷性 : 18
  状態 : 健康
  スキル : なし
   狼型の魔物、群れを作り生活する習性がある。 上位であるウルフリーダーが統率する群れは連携が取れており危険がある。 牙や毛皮も利用可能、食用可能。

 他の2匹も魔眼で確認してみると、両方ウルフでレベルは2だった。

 《アリス、見ていてくれ。 1人でやってみる。》

 サーベルを構えたまま、次元刀で前に位置する1匹に先制を行なうと、首と胴体があっさり離れて崩れ落ちた。
 後ろの2匹が少し怯んだところに、連続で次元刀を放つ。
 後ろの2匹も首と胴体が離れて崩れ落ちる。

 (次元刀は強すぎますね。)

 《確かにな。 狙ったところの次元をずらす感覚だからほぼ外れないしな。》

 (でも急に狙ったり、標的がすばやく動いた時にはずれてしまうのでしょう?)

 《そうなんだよ。 次元刀以外の攻撃も考えていかないといけないな。》

 (攻撃魔法もですが、剣も鍛錬して下さいね。)

 《も・もちろんだよ。》

 魔法の方がかっこいいと思う心を読まれたように感じたが、知らない振りをして、ウルフをアイテムボックスに収納し、地図の作成を再開する。

 道中でゴブリン3匹と遭遇した時は、剣術スキルを鍛える意味もあり魔法禁止で討伐する。
 魔法とは違い魔物に近づくため危険度は増すし、魔物を切ったときにサーベルから伝わってくる感触がリアルに感じられた。

 《やはりサーベルで戦うのは戦っている実感があるよ。》

 (その実感が大事なのだと思いますよ。 ヤストにはレベルだけではない経験を積んでもらいたいですし、勘も養っていって欲しいです。)

 《そうだな、魔法ばっかりだと簡単に考えてしまうから、気を引き締めないとな。》

 話をしながらも討伐部位や魔石を回収していく。
 そろそろ帰ろうかと思いウルフの出現場所を記載していると、
  
 『スキル地図を取得しました。』

 《おっ、地図のスキルを習得できたみたいだ。》

 (おめでとうございます。 私が周囲は警戒しておくので、使用してみてください。)

 言われた通り地図のスキルを使用すると、目の前に半透明の地図が現れた。
 アルニナム大陸という名前の上に、三角形の大陸が描かれ国の名前が書いてある。
 拡大縮小出来るようで、青い点滅しているところを拡大すると自分の周囲まで確認できる。

 《これは便利そうだが、大まかには書かれているな、詳細が分からないぞ。》

 (今スキルを覚えたてなので詳細までは記されないと思います。 自分が行ったことのある場所は自動マーキングされて詳細に記載されていくはずです。 スキルレベルが上がると行ったことの無い場所の詳細もですし、個別マーキングも使用できるようになります。 今からでも気配察知と連動させておくことをお勧めします。)

 《なるほどな。 そんなに上手くはいかないし、最初から全部出来ればスキルレベルもいらないわな。》

 (そうですね。 レベルを上げるためにも地図を小さくして視界の邪魔にならない所に常駐させるのが良いかと思いますよ。)

 《そうだな、ありがとう。 けど、手作り地図とスキルの地図を見れば、手作りの方は間違っているのが分かるな。》

 (地図スキルは正確ですから、手作り地図を修正しても良いかもしれません。)

 アリスに警戒は任せて、手作り地図を完成させる。

 《よし出来た! 今日は帰って森の調査を終わらせよう。》

 町に戻り、冒険者ギルドへ入りショートカットの受付嬢に、討伐部位と地図を渡しながら
話しかける。

 「依頼が終わったのでよろしくお願いします。」

 「お疲れ様でした、お帰りなさいませ。 確認させていただきます。」

 ゴブリンの討伐部位は数をサッと確認しただけだが、手作り地図はしっかりと確認してくれている。

 「ヤスト様、失礼ですが地図スキルを持ってらっしゃいますか?」

 (ヤスト、地図スキルは言っても大丈夫ですよ。 持ってる人はかなりの数がいるはずです。) 
 「持っていますよ、まだ覚えたてですが。」

 「だからこの精度なのですね、非常に助かります。 報酬を上乗せしておきますね。」

 報酬を85,000クローナ受け取ったところで、受付嬢が話してくる。

 「おめでとうございます。 ランクアップしてEランクになりました。 次回からDランクのクエストまで受注できますのでよろしくお願いいたします。」

 「ありがとうございます。 これからもよろしくお願いします。」

 「こちらこそよろしくお願いいたします。 猫ちゃんもよろしくね。 あと少しお時間いただけますか?」

 ニッコリと笑顔で話しかけられた後に、時間をくれとは・・・
 ムフフなのか? 微妙にイヤな予感もしているが・・・
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