癒しと毒の融合愛◆◆心の逃げ場だけでいいのか?久遠の愛を誓う物語◆◆ 【完結】

まぁ

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part 3-9

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「おはようございます。ちょっと骨折の確認させてもらうので動かしますから痛いところで痛いと言ってください」
「…あ…」

いろいろ疑問だけれど任せればいいか…

「空雅は医者ではないが柔道整復師の国家資格は持ってる」
「あ…はい、お願いします…」

藤堂さんの説明で疑問は解決した。名前も空雅と聞けば、名刺の文字を思い出せたので紀村さんだ。

「もう腫れてきてますね…痛いですよ」

予告通り痛かったけれど骨折はなさそうだと言われ、あとは右膝の内側を酷く打ち付けていた。

「清水さん、冷凍庫の氷をいただきます。よろしいですか?」
「「「はい…」」」

紀村さんの問いかけに3人の小さな声が揃う。

「紗栄子、離婚でいいのか?」

藤堂さんに聞かれて、ああ…家を出るのはそういうことになるのか…と思う。

「はい…こんなのですから…」

すぐに戻って来た紀村さんが袋に氷を入れて、足首をアイシングをしてくれるのを見て言うと

「明らかに暴力行為ですからね。では、ここに署名して下さい」

福嶋さんが夫に紙を広げて示す。

私は紀村さんにジェスチャーで言われたように、膝の内側の氷を自分で押さえながら、おそらく紙が離婚届でどこまで準備がいいのかと、やっとそれなりに住み慣れてきた家の中を見渡した。

藤堂さん、福嶋兄弟、紀村さん以外にも人が廊下と玄関でうろうろと動いているようだ。

「ちょっ…今のは謝るんでっ…この通り…離婚は待ってもらわないと…」
「そうっ、そうです。今だけ、息子が今だけちょっとカッとしたんですけどっ…ほらっ、紗栄子さんも暴力なんてないと言いなさいよっ」
「暴力の被害者である妻に謝るのではなく、私どもにペコペコ頭を下げる夫と、全力で息子を庇いながら頭皮と足に激痛を抱える嫁に高圧的な口調で唾を飛ばす姑」
「兄貴…動画にナレーション入れんな。弁護士センセに見せた時に爆笑されるよ」

福嶋兄弟の言葉に挙動不審になる母子に代わってとばかりに義父が口を開く。

「朝から大勢で押し掛けて来ていきなり離婚とは…あまりにも常識のないことで…離婚は夫婦の問題ですから、お引き取りください」

どうして揃いに揃って離婚は嫌だというセリフになるのだろう。家族のように扱ってくれていなかったのに私を手放したくないように聞こえる。いじめる対象に居て欲しいのか…これは結構いい推理なのでは?

そう思った私は甘かったと、次の舞生さんの言葉で知る。
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