癒しと毒の融合愛◆◆心の逃げ場だけでいいのか?久遠の愛を誓う物語◆◆ 【完結】

まぁ

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part 17-12

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パチパチパチパチパチ…舞生さんが立ち上がり拍手して

「ボクの妹が成長して嬉しいっ、すっごく嬉しいっ。明日、ケーキ買ってあげるよ、紗栄ちゃんっ」

私の頭に大声をぶつける。

「褒められた…?」
「えぇぇ?褒めてる以外に何がある?」
「ちょっと…大声過ぎて頭に入らないけど…フルーツタルトがいいな」
「えぇぇ?ちゃんと聞こえてるじゃん、ケーキんとこだけ。まあいいよ、ボクが買ってくるよ」
「ありがとう、楽しみ」

鼻息荒く座った舞生さんの隣から

「次の来店で対応します。紗栄子さんはいつも通り勤務していただいて構いませんよ」

穏やかに言う福嶋さんに頷いた私に

「紗栄子の覚悟は皆が受け取った」

と龍之介が伝えてくれる。

「素人に指差された、笑われたなんてくらいイチイチ相手にしてられねぇし、気にもならねぇ。相手にすれば、ただ口で言い返すだけでも脅したと言われて警察が喜ぶ事態になるからな」
「うん」
「この程度の奴らに時間も金も使うのは無駄」
「うん」

そうだよね、制裁や粛清というものには時間もお金もかかるのだろう。

「だが、すぐに終わらせる。紗栄子の日常は快適であるべきだからな」

言い返すだけでも脅した…か。そして警察が喜ぶ…

自分の置かれる環境をとても分かりやすく伝えてくれるのは、さすが龍之介。そして私も同じ環境にいて、生活を共にする者だ。

「次にあの人が来たら、私、普通にお水を出していい?私がこそこそすることはないんだよね?」
「ん、俺の女だ。誰に聞かれたって堂々としていればいい」

私の休みを挟んで4日後、その地井さんはまた新しい友人らしき女性とカウンターに座った。

空雅さんが私を見たので、大丈夫だと頷いてからお水とおしぼりを用意して

「いらっしゃいませ」

彼女達の前に置く。

「オススメのドリンクは何ですか?」
「カフェオレです」
「どうして?」
「フレンチプレスで淹れたコーヒーで作るここのカフェオレは美味しいので」
「フレンチプレスって何?」
「プレスのフィルターが金属製ということです。ペーパードリップの紙フィルターと比べると、コーヒーの持つ油分を適度に液体側に残すことができ、ミルクとより相性良くなります」

きっと彼女は別の物をオーダーするだろうと思いながら、ペコ…下がると、矢口さんが引き上げてきたトレイを受け取る。ダラダラと彼女の相手をするつもりはない。他のお客様と同じように接客しただけだ。

「アイスハニーレモンティーソーダ」

フフッ…やっぱり、と思う声が聞こえて

「カフェオレ、ホットで」

彼女の友人は空雅さんにそう注文した。
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