彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

諭し説き口説く 6

「裕子に買い物を頼みました…っと、電話です。今、起きてメッセージを見たんでしょう。はい…」

裕子というのは野沢の妹で藤開発会長という肩書きを持っている。

起業するときに須藤が社長などと反社丸出しでは無理がある時代だ。

だから藤開発起業当初は一般会社員を旦那に持つ野沢の妹、岡田裕子を社長として起業した。

マンションの下のコンビニオーナーが大西の姉というのも同じことだ。

フランチャイズ契約するために一般会社員を旦那に持つ大西の姉がオーナー。

そしてそのまま、組員の嫁たちが安心して働いてよくある普通の生活を送るために職場を提供している。

「それでいいです。では後ほど」

通話を終えた野沢は

「百貨店の10時オープンを待って玖未さんの物を少し買い揃えて来てくれます。昼すぎになるでしょうから、昼食も頼みました」

と立ち上がる。

「6時半になりますね。昼までは若も休んで下さい」
「ゲンさんにも連絡しないと、だな」

大きく伸びをしながら右京も立ち上がり

「寝すぎる可能性があるから、俺、ここで寝る」

と慣れた様子でリビングのクローゼットを開けてブランケットを出す。

「野沢は帰ってベッドで寝る方がいいよ」
「年寄り扱いですか？」
「敬って労ってるだけ。はい、帰って。おやすみ。悠仁は忍耐力を持って寝て」