97 / 284
欲は大罪なのか 15
しおりを挟む
「ぅん…日野先生が逮捕された…って…舞花から…」
「先に玖未に伝えておけばよかった…悪かった。俺たちのところには会社に着く直前、知った刑事から日野逮捕の連絡はあったんだが玖未に電話で伝えるのは違うと考えていた。思うより大きなニュースになったみたいだな」
「そうなの?逮捕って…結構すぐなんだね…」
「一番最近の被害者がすぐに口を割ったら、そのあと2人の証言が取れたらしい。ここから何人か増えるだろうな…大丈夫か?」
悠仁の静かな声が続き‘大丈夫’だと思える。
「舞花が‘ずっと先生にも会ってないしどうでもいいけど’ってことを言ったのを聞いて………知らない人にはどうでもいいことで、強制わいせつとまで出ていても私もとっくに施設は出てるから無関係の人に見えて…喜んでいいのか悲しんでいいのか…分からなかったけど…喜んでいいのかなって…先生たちと話していて…今は思ってる…」
「玖未」
悠仁は私を自分のお腹の上に乗せてぎゅうぎゅうと抱きしめると
「終わった。玖未が前を向いている間に過去がひとつ切り離せた」
そう言うと
「俺のスマホ」
と言う。私が腕を伸ばして悠仁のスマホを取ると今度は
「右京」
と言う。短い言葉に
「ん」
と返しながら右京に掛けると
‘はい’
「…」
‘悠仁?なんかあった?’
「…悠仁、右京出てるよ?」
「祝いにケーキ買って来い、と伝えろ。玖未好きなケーキを言っとけ」
「お祝い?」
「過去を切り離せた祝い」
‘オーケーオーケー、話は分かった。玖未ちゃん、何ケーキがいい?’
「どうしよ…」
‘チョコとかチーズとかフルーツタルトとか?’
「フルーツ…今イチゴ…いい?」
‘イチゴの乗ったやつ?’
「イチゴがいっぱいと生クリームいっぱい…」
「右京、イチゴ増量して来い。持ってくんのは夜だ。今から昼寝」
‘わぉ、シャワーまで終わったら電話入れてよ。ごゆっくり~’
ブチッ…目を閉じたまま何を言うんだ悠仁は…
「あ…ろうそく頼むの忘れた…」
ガバッと起きた彼は
「俺のろうそくでいいか、玖未?」
と下着を脱ぎ捨てる。思わず笑った私に
「やけどすんなよ」
と…ソレを握らせた。
「先に玖未に伝えておけばよかった…悪かった。俺たちのところには会社に着く直前、知った刑事から日野逮捕の連絡はあったんだが玖未に電話で伝えるのは違うと考えていた。思うより大きなニュースになったみたいだな」
「そうなの?逮捕って…結構すぐなんだね…」
「一番最近の被害者がすぐに口を割ったら、そのあと2人の証言が取れたらしい。ここから何人か増えるだろうな…大丈夫か?」
悠仁の静かな声が続き‘大丈夫’だと思える。
「舞花が‘ずっと先生にも会ってないしどうでもいいけど’ってことを言ったのを聞いて………知らない人にはどうでもいいことで、強制わいせつとまで出ていても私もとっくに施設は出てるから無関係の人に見えて…喜んでいいのか悲しんでいいのか…分からなかったけど…喜んでいいのかなって…先生たちと話していて…今は思ってる…」
「玖未」
悠仁は私を自分のお腹の上に乗せてぎゅうぎゅうと抱きしめると
「終わった。玖未が前を向いている間に過去がひとつ切り離せた」
そう言うと
「俺のスマホ」
と言う。私が腕を伸ばして悠仁のスマホを取ると今度は
「右京」
と言う。短い言葉に
「ん」
と返しながら右京に掛けると
‘はい’
「…」
‘悠仁?なんかあった?’
「…悠仁、右京出てるよ?」
「祝いにケーキ買って来い、と伝えろ。玖未好きなケーキを言っとけ」
「お祝い?」
「過去を切り離せた祝い」
‘オーケーオーケー、話は分かった。玖未ちゃん、何ケーキがいい?’
「どうしよ…」
‘チョコとかチーズとかフルーツタルトとか?’
「フルーツ…今イチゴ…いい?」
‘イチゴの乗ったやつ?’
「イチゴがいっぱいと生クリームいっぱい…」
「右京、イチゴ増量して来い。持ってくんのは夜だ。今から昼寝」
‘わぉ、シャワーまで終わったら電話入れてよ。ごゆっくり~’
ブチッ…目を閉じたまま何を言うんだ悠仁は…
「あ…ろうそく頼むの忘れた…」
ガバッと起きた彼は
「俺のろうそくでいいか、玖未?」
と下着を脱ぎ捨てる。思わず笑った私に
「やけどすんなよ」
と…ソレを握らせた。
102
あなたにおすすめの小説
虚弱なヤクザの駆け込み寺
菅井群青
恋愛
突然ドアが開いたとおもったらヤクザが抱えられてやってきた。
「今すぐ立てるようにしろ、さもなければ──」
「脅してる場合ですか?」
ギックリ腰ばかりを繰り返すヤクザの組長と、治療の相性が良かったために気に入られ、ヤクザ御用達の鍼灸院と化してしまった院に軟禁されてしまった女の話。
※なろう、カクヨムでも投稿
お隣さんはヤのつくご職業
古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。
残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。
元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。
……え、ちゃんとしたもん食え?
ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!!
ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ
建築基準法と物理法則なんて知りません
登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。
2020/5/26 完結
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
男に間違えられる私は女嫌いの冷徹若社長に溺愛される
山口三
恋愛
「俺と結婚してほしい」
出会ってまだ何時間も経っていない相手から沙耶(さや)は告白された・・・のでは無く契約結婚の提案だった。旅先で危ない所を助けられた沙耶は契約結婚を申し出られたのだ。相手は五瀬馨(いつせかおる)彼は国内でも有数の巨大企業、五瀬グループの若き社長だった。沙耶は自分の夢を追いかける資金を得る為、養女として窮屈な暮らしを強いられている今の家から脱出する為にもこの提案を受ける事にする。
冷酷で女嫌いの社長とお人好しの沙耶。二人の契約結婚の行方は?
財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
花里 美佐
恋愛
榊原財閥に勤める香月菜々は日傘専務の秘書をしていた。
専務は御曹司の元上司。
その専務が社内政争に巻き込まれ退任。
菜々は同じ秘書の彼氏にもフラれてしまう。
居場所がなくなった彼女は退職を希望したが
支社への転勤(左遷)を命じられてしまう。
ところが、ようやく落ち着いた彼女の元に
海外にいたはずの御曹司が現れて?!
貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳
大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。
でも、これはただのお見合いではないらしい。
初出はエブリスタ様にて。
また番外編を追加する予定です。
シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。
表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。
【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる