さまよう綸◆◆若頭からの求愛…迷惑だわ◆◆ 【完結】

第四話 6

　全裸で布団を被る私をスーツ姿の3人が見ており何となく鼻まで布団に潜る。

「で、こんなところまで何の用？治療費の請求？」

　正宗は掛布団ごと私を包みバスルームに下ろすと布団だけ引き

「シャワーしろ…男の匂い消せ」

　そう言ってバスルームのドアを閉めた。

　ごわごわした肌触りの良くないバスローブを纏い戻ると、とても小さなソファーに正宗が一人座り、潤と駿がその後ろに立っている。

「ねぇ、何の用なの？何で此処がわかって、何で此処にあなた達がいるのか説明してくれないかしら？」

　彼らと距離を保ったままバスルームの入口付近に立ち止まり聞く。

「綸を取り返しに来た」

　本来ならキュンとしそうな台詞だが…おかしいでしょ？

「あなたのものじゃないんだけど？」
「チッ…名前」

　再び話にならないので無視して身支度を整えようと動き出すと、駿が言う。

「綸ちゃんが男と一緒にバーにいるってわかって…若…ぁ…正宗が急いでこっちに向かったんだけど見張りの奴が目離しちまって…やっと探して今ってとこ」
「見張りがいるんだ…私に」

　脱ぎ捨てていたものを胸に抱き呟いた言葉には潤が答える。

「正宗が綸ちゃんを大事にしてるからね」
「彼からは説明が全くなくて良くわからないし‘大事’なんて響かないけどね」

　バタンと大きな音を立て床上20センチほど開いた扉を閉め服を着る。そのまま髪にドライヤーを当てていると、正宗が後ろに立ち私の腰に両腕を回すのが鏡越しに見えドライヤーを止めた。