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02 ー he ー
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しおりを挟むこういう行事は、出身地によって知っている人と知らない人がいる。
メーカーは何にでも便乗するので、他所から来て、マーケットの賑やかなディスプレイを見て初めて知る人もいる。
彼女がいた頃は、工夫して作ってくれたり、こちらから何かあげたりもしたものだった。楽しかったり、愛おしかったり、何故かケンカになってしまったり、色々な思い出がある。
手紙が付いていたものもあったので、後でお礼を書こう、とカバンに仕舞う。
お礼と、断り。
自分には大切な「友人」がいるから。
仕事場では、業務以外、極力一緒には過ごさないと決めた。
彼が、職場では一緒にいるのを見られたくないような事を言っていたので、そっちに合わせるしかなかった。
周りとのバランスや互いの立ち位置を考えての事かも知れないが、そんなの、毎日班のメンバー全員と話すのだし、気にする事もないのに、と思う。
けれど、彼とは元々それほど会話は無かったし、彼が倒れた時や残業以外、一緒に帰ったりもしていなかったので、そこは今まで通りなのか、と考え直した。
今までだって昼休みは屋上で会えていたのだし、そこに関しても今まで通りだ。
ただ、今までと違うのは、
今の僕は、彼の連絡先を知っている。
たまたま偶然会えた、ではなく、
連絡を取って、会う約束が出来るのだ。
それは幸せな事だった。
あの夜。
あれだけ言われて電話はさすがにかけられず、はっきりしない状況にもモヤモヤしながら、呑んでる途中に思い立って、メールだけ送ってみた。
大丈夫だろうかと緊張しつつ、「今日はありがとう。おやすみなさい」と打った。
返事は来なくていいんだ、明日にでも、届いたかどうかだけ確認しよう、と思っていた。
するとしばらくして、握りっぱなしの手の中に小さな振動。
慌てて確認すると、
「おやすみなさい」と一言。
返って来た。
返事をくれた。
それが嬉しくて、また少し呑んだ。
今日は、手洗いや休憩所で一瞬鉢合わせたぐらい。
気がついて笑いかけると、相手は小さく頭を下げてすれ違う。
とりあえずそんなペースで、どこへ向かうか分からないこの道を、ゆっくりと走り出す。
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