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02 ー he ー
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しおりを挟む寂しくなって、誰かいないかな、と学生の頃からの友人に連絡してみたが、みんな、デートだの、子供とお出かけだの、こんないい日は予定を入れていた。
「だってここ最近、休みの誘いは全部蹴ってただろ」と言われてしまっては返す言葉がなかった。
この仕事に就いたばかりの頃は本当に余裕が無かったけれど、今は仕事の事だけじゃなく、あれこれとする事や、考えてあげたい奴がいる。
「ああ、まあ、忙しくてな…」と言うと、
「いいよ。あんなにヘコんでたのに、今は忙しいんだろ?良かったよ」とニヤリとされる。
その後ろから「Yo兄弟!このドスケ……」何とかかんとか、バサバサギャアギャア騒ぐ声。
「鳥と一緒に良くない番組見るのやめろって」
「ピーちゃんは俺が育てた大事な家族だぞ」
「悪い家族だな」
「ウルセーバーカ!タバコヤメロバーカ!pppppppch……」← (ピーチャン)
「はいはい、いい子だ。有難うな」
賑やかだなと笑って、またなと電話を切った。
鳥と住むのも楽しそうだ。聞かせる言葉は気をつけなきゃならないな。
誰かを誘うのはもう諦めて、いつもと違うルートを開拓しようと隣の駅まで走り、クタクタになって帰る。
風呂に入って適当に買って来たもので夕食をとった。
食事しながらまた、アイツ食ったかな、食わずにずっと寝てるだけかな、とにわかに心配になる。
無駄に構わない、と決めたけど、病み上がりの人にこれだけ許してと電話を手に取る。いや、寝てるかな。メールにしよう。いいかな。
「何か食べるものはあるの?」と短く送る。
無い、だったら何か買って、ドアノブにでも吊るしておこうかと思った。顔を見たらまたあれこれうるさくしてしまいそうだ。
数分して、「バナナ」とだけ返事が来た。
「パン」じゃない!
いいぞ。
吹き出しながら、Goodの絵文字で返信した。
にしたってバナナだけかよ……と思いながらも、まぁ菓子パンよりはいい選択だ。
そして、公園で会話したこと、聞いてないようで聞いてくれてたのかな、と少し嬉しくなる。
メールの返事が来ただけで、嬉しくて、安心してベッドに入る。
誰かの匂いはまだ微かに残っていて、自分を静かに待っていたように、やがて薄らいで、そしていつしか消えていった。
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