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どうにでもなる
二人と一匹と
しおりを挟む火を囲む。
獲物の羽根、首、脚を落とし、川の水で軽く洗う。
騎士は剣に刺して軽く炙り、焼けた外側から短剣で削いで、俺に渡してくれる。
「剣をそんな事に使って大丈夫か」
「何故だ。生きるための道具だ。何にでも使う。火にも強い」
「そうですか…」
「もう少し時間があれば、この河原の平たい石を焼いて、その上でもう少し薄く切った肉を焼いたりする。獣脂があれば石にくっつかないし、香りが出る」
鳥の肉を噛みながら、そんな話を聞く。
ネコが欲しそうに見るので、切れ端を少し分けてやると、人の手から餌を食べるのに慣れているようで、手を噛まないように上手いことペロンと受け取って口に入れる。
ありがとにゃ、と言って頬をこすりつけて来て、ヒゲがかゆい。
「あんた、どうしてネコを助けてくれたんだ」
「それは…寝心地が……良さそうだからだ」
「寝る……?」
なるほど。
この大きさなら、いい感じのベッドになりそうだ。
ネコなんて、毛づくろいするものだし、においも少なそうだ。
だがとりあえず本人の意志を確認しなければ。
「おいネコよ。お前こんなこと言われてるが、お前の上で寝ていいのかい」
「ウニャ」
ネコは小首をかしげ少し考える。
「乗られるのは、あまり好きではないです」
「駄目だってさ」
俺は振り返ると、騎士はひどくガッカリしたような顔をしていた。
こいつ、もしかして、
猫が好きなんじゃなかろうか。
「重たい人は大変。鎧と剣も痛い」
「外さなければ、駄目か。だがこんな場所では危険が多すぎて、鎧も剣も、外す事は難しい」
「でしたら無理です」
「俺は?」
みすぼらしい服。よれよれの靴。
「あなたは、痛くなさそうなので、寄りかかってもらってよいです」
「やった!ありがとう」
俺はでかいネコに飛びついて、顎周りをごしごしと撫でた。ネコは機嫌良さそうに目を細める。
騎士はしばらく考え、口を開いた。
「それなら順番だ。時間が経ったら起こすから、お前が鎧を着て夜警しろ」
「ええっ、俺、戦ったりできませんよう」
「大丈夫だ。何かあったら起こせ」
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