どうするんだ

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どうにでもなる

仲間が増えた3

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「おい、そこのネコ」

「はいですにゃ…」

「お前は何者だ」

「ネコですにゃ…」

また、大きな音でネコの腹が鳴った。

「何故人の言葉を話す。どこから来た」

「そんな事どうでもいいだろ!まず、食わせてやってからだ。いいだろ?」

もう涙でぐしょぐしょになりながら、獲物を拾ってネコに渡した。

「これ、食べていいよ。食べな。お前のだ」

ネコは、餌よりも俺を見ていた。

美しい金色の眼。黒い瞳孔に、みっともなく泣いている俺のツラが映る。ほんとみっともない。

「あなた様は泣いていますのかにゃ」

「いいんだ、気にしないで早く食べなぁ…」

ネコに指摘されるとさすがに恥ずかしい。俺は下を向いて顔をゴシゴシと拭う。

すると、ネコが静かに寄って来て、でっかい顔を、俺の頬に擦り寄せて来た。

「ふわ」

その柔らかな、滑らかな、温かな毛の感触。
思わず変な声が出た。

「かなしみは、わかります」

「……」

深く美しい金色の瞳。

感情がわかる。ただのしゃべるネコじゃない。
賢くて、優しいネコだ。

涙がいくらでも出る。

俺は本当は……

この世界にたった一人で、寂しかったんじゃないだろうか。

やっと気付いた、そんな気持ちになって、ネコの優しさなんかで胸がいっぱいになる。


ネコはぴたりと隣に伏せる。

「さわってもいいですにゃ」

「いいのか」

「ごはんと引き換えと約束しました」

そして餌を食べる前に「ありがたきしあわせ」と呟いて、鳥を羽根ごとばりばりと食べ出した。

「おいしいかい」

「はいにゃ」

「そうかぁ。良かったな」

食べているその姿を見るだけでも涙が止まらない。
俺は猫の大きなフカフカした毛を撫でながら、もっと食わせてやりたいなと思っていた。

「おい、泣き止んだか」

「はぁ」

俺は間抜けな声で、騎士に返事をする。

猫の命乞いで号泣だ。
メチャクチャ恥ずかしい事をしていたと急に気がついた。

「そいつの主になるのか」

「あ、え、は……」

考えてなかった。
ただ可哀想で餌を分けた。
そしてこの大猫は大猫の癖に自分で餌を取れなさそうだ。

「餌付けをしたら、お前の責任だぞ」

「……」

「こいつは多分、お前の後を着いて、ずっと餌をねだるだろう。だから止めたのだ」

「でも……」

はあ、と騎士はため息をついた。

「まあいい。我らも食おう。火を起こした」

「え」

「今日は野営だ。獣が寄らないように、お前も火を見張れ」

「あ、ああ…」
 
 
 
 

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