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虎丸ちゃん、まかり通る?

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 『おい、起きろ!目を覚ませ‼︎』

 『うわ!な、なんだ、お前か? ん、ココは何処だ⁈』


 男たちが気が付いた場所は、とある「」の中、数日前にからと皆んなで「ガラスの破片」や「木端」など取り去ったばかりで、中は綺麗に片付けてある。

 電気は通ってないが、雨風が凌げるので雨天時の「ラジオ体操の場所」として使われたり、某撮影のロケ地としてオファーも来ている物件だ。
 

 『ココ、あれじゃないか?「工場地区」の売れ残り?』

 山王院グループでこの地区の再開発を行なっており、順番に取り壊しを進めている中で、まだ手を付けておらず後回しになっている廃工場は買手が付かず、売れ残ったと勘違いされている。

 実際は全て「売買契約」が済んでおり、一度に全て「更地」にすると「砂埃」「大型車輌の出入り」など環境や住人の生活に悪影響が及ぶので、優先度の高いモノから開発を進めているのだけど、


 『あの「噂」は本当だったんだ!幽霊が住み着いて買い手が居ないから取り壊しが出来ない工場が有るって!』

 ネットで広まった様な話しをココで持ち出す辺り、いかにも盗撮映像で一儲けしようとする馬鹿者らしい思考の持ち主の様だ。


 『ま、待て?まだそうと決まった訳じゃないだろ?学園から工場地区までケッコー距離あるぞ?』


 その通りだが、が彼らを瞬時にココに移動させたのだ。

 『にゃー!』

 『うわぁっ⁈』

 静まり返った廃工場の中、突然の鳴き声がしたので驚く男たち。


 『な、なんだよ、ノラネコか?』

 『畜生っめ!脅かしやがって!』


 『…お前らはその「畜生」にも…劣る愚か者ではないか…。』


 『えっ?』

 『だ、誰だよ⁈』

 何処から聞こえたのか、地の底を這う様な不気味な声が彼らを脅えさせる。


 『…オレ様の「ナワバリ」で…悪さをしようなんて…イイ度胸だ…。』

 『誰なんだよー、出てこいよー!』


 『…このには我が眷属が…陰ながら潜んでいる…夜明けまでにココを…出る事が出来たなら許してやる…。』

 『は?』

 『…出来なくば…お前たちを鼠に変えて…子供たちの「狩り」の稽古の的にしてやる…』



 


 数日前、二人の若者の捜索願いが鶴亀署に提出された。

 両家族とも双方の家に泊まっていると思っていたが諸用により、いざ確認すると数日前から両名が帰っていない事がわかったそうだ?

 捜索を始めた警察が彼らを見つけたのはが決まっている廃工場の中で、相当怖い目に遭ったらしく、失禁していたらしい?

 所持品にデジカメやウェブカメラなど、もしやと撮影されたデータを確認すると、女性の着替えを盗撮した痕跡が認められた?

 原因は分からないが、まるで狙い澄ました様に彼らに取ってだけがデータに破損があり、鑑賞する事が出来ない?

 ただし、コレらを撮影する為に女子更衣室や洗面所などに忍び込んだのは明白だった。


 



 人知れず、山代学園を守ってくれる虎丸ちゃん、タダの猫では無いよね?

 いや、ソレ以前に君は猫なの?


 


 『ふにゃにゃ!オイラのナワバリで悪さしようとは、馬鹿な奴らなのにゃ!』

 
 もうしばらくは、「正義のニャンコ 虎丸くん」の正体は内緒にしとくとして、の猫では無いのはご理解いただいたと思う。

 最近は北代家のメイちゃんや美雪ちゃんの良きお兄ちゃんなのだ。
 
 そう!「お兄ちゃん」なの!

 メイちゃんをに狙ってなんていないの!

 それなのに、家族北代家の皆んなは妙なをして「タマタマ」を取っちゃうとか脅かすのだ⁈

 違うぞ!

 メイも美雪もミコもサンゴも可愛いから大好きだけど、「妹」の好きと「お嫁さん」の好きが違うのはオイラでも分かるのだ!


 そう、オイラが「お嫁さん」にしたい好きは…



~ああ、なんと健気な虎丸くん。

 この後、彼の「純愛」が思いを大変な騒動事件に巻き込んでしまうのだ⁈





 山代学園内には舞斗が把握しているだけも「猫スポット」ほ4、5箇所有る。

 旧学園時代から有る木造建築物、ノラネコや地域猫たちが雨風を凌ぐのに十分な場所だ。

 今は使っていない体育倉庫やクラブ部室などや体育館と校舎を繋ぐ、日当たりの良い渡り廊下など。

 猫好きの生徒が猫たちとまったりする為にキャットフード等差し入れてる。

 中にはお互いに気に入り、そのままその生徒の家で飼われたりと、良いケースも有るので学園側も猫たちを追い払う様な事はせずに黙認している。

 猫が散らかしたと思われる跡も件の生徒たちが率先して清掃してくれているからだ。

 有る意味彼らの方が「ネコ部」と呼ぶべきだ?

 勿論、黙認していると言っても、無責任に放置しているはずも無く、定期的に「森猫」と提携している保護猫団体と協力して保護出来る猫は擁護している。

 

 その際、不思議と自ら保護されに近づいてくる猫もいるので、コレはおそらく「虎丸やメイ」が、

 『あの人たちは怖く無いよ、ゴハンくれるよ。優しくしてくれるよ。いじめないよ。』

 と、説明してくれているのかもしれない。



 そう言った事もあり、「学園祭で猫カフェ」の賛否がかなり話題になっていた。

 「是非やって欲しい」とか「素人が猫カフェなんて、猫たちがストレスを感じて可哀想だ!」とか、


 


 『最近、悪い人間が多くて困るのにゃ? アイツらは何をしたいのにゃ?』


 『虎丸さま、怪しい人間のオスが虎丸さまのナワバリに近づいてますミャ!』

 『そうか、分かったにゃ!』


 学園の敷地内に住み着いてる地域猫は大体虎丸の子分だ、学園内ある猫たちの「隠れ家」の見張り役でもある?

 各には、いざという時の為に皆んなで集めた「食料」や、いずれ家族になってくれる人にあげる「お宝」が隠してある。

 
 舞斗はその辺理解して、腐りそうなモノは捨ててくれるけどね。

 





 『アイツらです、虎丸さま!』

 『本当にゃ!アイツらは前に街中で舞華とリリに言い寄ってきた「命知らず」にゃ‼︎』

 『お姉ちゃん達舞華とリリは美人さんだからモテモテさんなんだよ。』

 『……。』


 と、虎ちゃん、またメイと美雪を連れ出して!
 
 
 学園内だけでなく、町内でもあっちこっちで猫たちが優しくしてくれる親しい人や護ってやらなくちゃいけない幼い子たちを見守っているのだ⁈

 時にはを越えて、ワンコやロボットと連携したりしてね。

 ただ、学園ですると、その後沢山の人間が色々調べにやって来て「隠れ家」の中を荒らされてしまうので、別の場所に悪人を放り込んでおく事にしている?

 特に廃工場は知り合いのお化けやソコに住み着いてる幽霊が協力してくれるので、よく使っているのだ!


 



 『なぁ、最近さぁ廃工場に「幽霊」が出るらしいぞ?』

 『本当?私は「化け猫」のお化けが出るって噂聞いたよ?』


 なんか、騒動のネタ増やしたんじゃないかな、虎丸ちゃん?
 
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