49 / 80
前国王と前女王
しおりを挟む
セト前国王に背中を押してもらわなくとも、狼と番は相変わらず泉の畔でいちゃいちゃしていた。
変態狼は紳士を装い、番が嫌がらないギリギリの行為を徐々に増やしていった。開脚と挿入以外は大体許してもらえるようになり、嬉しいような生殺しのような、でもやっぱり嬉しい気持ちで、今日も愛しい番と愛を確認し合った。
夕食の時間になり、昼に会ったセト前国王と、ノアとウルシュの母、イングリッド前女王を紹介される。
2人はまだ50代前半だが、退職して10年近くになるらしい。まだ40才位かと思うほど若々しい。
とするとノアとウルシュは、30才前後だろう。
こちらももっと若く見える。
早くして王位に就いたことになる。
イシスは熱い国で、沐浴や水浴びを日に2回以上することが多いせいか、国民は殆ど短髪だ。ノアとアーシェンは肩よりやや上で切り揃えているが、もっと短い女性の方が多かった。
イングリッドに至ってはベリーショート。
レイドは女性でこんなに短い髪は初めて見た。
グラーツの新米兵士の髪型のようだが、スラリとした細身で長身の彼女には似合っている。
ちなみにレイドはいつも一つに束ねている。狼獣人は全般的に肩下から肩甲骨位までは伸ばしている。
その理由は狼になった時に、短いとフサフサせずハゲができるからだ。
誇り高い狼に部分ハゲがあったら、威厳もヘッタクレもない。
「セト、相変わらずむさ苦しい。その汚い髭とクルクルした髪の毛を今すぐ剃ってきて」
「イングリッド、数年ぶりに会って初めの挨拶がそれか?髭はワシの顔の一部だ。クルクルなのは生まれつきだ、頭髪を剃る意味もわからん。それにワシは毎朝毎夜、沐浴をしてるぞ」
「食事中に不衛生な髭面なんて、不潔で不味くなるじゃない。お客様にも不潔で失礼よ」
不潔を連呼する。イングリッドが潔癖なのではなく、イシス女性全般が清潔感に重きをおくのだ。
ウルシュ国王のようなスベスベ肌で長身細身の男性が標準値のようだが、そこを目指しても目指さなくても、女性とお付き合いできる確率はないに等しい。
イシス男性が国内で伴侶を見つけるのは至難の技だ。
筋肉質でお髭の素敵な豪快紳士セト。
は国内では女性に全く認知されないが、たまに外国に行くとモテモテにモテる。なので外国に行きたい、住みたいと、酔っ払ってはよく洩らしていた。
セトもウルシュもこんなに美男子なのに独身なのが、イシス七不思議の一つだろう。
2人とも何年も前に、子種採集をされて何人かに利用されたそうだが個人情報は即座に完全抹消するため、王族の特異な力を持ってしても、子供を見つけることはできないそうだ。
現在イシスの神殿では、結婚する相手と血の繋がりがないかどうかの判定しかできない。
アレン王子も同様だが、王族の男性がどんなに大きな能力があっても不思議なことに一代で消滅する。男性の子供に能力が出ることはまずない。
たまにアーシェンのように能力のない女の子が生まれるが、隔世遺伝で次代の女児へは王家の能力がきちんと引き継がれていく。
女性から女性へのみ伝承されていき、現在に至るのがイシス王家の歴史だ。
「グラーツに行けるのが楽しみだ。王宮内にイシスよりも機能的で聖水の溢れる神殿を建設するから、アーシェン、安心して嫁ぎなさい」
「おじいさま、ありがとうございます」
もう長らく外国に出ていないセトは、平和なイシスの生活に飽き飽きしていた。波乱万丈なグラーツ帝国を、それも城内を見られるなんて儲けものだ。
アーシェンの結婚に、まんまと外国行きを勝ち取ったのである。
物知りで面白いセトが来て、アーシェンもアレンも話に加わり賑やかだった。
ノア女王も楽しそうにレイドに言った。
「そうそうレイド殿下、契約書にある同行者3名ですが、イングリッド医師が同行します。あとは護衛のシャルカと、教師のリリアーナと言う者です」
「イングリッド前女王陛下が、ですか?」
「母も外国に行きたかったんですって。母は結界が張れるし毒殺や暗殺も防いでくれるから。百人力よ」
それは大変ありがたいが、身分ある中年の女性がそんな簡単に、外国移住して大丈夫だろうか。
セトは色々な場所に行っており頑丈そうだし、神殿建設の間の短期間滞在だ。
だが、イングリッドは繊細そうだ。医師とは言え、豊かなイシスで長年生活してきた。
今からグラーツの生活に耐えられるのか。
イングリッド本人もレイドの思案が伝わったのか、意思の強い目で狼を見つめた。
「私は医者になりたかったけど、誠に残念ながら王になりました。今は人生を取り戻している最中なのです。外国の医療事情も見てみたいし、こう見えてもセトよりは忍耐力がありますので心配ご無用。ああ、もちろん一番はアーシェンの安全保証のためについて行くのですよ」
誠に残念ながら王に・・・。
母マデリーンと話が合いそうだと思ったが、2人の前国王は身分を隠してのグラーツ滞在を申し出た。
「もう普通の人として生きたいのです。結界が張れるだけで王族だなんてバレないでしょう。イシスの国民は全員張れますって言っておけば、さすが神様の国だって納得するはずです」
隣でセトが、うんうん。それで全く問題ないな!と頷いている。
前国王が建築家として、前女王が皇太子妃の医師としてグラーツ帝国に来ることがわかり、力強いと感謝する思う反面やはりイシスは特殊な国だと思った。
ちなみにその日の夕食はいつもの倍近く出たが、見事に無くなっていた。前国王が平らげたのだ。
変態狼は紳士を装い、番が嫌がらないギリギリの行為を徐々に増やしていった。開脚と挿入以外は大体許してもらえるようになり、嬉しいような生殺しのような、でもやっぱり嬉しい気持ちで、今日も愛しい番と愛を確認し合った。
夕食の時間になり、昼に会ったセト前国王と、ノアとウルシュの母、イングリッド前女王を紹介される。
2人はまだ50代前半だが、退職して10年近くになるらしい。まだ40才位かと思うほど若々しい。
とするとノアとウルシュは、30才前後だろう。
こちらももっと若く見える。
早くして王位に就いたことになる。
イシスは熱い国で、沐浴や水浴びを日に2回以上することが多いせいか、国民は殆ど短髪だ。ノアとアーシェンは肩よりやや上で切り揃えているが、もっと短い女性の方が多かった。
イングリッドに至ってはベリーショート。
レイドは女性でこんなに短い髪は初めて見た。
グラーツの新米兵士の髪型のようだが、スラリとした細身で長身の彼女には似合っている。
ちなみにレイドはいつも一つに束ねている。狼獣人は全般的に肩下から肩甲骨位までは伸ばしている。
その理由は狼になった時に、短いとフサフサせずハゲができるからだ。
誇り高い狼に部分ハゲがあったら、威厳もヘッタクレもない。
「セト、相変わらずむさ苦しい。その汚い髭とクルクルした髪の毛を今すぐ剃ってきて」
「イングリッド、数年ぶりに会って初めの挨拶がそれか?髭はワシの顔の一部だ。クルクルなのは生まれつきだ、頭髪を剃る意味もわからん。それにワシは毎朝毎夜、沐浴をしてるぞ」
「食事中に不衛生な髭面なんて、不潔で不味くなるじゃない。お客様にも不潔で失礼よ」
不潔を連呼する。イングリッドが潔癖なのではなく、イシス女性全般が清潔感に重きをおくのだ。
ウルシュ国王のようなスベスベ肌で長身細身の男性が標準値のようだが、そこを目指しても目指さなくても、女性とお付き合いできる確率はないに等しい。
イシス男性が国内で伴侶を見つけるのは至難の技だ。
筋肉質でお髭の素敵な豪快紳士セト。
は国内では女性に全く認知されないが、たまに外国に行くとモテモテにモテる。なので外国に行きたい、住みたいと、酔っ払ってはよく洩らしていた。
セトもウルシュもこんなに美男子なのに独身なのが、イシス七不思議の一つだろう。
2人とも何年も前に、子種採集をされて何人かに利用されたそうだが個人情報は即座に完全抹消するため、王族の特異な力を持ってしても、子供を見つけることはできないそうだ。
現在イシスの神殿では、結婚する相手と血の繋がりがないかどうかの判定しかできない。
アレン王子も同様だが、王族の男性がどんなに大きな能力があっても不思議なことに一代で消滅する。男性の子供に能力が出ることはまずない。
たまにアーシェンのように能力のない女の子が生まれるが、隔世遺伝で次代の女児へは王家の能力がきちんと引き継がれていく。
女性から女性へのみ伝承されていき、現在に至るのがイシス王家の歴史だ。
「グラーツに行けるのが楽しみだ。王宮内にイシスよりも機能的で聖水の溢れる神殿を建設するから、アーシェン、安心して嫁ぎなさい」
「おじいさま、ありがとうございます」
もう長らく外国に出ていないセトは、平和なイシスの生活に飽き飽きしていた。波乱万丈なグラーツ帝国を、それも城内を見られるなんて儲けものだ。
アーシェンの結婚に、まんまと外国行きを勝ち取ったのである。
物知りで面白いセトが来て、アーシェンもアレンも話に加わり賑やかだった。
ノア女王も楽しそうにレイドに言った。
「そうそうレイド殿下、契約書にある同行者3名ですが、イングリッド医師が同行します。あとは護衛のシャルカと、教師のリリアーナと言う者です」
「イングリッド前女王陛下が、ですか?」
「母も外国に行きたかったんですって。母は結界が張れるし毒殺や暗殺も防いでくれるから。百人力よ」
それは大変ありがたいが、身分ある中年の女性がそんな簡単に、外国移住して大丈夫だろうか。
セトは色々な場所に行っており頑丈そうだし、神殿建設の間の短期間滞在だ。
だが、イングリッドは繊細そうだ。医師とは言え、豊かなイシスで長年生活してきた。
今からグラーツの生活に耐えられるのか。
イングリッド本人もレイドの思案が伝わったのか、意思の強い目で狼を見つめた。
「私は医者になりたかったけど、誠に残念ながら王になりました。今は人生を取り戻している最中なのです。外国の医療事情も見てみたいし、こう見えてもセトよりは忍耐力がありますので心配ご無用。ああ、もちろん一番はアーシェンの安全保証のためについて行くのですよ」
誠に残念ながら王に・・・。
母マデリーンと話が合いそうだと思ったが、2人の前国王は身分を隠してのグラーツ滞在を申し出た。
「もう普通の人として生きたいのです。結界が張れるだけで王族だなんてバレないでしょう。イシスの国民は全員張れますって言っておけば、さすが神様の国だって納得するはずです」
隣でセトが、うんうん。それで全く問題ないな!と頷いている。
前国王が建築家として、前女王が皇太子妃の医師としてグラーツ帝国に来ることがわかり、力強いと感謝する思う反面やはりイシスは特殊な国だと思った。
ちなみにその日の夕食はいつもの倍近く出たが、見事に無くなっていた。前国王が平らげたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
王宮侍女は穴に落ちる
斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された
アニエスは王宮で運良く職を得る。
呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き
の侍女として。
忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。
ところが、ある日ちょっとした諍いから
突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。
ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな
俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され
るお話です。
君は僕の番じゃないから
椎名さえら
恋愛
男女に番がいる、番同士は否応なしに惹かれ合う世界。
「君は僕の番じゃないから」
エリーゼは隣人のアーヴィンが子供の頃から好きだったが
エリーゼは彼の番ではなかったため、フラれてしまった。
すると
「君こそ俺の番だ!」と突然接近してくる
イケメンが登場してーーー!?
___________________________
動機。
暗い話を書くと反動で明るい話が書きたくなります
なので明るい話になります←
深く考えて読む話ではありません
※マーク編:3話+エピローグ
※超絶短編です
※さくっと読めるはず
※番の設定はゆるゆるです
※世界観としては割と近代チック
※ルーカス編思ったより明るくなかったごめんなさい
※マーク編は明るいです
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる