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第一部 VR花子さんの怪
第五話 取り憑かれたアバターの話
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ハムッチュの話が始まった。
「こんにちは! ハムッチュです!
実は、このハムッチュは二代目だったんだよ。初代はね、このウサギちゃん」
いきなり別なアバターを読み込むハムッチュ。変身したのはウサギのぬいぐるみアバターだ。ハムスターもかわいいけど、これもなんとなくかわいい。
「このアバター、昔は壊れてたんだよ。首がね、変に曲がっちゃうんだ。直すの面倒だったからハムスターのアバターに変えたんだよ。これが壊れてたときの様子ね」
スクリーンショットの画像が視界に映し出される。今変身しているハムッチュのウサギアバターだ。ただ、首が折れたように横向きに曲がっている。かわいいけど……怖い。VR花子さんとはまた別の怖さだ。
「もう、お化けだよねこれ。だから一度封印したんだ。でも、学校のワールドでかくれんぼして遊んでた時に友達をびっくりさせるのに一度使ったんだよ。
その時はね、トイレに隠れてたんだ。便器に重なるようにしてね。なんだかトイレの花子さんになった気分ってその時は冗談で思ってたよ。
しばらくして友達がトイレに入ってくるんだけど……まあ、普通に見つかるよね。それで見つかった時に急に飛び出して友達をびっくりさせようと思ったわけね。
友達がトイレの扉を開けた瞬間、ピョコっと飛び出して曲がった首を揺らして脅かしてあげたんだ。すると友達が突然『いやあああああああああ!』って、大げさに驚いて逃げたから、ちょっとやりすぎたかなって思ったの。
そんなに怖かったかな~ってトイレの出口の側にあるミラーをのぞいで自分の姿を確認してみたら……ミラーに映った姿が首の折れたVR花子さんになってたんだよぉ……その日は怖くなってメタバースからログアウトしちゃいました」
別に怖そうなそぶりも無く、テヘっとした様子でハムスターのアバターに戻るハムッチュ。
それにしても、初代がウサギアバターだった……と、いうことは……。
今はハムスターなのでハムッチュというのは分かる。ウサギアバターのときは、ウサピョンとかいう名前だったのだろうか……と、そんなどうでもよい推測はさておいて、ハムッチュの話は続く。
「次の日もう一度ウサギちゃんアバターを確認してみたら、VR花子さんの姿じゃなくて、ウサギちゃんアバターに戻ってたので一安心。でも、なぜか首がまっすぐ元通りになってて……かわいいうさぎちゃんアバターになってたんだよ。もしかして、VR花子さんがアバター直してくれたのかな……って思いました。案外悪い霊じゃないのかも……おしまい」
ハムッチュの話が終わり住職が挨拶をする。
「ハムッチュさん、ありがとうございましたぁ! それでは今の話についての視聴者コメントを見てみたいと思います」
──動画のコメントボード──
……
……
アバターは呪われてしまった。
VR花子になった時のスクショ見たかったね。
……
リアルは何事も無かったのかな?
……
さてと、検証だ。
今回のケースはメタバース内だけの出来事とみていい気がするのだけど、アバターの件はちょっと気になる。
アバターは編集しないと直せない。編集はリアルにするものだ。したがってこの事象はリアルな事象……と、いえなくもない。
それにしても、もしアバターを修正することがVR花子さんにできるのだとすれば……VR花子さんは、実は超高度AIでした……という可能性も出てくるだろう。ずっと霊だ霊だと騒いでいるから本質的なものが見えなくなっていたのかもしれない。
もしそれが霊だというのなら、自分だったら電子精霊と呼称するね。
最後に……やはりというべきか、トイレが関わっている。そうなると、自分の事象はかなりレアケースとなる。トイレじゃないVR花子さんが現れた! ……と、なってしまう。VR花子さんの偽物と言われてもおかしくはない。まあ、その時は……偽物がいたっていいじゃないかと開き直ろう。
コメントが流れ終え、住職とハムッチュが会話する。
「いやぁ、大変でしたねぇ。もしかして、リアルに鏡を見たら、自分が花子さんになってた! なんてことは?」
「それはない!」
「ですよね。それではろうそくの火をお願いしまぁす」
ハムッチュは住職にそういわれるとろうそくを吹く動作をする。ろうそくの火がまた一つ消えた。
「こんにちは! ハムッチュです!
実は、このハムッチュは二代目だったんだよ。初代はね、このウサギちゃん」
いきなり別なアバターを読み込むハムッチュ。変身したのはウサギのぬいぐるみアバターだ。ハムスターもかわいいけど、これもなんとなくかわいい。
「このアバター、昔は壊れてたんだよ。首がね、変に曲がっちゃうんだ。直すの面倒だったからハムスターのアバターに変えたんだよ。これが壊れてたときの様子ね」
スクリーンショットの画像が視界に映し出される。今変身しているハムッチュのウサギアバターだ。ただ、首が折れたように横向きに曲がっている。かわいいけど……怖い。VR花子さんとはまた別の怖さだ。
「もう、お化けだよねこれ。だから一度封印したんだ。でも、学校のワールドでかくれんぼして遊んでた時に友達をびっくりさせるのに一度使ったんだよ。
その時はね、トイレに隠れてたんだ。便器に重なるようにしてね。なんだかトイレの花子さんになった気分ってその時は冗談で思ってたよ。
しばらくして友達がトイレに入ってくるんだけど……まあ、普通に見つかるよね。それで見つかった時に急に飛び出して友達をびっくりさせようと思ったわけね。
友達がトイレの扉を開けた瞬間、ピョコっと飛び出して曲がった首を揺らして脅かしてあげたんだ。すると友達が突然『いやあああああああああ!』って、大げさに驚いて逃げたから、ちょっとやりすぎたかなって思ったの。
そんなに怖かったかな~ってトイレの出口の側にあるミラーをのぞいで自分の姿を確認してみたら……ミラーに映った姿が首の折れたVR花子さんになってたんだよぉ……その日は怖くなってメタバースからログアウトしちゃいました」
別に怖そうなそぶりも無く、テヘっとした様子でハムスターのアバターに戻るハムッチュ。
それにしても、初代がウサギアバターだった……と、いうことは……。
今はハムスターなのでハムッチュというのは分かる。ウサギアバターのときは、ウサピョンとかいう名前だったのだろうか……と、そんなどうでもよい推測はさておいて、ハムッチュの話は続く。
「次の日もう一度ウサギちゃんアバターを確認してみたら、VR花子さんの姿じゃなくて、ウサギちゃんアバターに戻ってたので一安心。でも、なぜか首がまっすぐ元通りになってて……かわいいうさぎちゃんアバターになってたんだよ。もしかして、VR花子さんがアバター直してくれたのかな……って思いました。案外悪い霊じゃないのかも……おしまい」
ハムッチュの話が終わり住職が挨拶をする。
「ハムッチュさん、ありがとうございましたぁ! それでは今の話についての視聴者コメントを見てみたいと思います」
──動画のコメントボード──
……
……
アバターは呪われてしまった。
VR花子になった時のスクショ見たかったね。
……
リアルは何事も無かったのかな?
……
さてと、検証だ。
今回のケースはメタバース内だけの出来事とみていい気がするのだけど、アバターの件はちょっと気になる。
アバターは編集しないと直せない。編集はリアルにするものだ。したがってこの事象はリアルな事象……と、いえなくもない。
それにしても、もしアバターを修正することがVR花子さんにできるのだとすれば……VR花子さんは、実は超高度AIでした……という可能性も出てくるだろう。ずっと霊だ霊だと騒いでいるから本質的なものが見えなくなっていたのかもしれない。
もしそれが霊だというのなら、自分だったら電子精霊と呼称するね。
最後に……やはりというべきか、トイレが関わっている。そうなると、自分の事象はかなりレアケースとなる。トイレじゃないVR花子さんが現れた! ……と、なってしまう。VR花子さんの偽物と言われてもおかしくはない。まあ、その時は……偽物がいたっていいじゃないかと開き直ろう。
コメントが流れ終え、住職とハムッチュが会話する。
「いやぁ、大変でしたねぇ。もしかして、リアルに鏡を見たら、自分が花子さんになってた! なんてことは?」
「それはない!」
「ですよね。それではろうそくの火をお願いしまぁす」
ハムッチュは住職にそういわれるとろうそくを吹く動作をする。ろうそくの火がまた一つ消えた。
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