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第一部 VR花子さんの怪
第七話 最速を目指していた時の出来事の話
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ミカエルの話が始まった。
「それじゃあ話すよ。あれは確か、VR峠のワールドを攻略していた時のことかな。ステージはたしか……3番目の上級ステージだ。いつものようにゴーストモードを利用してライン取りを調整していた時のことだ。
ゴーストモードっていうのはコースを走った時のリプレイを表示するモードだ。自由にリプレイを登録できて、自由にリプレイを選べる……そんな自由度の高い機能だ。ゴースト車両は半透明化されていて当たり判定はない。
まあ、これを追っかけることによってゴーストのラインを盗み、タイムを縮めようって腹さ。
使用したゴーストは俺の入っているレース専門ギルド『メタバースの風』のリーダー、ハチロクさんのゴーストだ。ハチロクさんは車種別に基本的なコースの攻め方を披露し、そのゴーストをメンバーに配っているのさ。俺はハチロクさんとは付き合いが長いので、ハチロクさんがタイムアタックに使用した時のゴーストをもらうことができた。しかも、使用した車が俺が使っている車、アレックス7と同じ車種ときたもんだ。おかげでコースレコードが12秒も縮まった。
けれども、ハチロクさんの攻めは神がかっている。もちろん俺はそれを追い抜くつもりで攻めている。あとは、車のセッティング次第だと思ってトライを繰り返していたんだ。
そして、その日最後のセッティング。これでだめなら今日はおしまいって時に事は起こった。
緩いS字カーブを直線的に抜け右カーブのトンネルに差し掛かる。その時、普段ならイン側ギリギリを攻めて立ち上がるしかなかったトンネルのカーブを今回は速度を落とさずに中央のラインで曲がることができた。セッティングを繰り返した成果だ。俺はその時、ハチロクさんのゴーストをぶっちぎった。
よし、このままゴールへ行けばコースレコード更新だ! とイキって最後のコーナーを立ち上がったその瞬間、奴は現れた。
女子高生姿でこっちを見ながら走るお化けだ。俺の車を追い越して、首を後ろに曲げて赤い目でこっちを見て笑うんだ。そしてそのまま俺の前を走り続けてゴール。俺は思った……これが今うわさのVR花子さんじゃないか! ……ってね。
せっかくのチャンスを潰された気分だ。もちろん、俺のタイムはハチロクさんのゴーストタイムよりコンマ5秒遅れている。この現象さへ無ければ、壁を越えられたんだ……。
……とまあ、こういう経験をしました。以上! 取り憑かれてないよ……ね……」
ミカエルの話が終わった。住職が挨拶をする。
「ミカエルさん、ありがとうございましたぁ! それでは今の話についての視聴者コメントを見てみたいと思います」
──動画のコメントボード──
……
……
それはVR花子さんではありません。
仕様です。
期間限定のゴーストモードです。
追い抜いたゴーストに抜かれるとゴースト化します。
ゴーストとゴーストを掛けた……
なんだ、偽物か!
最後立ち上がるの遅かったんじゃね。
VR花子さんのせいにしてはいけません。
詳しくは過去のワールド更新ログ参照。
……
……
……これは、検証せずともいいだろう。要するに期間限定である条件下でのみ発生するイベントだったということだ。
他は峠のタイムアタックの話なわけだし……話の中身は自分にはよくわからないので解説はしない。
ただ、この話にはトイレの話が出てこない。VR花子さんとも関係ない話だ。これで自分の話を堂々と話せる自身がついた。峠の天使にはありがとうと言いたい。
コメントが流れ終え、住職とミカエルが会話する。
「コメントを見る限り、VR花子さんでは無かったみたいですねぇ~。残念です。まあ、VR花子さんは概念のようなものですからね……こういうこともあります」
「ええ~違うの? VR花子さんってこれのことじゃないの? でもよかったよ……取り憑かれたら大変だからね」
「それではろうそくの火をお願いしまぁす」
ミカエルは住職にそういわれるとろうそくを吹く動作をする。ろうそくの火がまた一つ消えた。
……と、次は自分の番だ。
「それじゃあ話すよ。あれは確か、VR峠のワールドを攻略していた時のことかな。ステージはたしか……3番目の上級ステージだ。いつものようにゴーストモードを利用してライン取りを調整していた時のことだ。
ゴーストモードっていうのはコースを走った時のリプレイを表示するモードだ。自由にリプレイを登録できて、自由にリプレイを選べる……そんな自由度の高い機能だ。ゴースト車両は半透明化されていて当たり判定はない。
まあ、これを追っかけることによってゴーストのラインを盗み、タイムを縮めようって腹さ。
使用したゴーストは俺の入っているレース専門ギルド『メタバースの風』のリーダー、ハチロクさんのゴーストだ。ハチロクさんは車種別に基本的なコースの攻め方を披露し、そのゴーストをメンバーに配っているのさ。俺はハチロクさんとは付き合いが長いので、ハチロクさんがタイムアタックに使用した時のゴーストをもらうことができた。しかも、使用した車が俺が使っている車、アレックス7と同じ車種ときたもんだ。おかげでコースレコードが12秒も縮まった。
けれども、ハチロクさんの攻めは神がかっている。もちろん俺はそれを追い抜くつもりで攻めている。あとは、車のセッティング次第だと思ってトライを繰り返していたんだ。
そして、その日最後のセッティング。これでだめなら今日はおしまいって時に事は起こった。
緩いS字カーブを直線的に抜け右カーブのトンネルに差し掛かる。その時、普段ならイン側ギリギリを攻めて立ち上がるしかなかったトンネルのカーブを今回は速度を落とさずに中央のラインで曲がることができた。セッティングを繰り返した成果だ。俺はその時、ハチロクさんのゴーストをぶっちぎった。
よし、このままゴールへ行けばコースレコード更新だ! とイキって最後のコーナーを立ち上がったその瞬間、奴は現れた。
女子高生姿でこっちを見ながら走るお化けだ。俺の車を追い越して、首を後ろに曲げて赤い目でこっちを見て笑うんだ。そしてそのまま俺の前を走り続けてゴール。俺は思った……これが今うわさのVR花子さんじゃないか! ……ってね。
せっかくのチャンスを潰された気分だ。もちろん、俺のタイムはハチロクさんのゴーストタイムよりコンマ5秒遅れている。この現象さへ無ければ、壁を越えられたんだ……。
……とまあ、こういう経験をしました。以上! 取り憑かれてないよ……ね……」
ミカエルの話が終わった。住職が挨拶をする。
「ミカエルさん、ありがとうございましたぁ! それでは今の話についての視聴者コメントを見てみたいと思います」
──動画のコメントボード──
……
……
それはVR花子さんではありません。
仕様です。
期間限定のゴーストモードです。
追い抜いたゴーストに抜かれるとゴースト化します。
ゴーストとゴーストを掛けた……
なんだ、偽物か!
最後立ち上がるの遅かったんじゃね。
VR花子さんのせいにしてはいけません。
詳しくは過去のワールド更新ログ参照。
……
……
……これは、検証せずともいいだろう。要するに期間限定である条件下でのみ発生するイベントだったということだ。
他は峠のタイムアタックの話なわけだし……話の中身は自分にはよくわからないので解説はしない。
ただ、この話にはトイレの話が出てこない。VR花子さんとも関係ない話だ。これで自分の話を堂々と話せる自身がついた。峠の天使にはありがとうと言いたい。
コメントが流れ終え、住職とミカエルが会話する。
「コメントを見る限り、VR花子さんでは無かったみたいですねぇ~。残念です。まあ、VR花子さんは概念のようなものですからね……こういうこともあります」
「ええ~違うの? VR花子さんってこれのことじゃないの? でもよかったよ……取り憑かれたら大変だからね」
「それではろうそくの火をお願いしまぁす」
ミカエルは住職にそういわれるとろうそくを吹く動作をする。ろうそくの火がまた一つ消えた。
……と、次は自分の番だ。
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