最弱勇者のギリギリライフ

奇妙な海老

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最弱勇者は不在

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私はマナー。
名前はカグラからつけてもらった。
カグラって言うのは、私の命の恩人のこと。お腹が空いて死にそうになっていたところを水とパンをくれて助けてくれた。
カグラは私の知らないことを一杯知ってて、いつも意味を聞いたら、めんどくさそうに答えてくれるめんどくさがり。

だけど悪い人じゃない、目つきが少し怖いけど、とっても良い人。

そんなカグラからさっきお小遣いをもらった、カグラはそれで何でも買って良いって言うから、食べ物を買うことにしたんだ。
そしたら……

「ねぇねぇ、お菓子あげるからさぁ…おじさんと一緒にきてよ…」

ハァハァうるさい人がお菓子くれるって。
眼鏡つけててちょっと太ってるけどとっても良い人だなぁ。

「わーい!行くー!」

「イェェェェェエッス!」

何か変な人だけどお菓子貰えるらしいからついて行くことにした。







鮮明に煌めく赤色の髪、金色のピンをつけたポニーテールが目立つ14歳位の小柄な少女、シェイミー・アルバレアは、ある2人組を眺めていた。

「て、典型的な誘拐だぁ……」

そう、誘拐に遭遇してしまったのである。
片方はまさに、変態と言う物であり、普通は逃げ出す筈の女の子もどこか抜けているのか、お菓子と言う言葉に過剰に反応して変態について行ってしまいそうだ。
ここで自分は関係ないと無視して先に行くこともできるが、生憎、先に行くも何も今のシェイミーには行くところが無い。
なぜそんなことになっているかと言うと、父親が仕事の都合でアルティカーナに行かなければいけなくなり、ついて行ったはいいものの、中が混雑しすぎていて、街に入ってほんの数分で父親とはぐれてしまった、と言うわけだ。

ハァ、と息を吐きシェイミーは先ほどの二人を見直す。
少女は冒険者なのか暗殺者なのかは知らないが、やたら真っ黒なローブを着ていてとても弱そうには見えない。
しかしそれは男の方にも言えたことであり、ある程度熟練度の高いものしか装備できないとされる賢者のマントはその男が有力な魔導師であることがわかる。
しかし、それに対して少女の装備は見た目強そうではあるが、割と盗賊などが良く装備している物であり、そこまで高価でもなく必要な熟練度もそれほど高くはない。
よっておそらくこの男は少女より強く、もし何かされても少女は何もできない可能性が高いのだ。

ちなみに熟練度と言うものはその人物の経験値であり、強い防具や武器を装備するためにはそれ相応の熟練度が必要なのである。

「これはまずい……早くしないと女の子が連れて行かれるかもしれません」

シェイミーはぶつぶつと敵の男を分析する。

「あいつは魔導師か……広範囲魔法とかを放たれたら厄介ですね……」

しかしながらこの少女、どこか普通の女の子と違っている。
戦い方を冷静に分析したり、状況を打開する方法を考えたりと、戦いに関して異様に詳しいのである。

実はこの少女の父親、ある大変な仕事をしている。

それは…

「よし!アルティカーナ軍総大将の名にかけて、あの変態を懲らしめてやります!」



アルティカーナ要塞最高幹部

『スルト・アルバレア』

その人である。



シェイミーは着ている紫色の洋服の裏側から細身の剣を取り出した。

レイピアと言うには太く、片手剣と言うには細すぎるこの剣は、東の小国の兵器であり、銀色の光を放つ。

各国が賞賛した素晴らしい切れ味を誇るその武器は『カタナ』と言われている。

物陰に隠れていたシェイミーはカタナを向けながら勢い良く飛び出して男に叫んだ。

「おい!そこの変態!その少女から離れなさい!」

「な、なんだてめ……いや、大人しくしてろ、変なことをしなければお菓子をやろう……だからちょっとおじさんについておいで~」

「お菓子なんぞに釣られるか変態!あと私はあんたの好きな幼女じゃない!」

「いやぁ……強がって武器なんかだしてまぁ……その薄い胸板といい、正直ドストライクだわ」

「うるさい!バーカ!」

「しょうがない…力ずくで君達をおじさんのコレクションに入れるか…」

「コレクション?」

「ああー幼女可愛い…」

「変態!」

シェイミーはカタナを構え男に突撃した。

「はぁっ!」

東の小国で習った独特の構えをとってカタナを振り下ろすシェイミー。

「ふん!幼女ごときの攻撃がこのおじさんに当たるわけ、ギィヤァァァァァァァア!!!」

男は頭に強い衝撃を受け、気絶してしまった。

最初に長々と分析したのはいったい何だったのか。
思ったより弱かったなぁと思いながらシェイミーはカタナを直し、女の子に話しかけた。

「ねぇそこの君、大丈夫?何ともない?」

「……あの人殺したの?」

「へ?峰打ち……」

「うわぁぁぁあん!死んじゃったぁぁぁあ!」

「いや峰打ちって、ちょっまっ、泣かないで!」

「うわぁぁぁぁぁぁあ!」

何か私が責められてるみたい……と、シェイミーの心に負の感情が溜まって行く。

「あぁぁあ!もう!お父さぁぁぁん!」

とうとう二人とも泣き出してしまった。







「マナー遅いなぁ……」

既に2時間待たされているカグラなのであった。
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