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第2章 光と陰
第47話 ファーストキス
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世界から音が消えたような静寂の中、夢かと思うほど、甘く柔らかい感触を祐希は感じた。
どれくらいの時間、唇を重ねていただろう。
数秒だったのか、それとももっと長い時間だったのか……
どちらからともなく唇を離すと、さくらは祐希から目を逸らし、左手を唇に触れてはにかんだ。
2人は突如として現実に引き戻された。
(さくらさんとキスしちゃった)
(祐希さんとキスしちゃった)
2人の胸は高鳴っていたが、不思議と動揺はなかった。
「あそこへ座ろうか」
「はい」
祐希は近くにあった流木に、さくらと2人で腰掛けた。
「寒くない?」
さくらは、半袖のままだったので少し寒そうに見えた。
「少し寒いです」
祐希は、着ていたマウンテンパーカーを脱ぎ、さくらの肩に掛けた。
「ごめんね……」
「え……どうして謝るんですか?」
「あ、いや、キスしちゃったから……」
「謝らないで下さい。
私もしたかったんですから……」
「……ありがとう」
「ふふ、あれが私のファーストキスなんですから……
その言葉、ありがたくいただいておきます」
2人は、初めての口づけの余韻に浸りながら、満天の星空を見上げた。
「うう、寒くなってきたなぁ……」
その夜は、放射冷却現象のせいか、思ったより気温が下がっていた。
「そろそろ戻りましょう。
みんな、心配しているかもしれないし」
祐希は、もう少しさくらと2人だけでいたかったが、諦めて戻ることにした。
「そうだね、戻ろうか」
祐希とさくらは、スマホの灯りを頼りに、来た道を引き返していった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
未来は、祐希が戻ってこないのを心配していた。
(祐希、トイレ長すぎない……?)
祐希が席を立ってから、もう20分以上は経っている。
(まさか、酔ってどこかで寝てるとか……?)
「私、お手洗い、行ってくるね」
未来はみんなに声をかけ、タープを出て管理棟のトイレに向かった。
夜のキャンプ場は気温が下がり、ひんやりとした空気が漂っている。
しかし、管理棟の近辺には、祐希の姿はなかった。
(一体どこへ行ったの……?)
辺りを見回すと、煌々と光る自販機の前にも人影はなかった。
ただ、風が木々を揺らす音だけが響いている。
未来が湖畔の方へ目を向けた。
その時、暗闇の奥から微かな灯りが揺れながら、こちらへ近づいてくるのが見えた。
未来は無意識に管理棟の陰に身を潜めた。
近づいてくるのは、スマホのライトだろうか。
揺れながら、ゆっくりとこちらへ近づいてくる光を、未来は息を殺して見ていた。
その光が管理棟の外灯が届く範囲へと踏み入ると、2つの人影が浮かび上がった。
それは祐希とさくらだった。
こんな暗闇の中、2人は湖畔で何をしていたのだろう。
しかも仲睦まじく手を繋いでいる。
楽しそうに顔を見合わせ、何かを囁き合っている様子は、まるで恋人同士のようだった。
(なんで……なんで2人が一緒なの……?)
祐希を探しに来たはずなのに、未来は一番見たくないものを見てしまった。
心配していた自分が、ひどく惨めに思えた。
未来は楽しげな2人の様子に嫉妬し、握り拳を震わせながら、ただじっと見つめていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
祐希とさくらは、スクリーンタープに戻った。
「あれ、2人とも随分遅かったね」
朱音が聞いた。
「湖畔で星を見てたんです。
こんな凄い星空、都会じゃ絶対見られないから」
祐希がみんなに教えた。
「え、そんなに凄いの」
その場にいたメンバー全員が、タープの外へ出て、夜空を見上げた。
「ホントだ~、これは凄いわ。
写真撮りたいけど、写るかなぁ」
明日奈がスマホを取り出し、夜空に向けてシャッターを切った。
「あ~、やっぱりデジカメでなきゃ無理かな」
みんなが夜空を見上げている所へ、未来が戻ってきた。
「あれ、未来ちゃんも遅かったね」
朱音が言った。
「未来、なんか顔色悪いよ、大丈夫?」
琴葉が心配した。
「大丈夫、タープの中、暑かったから、ちょっと涼んできたの」
未来は笑って誤魔化した。
時刻は夜10時を過ぎ、キャンプ場の夜は更けていった。
「私、そろそろ寝るからね。
明日もあるし、みんな、あまり夜更かししないでね。
あ、祐希くん、寝る時にタープの戸締まりよろしく~」
明日奈が言った。
「はい、了解です」
「私も眠たくなったから寝るね~、おやすみなさ~い」
朱音が同調した。
「あ~しも、もう寝る~」
瑞希は泥酔して足元もフラついていた。
「ヨッパライは、寝ろ~」
そういう里緒奈も頬を赤くして、かなり酔っている様子だ。
明日奈、瑞希、朱音、瀬奈の4人は、歯を磨いてから寝るとタープを出ていった。
残ったのは、怜奈、里緒奈、未来、さくら、琴葉、そして祐希の6人だ。
「私たちも11時までには、寝ようね」
怜奈が、年長者として年下メンバーに言った。
その時、唐突に里緒奈が言った。
「ねえねえ、ゆうきぃ……
みくとラブホ行ったって、ホント~?」
里緒奈のその一言に、その場にいた全員が凍りついた。
どれくらいの時間、唇を重ねていただろう。
数秒だったのか、それとももっと長い時間だったのか……
どちらからともなく唇を離すと、さくらは祐希から目を逸らし、左手を唇に触れてはにかんだ。
2人は突如として現実に引き戻された。
(さくらさんとキスしちゃった)
(祐希さんとキスしちゃった)
2人の胸は高鳴っていたが、不思議と動揺はなかった。
「あそこへ座ろうか」
「はい」
祐希は近くにあった流木に、さくらと2人で腰掛けた。
「寒くない?」
さくらは、半袖のままだったので少し寒そうに見えた。
「少し寒いです」
祐希は、着ていたマウンテンパーカーを脱ぎ、さくらの肩に掛けた。
「ごめんね……」
「え……どうして謝るんですか?」
「あ、いや、キスしちゃったから……」
「謝らないで下さい。
私もしたかったんですから……」
「……ありがとう」
「ふふ、あれが私のファーストキスなんですから……
その言葉、ありがたくいただいておきます」
2人は、初めての口づけの余韻に浸りながら、満天の星空を見上げた。
「うう、寒くなってきたなぁ……」
その夜は、放射冷却現象のせいか、思ったより気温が下がっていた。
「そろそろ戻りましょう。
みんな、心配しているかもしれないし」
祐希は、もう少しさくらと2人だけでいたかったが、諦めて戻ることにした。
「そうだね、戻ろうか」
祐希とさくらは、スマホの灯りを頼りに、来た道を引き返していった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
未来は、祐希が戻ってこないのを心配していた。
(祐希、トイレ長すぎない……?)
祐希が席を立ってから、もう20分以上は経っている。
(まさか、酔ってどこかで寝てるとか……?)
「私、お手洗い、行ってくるね」
未来はみんなに声をかけ、タープを出て管理棟のトイレに向かった。
夜のキャンプ場は気温が下がり、ひんやりとした空気が漂っている。
しかし、管理棟の近辺には、祐希の姿はなかった。
(一体どこへ行ったの……?)
辺りを見回すと、煌々と光る自販機の前にも人影はなかった。
ただ、風が木々を揺らす音だけが響いている。
未来が湖畔の方へ目を向けた。
その時、暗闇の奥から微かな灯りが揺れながら、こちらへ近づいてくるのが見えた。
未来は無意識に管理棟の陰に身を潜めた。
近づいてくるのは、スマホのライトだろうか。
揺れながら、ゆっくりとこちらへ近づいてくる光を、未来は息を殺して見ていた。
その光が管理棟の外灯が届く範囲へと踏み入ると、2つの人影が浮かび上がった。
それは祐希とさくらだった。
こんな暗闇の中、2人は湖畔で何をしていたのだろう。
しかも仲睦まじく手を繋いでいる。
楽しそうに顔を見合わせ、何かを囁き合っている様子は、まるで恋人同士のようだった。
(なんで……なんで2人が一緒なの……?)
祐希を探しに来たはずなのに、未来は一番見たくないものを見てしまった。
心配していた自分が、ひどく惨めに思えた。
未来は楽しげな2人の様子に嫉妬し、握り拳を震わせながら、ただじっと見つめていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
祐希とさくらは、スクリーンタープに戻った。
「あれ、2人とも随分遅かったね」
朱音が聞いた。
「湖畔で星を見てたんです。
こんな凄い星空、都会じゃ絶対見られないから」
祐希がみんなに教えた。
「え、そんなに凄いの」
その場にいたメンバー全員が、タープの外へ出て、夜空を見上げた。
「ホントだ~、これは凄いわ。
写真撮りたいけど、写るかなぁ」
明日奈がスマホを取り出し、夜空に向けてシャッターを切った。
「あ~、やっぱりデジカメでなきゃ無理かな」
みんなが夜空を見上げている所へ、未来が戻ってきた。
「あれ、未来ちゃんも遅かったね」
朱音が言った。
「未来、なんか顔色悪いよ、大丈夫?」
琴葉が心配した。
「大丈夫、タープの中、暑かったから、ちょっと涼んできたの」
未来は笑って誤魔化した。
時刻は夜10時を過ぎ、キャンプ場の夜は更けていった。
「私、そろそろ寝るからね。
明日もあるし、みんな、あまり夜更かししないでね。
あ、祐希くん、寝る時にタープの戸締まりよろしく~」
明日奈が言った。
「はい、了解です」
「私も眠たくなったから寝るね~、おやすみなさ~い」
朱音が同調した。
「あ~しも、もう寝る~」
瑞希は泥酔して足元もフラついていた。
「ヨッパライは、寝ろ~」
そういう里緒奈も頬を赤くして、かなり酔っている様子だ。
明日奈、瑞希、朱音、瀬奈の4人は、歯を磨いてから寝るとタープを出ていった。
残ったのは、怜奈、里緒奈、未来、さくら、琴葉、そして祐希の6人だ。
「私たちも11時までには、寝ようね」
怜奈が、年長者として年下メンバーに言った。
その時、唐突に里緒奈が言った。
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