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オタクの読書感想文

アン・ゴロン先生の『アンジェリク』 華やかな大河ロマン

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 『アンジェリク』は17世紀フランスが舞台の長編小説。

 主人公のアンジェリクはルイ14世の愛妾だったマリー・アンジェリク・ド・フォンタンジュがイメージとなっている。

 1957年から執筆された初版(旧シリーズ)と、2009年から作者自身により大幅に改稿された完全版(新シリーズ)の二つがある。

 完全版が出されたのはフランス語⇒英語の翻訳に意図しない文章があったことにゴロン氏自身が気付いたことによる。

 ざっくりあらすじ。

 サンセ男爵の令嬢アンジェリクは、緑色の瞳の美少女。

 しかし、男爵家はとても貧しく、アンジェリクは家を救うためにラングドックの大貴族ジョフレ・ド・ペイラック伯爵とイヤイヤ婚約することに……

 ジョフレは幼い頃に起きた戦争の怪我が原因で、片足が利かず、顔にも傷がある醜い男。

 アンジェリクはこの人に抱かれるくらいなら死にたいとまで思っていたが、ジョフレは無理やりのようなセックスは好まない大人の男で、彼女の気持ちを待つと言う。

 そんな日は来るものかと思っていたアンジェリクだったが、次第にジョフレと生活するうちに、彼は顔に傷があるにも関わらず、巧みな話術と知識と優雅な身のこなし、お洒落な雰囲気で、女性たちにモテモテであることに気づき、彼が別の女性から熱烈に愛を告白されている現場を目撃し、モヤモヤした気分になる。

 次第に彼女はジョフレを心から愛するようになり、二人は結ばれる。

 しかし、豪邸での優雅な暮らしも束の間で、ルイ14世とスペイン王女マリア・テレサ(マリー・テレーズ)の結婚式に招かれたことをきっかけに、二人は巨大な陰謀に巻き込まれ、ジョフレは無実の罪を着せられ火刑に処される。

 いろいろあって、アンジェリクは従兄弟で初恋の人、フィリップ・ミルモン・デュ・プレシ・ベリエールと結婚する。

 フィリップは国王ルイ14世のお気に入りの元帥で、美貌の剣士。

 ルイ14世は宮廷で見慣れた女性たちとは違うアンジェリクに惹かれ、彼女を手に入るためにプレシ侯爵(フィリップ)と結婚させる。

 フィリップは陰謀渦巻く宮廷で育ち、愛情不足から、女性に気の利いたことが言えないタイプ。

 ジョフレとは真逆で、暴力的なセックスを好む。

 しかし、次第に自分がアンジェリクを愛していることに気がつく。

 でも気が付いたときには王命に従い妻となった彼女を王に差し出さねばならないことに苦悩し、本当の愛を知ったときには戦場で死ぬ(ここ、超悲しい)

 その後、ジョフレは海賊として生きていることが分かる。

 ジョフレはアンジェリクを救い出し、新しい国に旅立つ。

 ものすごーく端折ってますが、私が読んだのは26巻ある最初のバージョンのやつです。

 これより長い小説で読んだことのあるのは栗本薫先生の『グイン・サーガ』くらいだ(私はイシュトヴァーン派←脱線)

 「そんなに長い小説、読む気しねーよ」という方は、木原敏江先生が漫画で面白いとこだけ抽出して描いてくれているものも出版されています。

 個人的には、愛を知らない美貌の剣士フィリップが推しキャラだったので、彼が死んじまった時点で私の心はストップしちまったのだが。

 ジョフレが海賊さんになり新天地を目指すとこも面白いんだが、個人的にはフランス宮廷での序盤の華やかな世界観が好みでした。
 
 とにもかくにも天真爛漫なアンジェリクとその周囲の男たちにキュンキュンする物語。

 ゴロン先生、美しい大河ロマンをありがとうございますm(__)m
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