黎明の守護騎士

月代 雪花菜

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狭間の村と風の渓谷へ

28.墜ちた者にしかわからない弱さと強さ

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 すまん、もう大丈夫だ……あとは、此方でやる。来てくれて、心から感謝する――と、心の中でルナティエラ嬢へ語りかける。
 すると、彼女は私の頬へ手を伸ばし、淡く微笑んだ。

『怪我の手当を……』

 その声で我に返り、力なく横たわるラルムの様子を見る。脈が弱くなっているが生きている。しかし、油断の出来ない状態だ。
 まずは腕に刺さったままのナイフを引き抜き、止血をする。
 布を裂いてキツく縛って止血をしているだけなので、早く医者に診せなければならないと顔を上げたところで、ルナティエラ嬢が此方をジッと見ていることに気づいた。
 その瞳がもの言いたげに見えて、「どうした」と声をかけると、彼女は少し躊躇ったあとに口を開く。

『今なら、出来るのでは……?』

 何を? と、聞くまでもなく彼女を取り巻く青銀の輝きが私の体に降り注ぐとともに、掌が熱くなる感覚に頷いた。
 誰に教えられたわけでもないのに傷口の上へ手をかざすと、流れ出てしまった血はそのままに、傷口だけが塞がっていく。
 神族ですら癒やす力は、人にも有効であるようだ。
 ただし、ルナティエラ嬢がいるときに限る――だがな。

「ルナティエラ嬢、貴女も……今日は妙に消耗しているように見える。あまり無理をするな」
『私は大丈夫です。呪いの影響で内臓を傷つけられているようですから、そちらを優先してください』
「……了解した」

 彼女の導きにより、どこが傷ついているのか理解し、癒やしの力を使っていくが、やはり慣れていないために加減が難しく、額にはびっしりと汗が浮かぶ。
 流れ落ちる汗と抜けていく力に形容しがたいだるさを覚える。そんな中、駆けつけてきたノエルがルナティエラ嬢の周りをぴょんぴょん跳ねていたかと思いきや、慌ててラルムの回復へ回ってくれた。
 額の宝石が太陽の輝きに染まり、それが角のように伸びる。
 角の先から光が粒となって降り注ぎ、傷をどんどん癒やしていった。

「私よりも上手だな……」
「えー? これはベオとルナの力だよー?」
『そうなのですか?』

 私とルナティエラ嬢が顔を見合わせて首を傾げていると、ノエルが走り込んできた通路からマテオさんとナルジェス卿とアーヤリシュカ第一王女殿下の姿が見えた。
 どうやら、ノエルの後を追ってきたようである。
 しかし、二人はルナティエラ嬢の姿を見たからか、驚きのあまりに固まっていた。

「もう少しだから、ベオもルナも力をもう少し注いでー」
『わかりました』
「わかったが……ルナティエラ嬢に無理をさせたくはないな……」
『何をおっしゃっているのですか。ベオルフ様もこんなに辛そうなのに……ヘタをすれば、力が枯渇して倒れてしまいますよ?』

 彼女の柔らかな声が耳に心地良く、それだけでも気分が良くなってくる気がするから不思議だ。
 私と彼女の力がラルムの命をつなぎ止め、ノエルの力が傷を癒やす方向へシフトした瞬間、それは思いのほかうまくいったようで、力の消費が抑えられ、傷の治りも劇的に変化した。

『……ふぅ……少し時間はかかりましたが、完治したようです。もう、大丈夫ですよ』
「そうか……本当にすまなかった。急に呼びだして……疲れただろう」
『いいえ、私の方は大丈夫です。それよりも、ベオルフ様のほうが疲れていますよね? ちゃんとご飯は食べましたか?』
「ああ、心配ない」
「ベオ、いっぱいパンを作って、食べるのは二の次になってたよー!」
『ベオルフ様?』
「あ、いや……その……まあ……成り行きだ」
『もう……困った方なのですから』

 そう言った彼女は、ふわりと浮いて、私の頭を抱きしめると頬をすり寄せる。
 怒っているわけではなく、「しょうがない人」と言っているようだと、口元に笑みを浮かべたが、彼女は気づいただろうか。
 不意に彼女の光が薄れていることに気づき、そろそろ時間なのだと理解して「またあとでな」と呟けば、彼女は頷いて極上の笑みを浮かべた。

『お話したいことが沢山ありますし、またあとで……オーディナル様のことで言いたいこともありますから!』
「あの方は……」

 どうやら何かやらかしたらしいと察し、何とも言えない表情をした私にくすくす笑う。それから、遠巻きに私たちを見ていたマテオさんたちへ優雅なカーテシーを見せ、まるで幻であったかのように光の粒子となって消えていく。
 心に鋭い痛みは感じたが、みんなの前だから出来るだけ平静を装った。
 本当になれないな……

「ラルム……大丈夫かなぁ。ルナにかけられていたのと同じ呪いでしょー?」

 どうやら呪いの匂いを感じ取ったらしいノエルが、鼻をふんふん鳴らしながら心配そうに顔を上げた。

「黒狼の主ハティにかけられた呪いのようだ……必死に抗った結果、死にかけたがな」
「この人は、可哀想な人って感じ。オーディナル様が一番気にかける人たちの部類だよねぇ」

 己を顧みず、家族の為に己を削れる人は、確かに主神オーディナルが気にかける人々の枠組みに入るだろう。
 しかし、彼はルナティエラ嬢を害そうとした者でもある。
 それを知った主神オーディナルがどう動くかは未知数だが、彼は彼で守りたい者がいた。
 ルナティエラ嬢を守りたいと願う私と同じだ。
 おそらく、私は彼と同じ立場であったら、自分の身を削って彼女を助けるだろう。
 私たち二人を比べて明暗を分けたのは……おそらく、恵まれた周囲の環境と己自身の身体能力である。
 人よりも頑強な肉体と槍の腕前、人格者の両親、裕福な貴族であったから、彼のように墜ちることは無かった。
 そして、最大の違いは、弱り切った心をつけ込まれる隙もなければ、ヤツの力そのものが通じないことだろう。
 もし、ヤツの呪いを無効化する力を持っていなかったら――その状態でルナティエラ嬢を守れなかったと知り、己の無力さに打ちひしがれていたとき、万が一にもヤツが来て囁けば、どうなっていたかわからない。
 それこそ、私がリュートがなると言われている『魔王』になっても不思議ではなかったのではないかと考えてしまう。
 幸運が重なり、ヤツにつけ込まれない色々が備わっていただけだ。

「先ほどの方は、ルナティエラ様……ですよね?」
「ああ。ラルムの呪いを払うために来て貰った。呼びかけに応えてくれたのはタイミングが良かっただけだが……それがなければ、死なせていたかもしれない」
「ね、ねぇ……大丈夫? 何か……顔色が悪いわよ?」

 私の顔色を見てアーヤリシュカ第一王女殿下が心配して声をかけてくれるのだが、これくらい問題は無いと首を振る。

「少し力を使いすぎただけだ……ノエル、すまないがリンゴを一つ貰って良いか」
「いいよー!」

 マテオさんが持ってきてくれた荷物から、洗浄石を取り出して辺り一帯を綺麗にしてから、リンゴを取り出してかぶりつく。
 庭園に実っていたリンゴだから、少しは回復するだろう。
 リュートではないが、緊急事態に備えてパンか何かを常備しておく方が良さそうだ。

「……な、なんだか……ベオルフといると、不思議なことばかり起こって、それに慣れていく恐ろしさがあるな」

 ナルジェス卿の言葉に、マテオさんや護衛の二人が大きく頷く。
 まあ……これは仕方が無いと諦めて欲しい部分でもある。

「黒狼の主ハティと戦えば、それが顕著にあらわれますから……」
「そうだ! さっきの綺麗な月の女神様みたいな女性が噂のルナティエラ嬢だったの?」

 ナルジェス卿との会話に割って入ってきたアーヤリシュカ第一王女殿下は、興奮気味に尋ねてくるのだが、隠すつもりもないので素直に頷いた。

「何よ、すっごい美人じゃない! どこが醜いのよ……嘘でしょ。第二王子の目は腐ってるの?」
「まあ……グレンドルグ王国は細い女性が好まれるようですから……」

 護衛の一人がそう言うと、彼女はわからないと言わんばかりに首を振る。

「彼女も細いわよ! というか……もう、本当に月の女神様が降臨したのかと思っちゃった……絵に描いたような清楚美人でクラクラしちゃう。しかも、ベオルフのこと、すごーく大切にしている感じじゃない! この色男!」
「いや、私と彼女はそういう関係では……」

 そう言ったのだが、彼女の耳には聞こえていないのか、なんだか一人で盛り上がっている。
 先ほどのルナティエラ嬢は、確かに月の女神とも言えるような神々しさがあった。
 流れるような天色の髪と、柔らかくて艶のある白い肌、まだまだ細すぎるが、それでも以前の病的な白さではなく、少しは血色が戻ってきたように思う。
 しかし、彼女はあんな薄くて白い布地を何枚も重ねたような服装をしていただろうか。
 学生の制服は、もっとスカートの丈が短くて、ケープを羽織っていたようだったが……
 あれでは、まるで女神そのものである。
 普段着用している服装は、此方の世界では刺激的すぎるので、あの双子か主神オーディナルが、世界の違いを考慮して手を加えたのかも知れないな。

「ベオルフ。ラルムはどうする?」
「……そうですね。彼には道案内を頼んでおりますので、継続してお願いしましょう。そして、今後は一切の寄り道をせずに、ピスタ村へ直行した方が良さそうです」
「大丈夫なのか?」
「呪いは解除しました。彼は、もう私たちに牙をむくことはありません。それに、ピスタ村にいる弟を助けたいという気持ちに、嘘偽りはありません。信じていいと思います」
「……ベオルフがそういうのなら、信じよう」

 ただし、おかしな動きをすれば斬り捨てるぞ……と、言ったナルジェス卿の目には、一切の情が込められていなかった。
 裏切りを許さない。寝首を掻かれないようにしてきた彼のことだから、私の考えは甘いと感じているのだろう。
 だが、ラルムはもう、そんなことをしない。
 ノエルが耳と尻尾を下げてラルムのところへいるのは、その気持ちを敏感に察しているからだろう。
 誰かを救いたいという強い想いに神獣は敏感だと、主神オーディナルから聞いたことがある。
 おそらく、この場にあの双子がいたら、即座に動いていたはずだ。
 ある意味、いなくて良かったのかも知れない。居たら、絶対に面倒なことになっていたのは間違いないし、真白は暴走する気がする。
 アレを止めるのは面倒なので、出来るだけ大人しくしておいてほしいものだ。

 血まみれだったラルムは、洗浄石のおかげで綺麗になっているが、破れた衣類はどうしようもないし、流れた血も戻しようがない。
 ノエルから貰ったリンゴを搾って与えてやろうと考えて立ち上がる。
 それに気づいたノエルがぴょんっと私の肩に乗り「大丈夫かなぁ」と心配そうにしている姿が痛々しくて、ソッと頭を撫でてやった。

「呪いは解けた。あとは、ノエルのリンゴで元気づけてやろう。心のケアは……わからんがな」
「ベオは……怒っていたでしょ? この人に……」
「そうだな。ルナティエラ嬢に害を及ぼす者は許せないが……ラルムの過去を意図せず見てしまった……人は弱い。だが、この男は、弟を守るために己の命を省みず突き進める信念と優しさを持つ。あとは、彼次第だ」
「怒ってない?」
「いつか、ルナティエラ嬢へ謝罪はしてもらう。どうしてそうなったのか、詳しい事情も聞く。その上で判断しよう」
「……そっか。でも、弟を助けたい気持ちは本物だよ?」
「それはわかっているから、大丈夫だ」
「うん!」

 ノエルにしてみたら、色々複雑なのだろう。私もそうだから仕方が無い。
 だが、許す許さないは私ではなく、ルナティエラ嬢が決めることだ。
 私の内にある怒りは、彼の今後を見て決めていく。
 人が道を間違えるのは「当たり前」とは言わないが、弱みにつけ込まれた弱い心が、今後はどう動いていくのか見届けよう。
 呪いに抗い、ルナティエラ嬢を目にしてむせび泣く彼の心が、これからは良い方向へ向かうことを信じるくらい、彼の弟を想う心に免じて『今回限り』あってもよい事のように思えた。

「人は弱いな……だが、だからこそ強くなれる。間違っても、そこから引き返せるのだから……」
「墜ちるところまで墜ちたら、あとは這い上がるだけですから……その道のりが一番過酷で辛くはありますが、それが出来なければ彼は本当の意味で腐ってしまいます」

 マテオさんの重みのある言葉を聞き、私は同意の意味を込めて頷く。
 墜ちることは容易く、這い上がることが難しいのだ。
 そこで、真の自分と向き合うことになるだろう。

「貧しさは容易く人を歪め、堕としてしまいますが……それでも強く生きる者もいます。ですが、私は思うのです。墜ちたからこそ見えてくるものがあるのだと――」

 彼は、どれほど様々な人を見てきたのだろう。私の知らない世界を渡ってきたのだろう。
 墜ちたからこそ見えるもの……這い上がってくる強さを持つ者だけが持つ、誰にもない強さ……

「ベオルフ様は、その点に疎い方ですから。彼が手を貸してくれたら、色々と助かりますね」
「そうかもしれません」
「おそらく、この出会いも……無駄ではないはずです。私とベオルフ様の出会いが無駄ではなかったように……」

 私が抱えるラルムから視線をあげて朗らかに笑うマテオさんを見ていると、確かにそうだと思える。
 人と人の縁は、計り知れないものだ――と呟き目を閉じた。
 それを恐れたからこそ、人との繋がりを持たないように遮断されていたルナティエラ嬢の苦しみは、どれほどのものであっただろうか。
 今はとても楽しそうにやっていることが、せめてもの救いであった。

「まずは、ラルムの回復を待って事情を聞くことにしましょう。それから、ピスタ村へ向かいます。ナルジェス卿とアーヤリシュカ第一王女殿下が得た情報は、手配した宿屋へ戻りながら話を聞きます」
「……それって、あまり期待していないってことー?」
「なんかあったのー?」
「ノエルちゃん……それが聞いてよ……本当にさぁ、うっとーしーの! 自慢と援助というお金の無心がねーっ!」

 元気の良いアーヤリシュカ第一王女殿下の話し声と、彼女の肩へすとんっと着地して話を「うんうん、それでそれで?」と聞いているノエル。
 そして、そのノエルの視線がチラリと自分たちへ向くことでビクッと体を震わせた護衛の二人を順々に見やり、軽く溜め息をつく。
 新たな遊びを覚えたノエルは、とても楽しそうだが、あの二人が先に胃を痛めそうだ。

 完全に気を失っているラルムを背負い、宿屋の方へ歩き出す。
 マテオさんが荷物を持って着いてきてくれるのが、とてもありがたい。
 ナルジェス卿は、大きな声で文句を言っているアーヤリシュカ第一王女殿下を軽くたしなめているが、同じ事を考えているのか強くは言わないので、随分と面倒な話し合いだったようだ。
 呪いが解けたことにより、黒狼の主ハティには色々と悟られたかもしれないが、黒狼の姿を失ったヤツは、次にどの使い魔をけしかけてくるのだろうか。

 まあ……次が来ても、また封印すれば良い話だがな――

 そんなことを考えながら、天空に浮かぶ青銀色の月を見上げる。
 浄化の力が必要なときは、月を意識した方が良いだろうと考え、心にとどめておくことにした。

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