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番外編①-3
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あれこれと城山椿の相談に乗って準備をしているうちに、立花樹の誕生日当日を迎えた。
今日は完全なる無礼講。学校が終わった後、城山椿の無駄に広い実家……豪邸と呼べるソレにて親しい身内のみで祝うということで、誕生日パーティーに参加するのは、私と城山椿、そして私の兄である蓮音兄様のみという顔ぶれになった。
蓮音兄様はともかく、何故私が入っているのかは謎だが、ある程度祝ったらさっさと抜け出すつもりなので問題ないだろう。
因みに城山椿曰く、立花樹は外面が良い割に『真の友人』と呼べる者が少ないらしい。城山椿はまるで勝ち誇るように自分は幼馴染にして親友なんだと言っていた。やはり城山椿と立花樹はなんだかんだ仲が良いのだろう。
まあ、正直なところ友人が多ければ多いほど良いというわけではないのも事実。今回は知り合いしかいないということもあり、気を張らずいられることに一安心しながら、部屋を飾り付けて食事も用意した。
準備万端!となったところで、丁度立花樹が到着し、部屋に入って来た。
「誕生日おめでとうー!!」
パンパンパンッと3か所でクラッカーが鳴る。
立花樹は、城山椿がいることは当然ながら予期していたようだが、私と蓮音兄様がいたことは全く予想していなかったのだろう。私と蓮音兄様を見て、目を見開いていた。そして数拍遅れて、微笑を浮かべた。ありがとうございます、と――。
誕生日を祝ってプレゼントを渡し、城山椿が用意していた立花樹の顔がでかでかとプリントされた超巨大ケーキを食べた。人一人が座れる……まるで座布団のような大きさの平たいケーキ。最初は城山椿を止めたのだが、実際食べてみると、止める必要はなかったのだと思い直させられた。
なにせそのケーキの大半は、立花樹の腹にいとも簡単に収まったのだ。しかも食べた本人は涼しそうな顔をしているというおまけつき。甘いものならどれだけでも食べられるという設定は知っていたが、ここまで食べるとは。とんでもない男だと改めて思った。
しかも甘いもの好きで細い体型のままだとは、全国の女性を敵に回す男だろう。私も少しキレかけた。
ちなみにプレゼントに関しては、城山椿が『世界のプロテイン』という本と各地から取り寄せたのだというプロテインを、蓮音兄様がお勧めの競泳用水着を渡していた。正直、兄様が渡したものの正体を知った時には割と引いた。水着はちょっとキモい……。城山椿のマシになったとはいえ、世界のプロテインなんて意味の分からない筋肉バカが好きそうなプレゼントが非常にまともに見えてくる。
そして、そんな二人に対して失礼な感想を抱いた私は、最近読んだ中で最もお勧めのミステリー小説をプレゼントした。専門書以外は読んでいるところを見た事がないので、きっと未読だろう。
そうして割と盛り上がった――主に城山椿が五月蠅かったのだが――誕生日会は珍しい立花樹の笑顔と共に終了した。
***
「麗華さん!少し、お話が」
やはり仲が良いのか、今日はこのままここに泊まっていくという立花樹を置いて、蓮音兄様と一緒に帰ろうとしたタイミングで立花樹に呼び止められる。
意図が読めなかったので少し驚きはしたが、その柔らかい表情からして別に悪いことを言われるわけではないだろう。それに城山椿や蓮音兄様が見ている前で、わざわざ冷たい態度を取る理由もない。だからこそ私は素直に呼び止められた。
「麗華さん。貴女がここ暫く椿と一緒に出掛けていたのは、この誕生日会のためだったのですか?」
「はい。椿が毎回授業終わりに待ち構えていたので」
「…………そう、だったのですね。僕はなんて勘違いを――」
城山家の3階。パーティー会場に備え付けられている広いバルコニーの端にて、立花樹と庭園を見下ろしながら話す。
勘違い。その言葉で私は閃く。きっと立花樹は、仕方がなく婚約してやった立場である私と、城山椿が仲良くなるのが好ましくなかっただろう。
今の彼の唯一無二の親友とも言える城山椿。彼を取られるのではないかと思ったのだと、一瞬にしてそこまで理解できた。私にできる事、それは――。
「そうです!椿……さんとは、立花さんの誕生日を祝うためだけに一緒にいただけなので!!」
そう。全力で、貴方のために城山椿とつるんでいただけですよアピールをすること。
ここで変にヘイトを買って、後々原作麗華のように恨まれるのはまっぴらごめんだ。だからこそ、全力で、そこまで城山椿と仲良くないよ~アピールをしておいた。
「大丈夫ですよ、分かっていますから。でも……有難うございます。きっと椿のいつものいらな――いえ、とんでもないプレゼント攻撃を止めてくれたのは、麗華さんなんですよね」
「とんでもないプレゼント……確かに。なんか呪われそうなカメオとか、生の大根が生えている下着とか、動物の顔がついたやつも買おうとしていましたね」
「やっぱりですか。椿はいつもとんでもないプレゼントばかりを買ってくるんです。一昨年のホラースポット巡りなんて――」
立花椿は、なんだかんだ言いながらも、楽しそうに話す。彼にとって、城山椿という存在は本当に特別なものなのだろう。それが伝わってくる。
なんとなく、なんとなくだが、この二人の関係性を麗華の勝手な行動で壊したくないなと、彼らには幸せになって欲しいなと、そう思った。
******
立花樹視点の話がX(旧Twitter)に上がっています。
今日は完全なる無礼講。学校が終わった後、城山椿の無駄に広い実家……豪邸と呼べるソレにて親しい身内のみで祝うということで、誕生日パーティーに参加するのは、私と城山椿、そして私の兄である蓮音兄様のみという顔ぶれになった。
蓮音兄様はともかく、何故私が入っているのかは謎だが、ある程度祝ったらさっさと抜け出すつもりなので問題ないだろう。
因みに城山椿曰く、立花樹は外面が良い割に『真の友人』と呼べる者が少ないらしい。城山椿はまるで勝ち誇るように自分は幼馴染にして親友なんだと言っていた。やはり城山椿と立花樹はなんだかんだ仲が良いのだろう。
まあ、正直なところ友人が多ければ多いほど良いというわけではないのも事実。今回は知り合いしかいないということもあり、気を張らずいられることに一安心しながら、部屋を飾り付けて食事も用意した。
準備万端!となったところで、丁度立花樹が到着し、部屋に入って来た。
「誕生日おめでとうー!!」
パンパンパンッと3か所でクラッカーが鳴る。
立花樹は、城山椿がいることは当然ながら予期していたようだが、私と蓮音兄様がいたことは全く予想していなかったのだろう。私と蓮音兄様を見て、目を見開いていた。そして数拍遅れて、微笑を浮かべた。ありがとうございます、と――。
誕生日を祝ってプレゼントを渡し、城山椿が用意していた立花樹の顔がでかでかとプリントされた超巨大ケーキを食べた。人一人が座れる……まるで座布団のような大きさの平たいケーキ。最初は城山椿を止めたのだが、実際食べてみると、止める必要はなかったのだと思い直させられた。
なにせそのケーキの大半は、立花樹の腹にいとも簡単に収まったのだ。しかも食べた本人は涼しそうな顔をしているというおまけつき。甘いものならどれだけでも食べられるという設定は知っていたが、ここまで食べるとは。とんでもない男だと改めて思った。
しかも甘いもの好きで細い体型のままだとは、全国の女性を敵に回す男だろう。私も少しキレかけた。
ちなみにプレゼントに関しては、城山椿が『世界のプロテイン』という本と各地から取り寄せたのだというプロテインを、蓮音兄様がお勧めの競泳用水着を渡していた。正直、兄様が渡したものの正体を知った時には割と引いた。水着はちょっとキモい……。城山椿のマシになったとはいえ、世界のプロテインなんて意味の分からない筋肉バカが好きそうなプレゼントが非常にまともに見えてくる。
そして、そんな二人に対して失礼な感想を抱いた私は、最近読んだ中で最もお勧めのミステリー小説をプレゼントした。専門書以外は読んでいるところを見た事がないので、きっと未読だろう。
そうして割と盛り上がった――主に城山椿が五月蠅かったのだが――誕生日会は珍しい立花樹の笑顔と共に終了した。
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「麗華さん!少し、お話が」
やはり仲が良いのか、今日はこのままここに泊まっていくという立花樹を置いて、蓮音兄様と一緒に帰ろうとしたタイミングで立花樹に呼び止められる。
意図が読めなかったので少し驚きはしたが、その柔らかい表情からして別に悪いことを言われるわけではないだろう。それに城山椿や蓮音兄様が見ている前で、わざわざ冷たい態度を取る理由もない。だからこそ私は素直に呼び止められた。
「麗華さん。貴女がここ暫く椿と一緒に出掛けていたのは、この誕生日会のためだったのですか?」
「はい。椿が毎回授業終わりに待ち構えていたので」
「…………そう、だったのですね。僕はなんて勘違いを――」
城山家の3階。パーティー会場に備え付けられている広いバルコニーの端にて、立花樹と庭園を見下ろしながら話す。
勘違い。その言葉で私は閃く。きっと立花樹は、仕方がなく婚約してやった立場である私と、城山椿が仲良くなるのが好ましくなかっただろう。
今の彼の唯一無二の親友とも言える城山椿。彼を取られるのではないかと思ったのだと、一瞬にしてそこまで理解できた。私にできる事、それは――。
「そうです!椿……さんとは、立花さんの誕生日を祝うためだけに一緒にいただけなので!!」
そう。全力で、貴方のために城山椿とつるんでいただけですよアピールをすること。
ここで変にヘイトを買って、後々原作麗華のように恨まれるのはまっぴらごめんだ。だからこそ、全力で、そこまで城山椿と仲良くないよ~アピールをしておいた。
「大丈夫ですよ、分かっていますから。でも……有難うございます。きっと椿のいつものいらな――いえ、とんでもないプレゼント攻撃を止めてくれたのは、麗華さんなんですよね」
「とんでもないプレゼント……確かに。なんか呪われそうなカメオとか、生の大根が生えている下着とか、動物の顔がついたやつも買おうとしていましたね」
「やっぱりですか。椿はいつもとんでもないプレゼントばかりを買ってくるんです。一昨年のホラースポット巡りなんて――」
立花椿は、なんだかんだ言いながらも、楽しそうに話す。彼にとって、城山椿という存在は本当に特別なものなのだろう。それが伝わってくる。
なんとなく、なんとなくだが、この二人の関係性を麗華の勝手な行動で壊したくないなと、彼らには幸せになって欲しいなと、そう思った。
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