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20(ユリウス視点7)
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私事ですが、リアルが落ち着いてきたので順次作品の更新を再開していきます。更新待っていた方などがいらしたら申し訳ないです。今後は書け次第アップロードしていこうと思っているので、短い話が混ざってしまう可能性が高いです。
***************
あの後――ディラン達と会った城門前からは、どうやって帰って来たか分からない。
けれどいつの間にか自身の執務室にいて、日が落ち切った暗闇の中でフェリシアに渡す筈だった指輪を見つめていた。
その指輪は闇の中、一条の月の光を浴びながらフェリシアの美しいストロベリーブロンドの髪の毛に近いピンク色に変化する。昼の太陽の光の中では彼女の瞳の色、夜の月の光が当たれば桃色に変化するこの指輪。
散々拘りに拘って作ったというのに今はこの変化する色を見つめるだけで、心が痛む。
この指輪と同じ様に、俺の心も彼女への感情も無駄なものだったのかと思うと心がきしむように痛む。けれど打ち捨てることもできなくて……。
そんなことを思考していると、部屋にノックの音が響いた。
来客の予定はなかった筈だと思い、警戒しながらもドアノブを回す。するとそこにいたのは――――。
「イリス……それにロジー」
魔王討伐パーティメンバーの内の二人が満面の笑みで扉の前に立っていた。
「あんなに協力してやった私達に報告に来ないだなんて、水臭い人ですね。だから此方から来ちゃいましたが」
「そうですよ。フェリシアさんに近づく僕をディランと一緒に大人げなくもあんなに牽制しておいて――」
「貴方は近付きすぎなのよ。子供のくせに姉様に近づこうだなんて、生意気ですわ」
「僕は子供じゃないです!……顔がちょっと童顔なだけだ!!」
この二人は相変わらずだ。俺が失恋して失意のどん底にいたとしても、変わらず喧嘩をしている。しかしここまで言い争ってようやく俺からのいつもの仲裁が入らないことに気づいたらしく、やっとこちらを見ると二人は絶句した。
***
「……それで?あんなにも後押ししてあげたのに、姉様に気持ちを伝えられずおめおめと逃げ帰ってきた……とかではないですよね?」
部屋に入って早々に真っ暗だと文句を言い、明かりをつけさせずかずかと俺の部屋に押し入り、お茶を淹れさせながらも自分たちはソファでくつろぐ。俺は相変わらずの図々しさを隠そうともしないこの年下二人に問い詰められていた。
「僕も涙を呑んで貴方を応援してあげたというのにまさか……ねぇ?」
二人の視線が痛い。確かに俺はフェリシアに気持ちを伝えずに逃げ帰ってきた。けれど俺は彼らの関係があんなことになっているとは予想していなかったのだ。
「……フェリシアとディランが、両想いになっていたんだ」
「「は……?」」
珍しく二人が口をあんぐりと空けて、間抜けた面を晒す。
それを視界の端にいれながら、俺は事情を話した。
「……それ本当にフェリシアさんだったんですか?ディランがいつも通り女を連れ込んでいただけでは?あの万年発情期が」
「それ以前にディランが告白しただなんて確証があるのですか?あの万年ヘタレ男……あの人、貴方の数十倍ヘタレていますよ?」
ディランが酷い言われ様だが、今はそんなことはどうでもいい。
「俺がフェリシアを見間違えるわけがないだろう……告白したかどうかの確証はないが、なんだか親密そうな感じになっていたんだ」
「それは貴方の主観でしょう!?はあ――」
イリスは呆れたとでも言いたげに長い髪をかき上げ、大きな溜息を吐く。そうして一息吐いた後に言った。
「今はディランの事はとにかく。私の目から見ても、姉様は貴方の事がそういう意味で好きだと認識しています」
「そうですね。だから僕も諦めましたし」
珍しくイリスは俺を勇気づけるようなことを言ってくるが、ロジーはいつまでも”諦めた ”の部分を強調してくる。相変わらずムカつく子供だ。
「俺も彼女から俺に対する感情は悪いものではなかった……むしろいいものだと思っていた。だが――」
見てしまったんだ。あの親密そうな二人の姿を――。それが俺のなけなしの自信を蝕む。
「仮に姉様がディランと結ばれようとしているとして、貴方の想いはそれくらいで諦めるほどに弱いものだったのですか?」
「ユリウスさん、貴方には失望しました。貴方がフェリシアさんを諦めるというなら、ディランから僕が彼女を奪い去ってきますが?」
二人が俺の感情を否定するように言葉を重ねる。確かにもう、彼女の感情に対する自信はない。しかし――
「そんなわけないだろう!俺は彼女を何を賭してでも欲しいと思っているし、ロジーにもディランにも譲ったりなんかしない!!」
間髪を容れずにそう叫んでいた。確かにディランとピッタリとくっついて親密そうなフェリシアを見て傷ついたし、宝物が手からすり抜けていくような恐怖も感じた。でも、もうこの気持ちは引き返せない所まで来ているんだ。例えディランとフェリシアが両想いになっていたとしても、このまま引き返せない……否、引き返したくなどない。
「俺はフェリシアを諦めない」
そこまで言って、自分の言葉が心の奥底に馴染むように落ちた。
「そうですよ、それでいいんです」
「最初からそう言ってください。年上の癖に年下に迷惑かけないでください」
揶揄うように言いながら、二人は紅茶を軽く口に含む。よく見ると二人の額には汗が滲んでいた。彼らは俺の気持ちを全て分かって、敢えて煽っていたのかもしれない。
口から笑みが零れる。俺も素直じゃないと思うが、この二人も大概素直じゃない。
「ま。当たって砕けろってやつじゃないですか?」
「そうですよ。砕けて帰ってきても、貴方は諦めないのでしょう?それくらいじゃなければ私は貴方の応援なんてしませんし」
「ああ、俺は諦めないよ。今度こそ自分の気持ちをフェリシアに伝える」
そう新たに決意を固めて、明日への計画を頭の中で練り始めた。
*************
簡易的な設定:
ロジー=フルーレ(18)
・本人も気にしているが、童顔。(同い年と並ぶと分かりやすい)
・名前からも分かるが、ダリアの子供。
・密偵兼薬師。(戦闘時は銃を使用)
・母親に似たのか、ダリアには体型も顔もあまり似ていない。
・白銀の髪に白銀の瞳。真っ白。雪と同化する。見た目は童顔のせいか可愛い系。
・腹黒弟系キャラ。
・実は隠しキャラ√だったりする。
ここでユリウス視点は一旦終了です(ダレたくないので)。次回からはフェリシア視点に戻ります。
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あの後――ディラン達と会った城門前からは、どうやって帰って来たか分からない。
けれどいつの間にか自身の執務室にいて、日が落ち切った暗闇の中でフェリシアに渡す筈だった指輪を見つめていた。
その指輪は闇の中、一条の月の光を浴びながらフェリシアの美しいストロベリーブロンドの髪の毛に近いピンク色に変化する。昼の太陽の光の中では彼女の瞳の色、夜の月の光が当たれば桃色に変化するこの指輪。
散々拘りに拘って作ったというのに今はこの変化する色を見つめるだけで、心が痛む。
この指輪と同じ様に、俺の心も彼女への感情も無駄なものだったのかと思うと心がきしむように痛む。けれど打ち捨てることもできなくて……。
そんなことを思考していると、部屋にノックの音が響いた。
来客の予定はなかった筈だと思い、警戒しながらもドアノブを回す。するとそこにいたのは――――。
「イリス……それにロジー」
魔王討伐パーティメンバーの内の二人が満面の笑みで扉の前に立っていた。
「あんなに協力してやった私達に報告に来ないだなんて、水臭い人ですね。だから此方から来ちゃいましたが」
「そうですよ。フェリシアさんに近づく僕をディランと一緒に大人げなくもあんなに牽制しておいて――」
「貴方は近付きすぎなのよ。子供のくせに姉様に近づこうだなんて、生意気ですわ」
「僕は子供じゃないです!……顔がちょっと童顔なだけだ!!」
この二人は相変わらずだ。俺が失恋して失意のどん底にいたとしても、変わらず喧嘩をしている。しかしここまで言い争ってようやく俺からのいつもの仲裁が入らないことに気づいたらしく、やっとこちらを見ると二人は絶句した。
***
「……それで?あんなにも後押ししてあげたのに、姉様に気持ちを伝えられずおめおめと逃げ帰ってきた……とかではないですよね?」
部屋に入って早々に真っ暗だと文句を言い、明かりをつけさせずかずかと俺の部屋に押し入り、お茶を淹れさせながらも自分たちはソファでくつろぐ。俺は相変わらずの図々しさを隠そうともしないこの年下二人に問い詰められていた。
「僕も涙を呑んで貴方を応援してあげたというのにまさか……ねぇ?」
二人の視線が痛い。確かに俺はフェリシアに気持ちを伝えずに逃げ帰ってきた。けれど俺は彼らの関係があんなことになっているとは予想していなかったのだ。
「……フェリシアとディランが、両想いになっていたんだ」
「「は……?」」
珍しく二人が口をあんぐりと空けて、間抜けた面を晒す。
それを視界の端にいれながら、俺は事情を話した。
「……それ本当にフェリシアさんだったんですか?ディランがいつも通り女を連れ込んでいただけでは?あの万年発情期が」
「それ以前にディランが告白しただなんて確証があるのですか?あの万年ヘタレ男……あの人、貴方の数十倍ヘタレていますよ?」
ディランが酷い言われ様だが、今はそんなことはどうでもいい。
「俺がフェリシアを見間違えるわけがないだろう……告白したかどうかの確証はないが、なんだか親密そうな感じになっていたんだ」
「それは貴方の主観でしょう!?はあ――」
イリスは呆れたとでも言いたげに長い髪をかき上げ、大きな溜息を吐く。そうして一息吐いた後に言った。
「今はディランの事はとにかく。私の目から見ても、姉様は貴方の事がそういう意味で好きだと認識しています」
「そうですね。だから僕も諦めましたし」
珍しくイリスは俺を勇気づけるようなことを言ってくるが、ロジーはいつまでも”諦めた ”の部分を強調してくる。相変わらずムカつく子供だ。
「俺も彼女から俺に対する感情は悪いものではなかった……むしろいいものだと思っていた。だが――」
見てしまったんだ。あの親密そうな二人の姿を――。それが俺のなけなしの自信を蝕む。
「仮に姉様がディランと結ばれようとしているとして、貴方の想いはそれくらいで諦めるほどに弱いものだったのですか?」
「ユリウスさん、貴方には失望しました。貴方がフェリシアさんを諦めるというなら、ディランから僕が彼女を奪い去ってきますが?」
二人が俺の感情を否定するように言葉を重ねる。確かにもう、彼女の感情に対する自信はない。しかし――
「そんなわけないだろう!俺は彼女を何を賭してでも欲しいと思っているし、ロジーにもディランにも譲ったりなんかしない!!」
間髪を容れずにそう叫んでいた。確かにディランとピッタリとくっついて親密そうなフェリシアを見て傷ついたし、宝物が手からすり抜けていくような恐怖も感じた。でも、もうこの気持ちは引き返せない所まで来ているんだ。例えディランとフェリシアが両想いになっていたとしても、このまま引き返せない……否、引き返したくなどない。
「俺はフェリシアを諦めない」
そこまで言って、自分の言葉が心の奥底に馴染むように落ちた。
「そうですよ、それでいいんです」
「最初からそう言ってください。年上の癖に年下に迷惑かけないでください」
揶揄うように言いながら、二人は紅茶を軽く口に含む。よく見ると二人の額には汗が滲んでいた。彼らは俺の気持ちを全て分かって、敢えて煽っていたのかもしれない。
口から笑みが零れる。俺も素直じゃないと思うが、この二人も大概素直じゃない。
「ま。当たって砕けろってやつじゃないですか?」
「そうですよ。砕けて帰ってきても、貴方は諦めないのでしょう?それくらいじゃなければ私は貴方の応援なんてしませんし」
「ああ、俺は諦めないよ。今度こそ自分の気持ちをフェリシアに伝える」
そう新たに決意を固めて、明日への計画を頭の中で練り始めた。
*************
簡易的な設定:
ロジー=フルーレ(18)
・本人も気にしているが、童顔。(同い年と並ぶと分かりやすい)
・名前からも分かるが、ダリアの子供。
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・母親に似たのか、ダリアには体型も顔もあまり似ていない。
・白銀の髪に白銀の瞳。真っ白。雪と同化する。見た目は童顔のせいか可愛い系。
・腹黒弟系キャラ。
・実は隠しキャラ√だったりする。
ここでユリウス視点は一旦終了です(ダレたくないので)。次回からはフェリシア視点に戻ります。
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