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今日?昨日?とにかくオールしてエピローグまで書き上げました。今日中に全部投稿されるように設定しておきます。
***
「フェル……」
「っえ、ディラン?」
アメリアからの治療を受け、調理場から出たところで予想外の人物に声を掛けられた。ここ数日は彼も忙しかったのか顔を合わせることが殆どなかったため、久しぶりだなと思いながらも平静を保つ。
何となく先程までウジウジしていたことは知られたくなかった。なにせディランの事だ、絶対に揶揄ってくるに決まっている。
彼に今会うのは感情的には少し体裁が悪い。だがそれと同時に丁度良い機会だとも思った。
「……何かあったのか」
「うん。まあ、ちょっとね。私、決めたことがあるんだ」
流石は幼馴染というべきか。出来るだけ表情には出さないようにしていたというのに、目ざとくフェリシアの複雑な感情の一端を読み取ったらしい。
実際、今のところここまで彼女を理解できる存在はディラン以外にはいないだろう。だから自分の決意、ひいては感情を宣言するには丁度良かった
「貸して」
「は?」
フェリシアは此方を呆然と見ていたディランの腰に下がっていた剣を流れるように引き抜くと、その刃で自分の肩から下の髪の毛をバッサリ切り落とした。
手で掴み切れなかった髪の幾筋かが風に攫われる。フェリシアは長い髪の毛と一緒に抱えていた余計な重みを断ち切った。今までにない程に体が軽くなったような感覚と踊り出したくなるほどに楽になった気分と思考。
「ッフェル、お前――」
「あー。スッキリした」
最近ディランの間抜けた顔を見ることが多いなと思いながら、動揺した彼の顔を見つめ、宣言した。
「私、ここに来てやっと決意を固められた。一度王都に戻ってユリウスと話してくる。それで自分の気持ちにもちゃんと片を付けてくるわ……逃げ続けるのはもう、やめる」
そう。この村の人達と負い目なく向き合うためにもフェリシアはユリウスと一度話すことを決意したのだ。正直彼女はまだ何を話すか……話せばよいのかは分からないし決めていない。けれどまずは行動してみないと何事も前には進めないのだ。
まだ二人が結婚したという話は耳に入ってはいないが、未だなら未だで都合がよかった。きちんと自身の感情に向き合って、出来ることならきちんと祝福してあげたい。なにせ二人はフェリシアにとって何物にも代え難い大切な人たちなのだから。今ならあの時出来なかった思考が出来る。この村に来て色々な人に出会って、ささくれ立っていた気持ちを少しずつ昇華して、彼女の内面は成長していた。
「――はあ、やっとかよ」
ディランから吐き出されたのは静止でも馬鹿にした感情でもなく、安堵したような表情と少し呆れた様な口調の言葉だった。でもフェリシアは安堵したような表情の方は敢えて気づかないふりをした。一応口調で隠そうとしているようだし、何よりディランも突っ込まれたら逆に頑なになって認めてくれなかろう、と。自分たちはいつも通りが良いのだ。いつも通りの軽口を叩きあう幼馴染の関係が――。
「いや、何その呆れた様な口調。まあ、確かに今回は貴方にも散々迷惑かけた自覚はあるし。なにより、その……王都から連れ出してここに置いてくれたこととか、感謝している。ここに来ずに別の場所に逃げてたりしたら、私一生後悔してたと思うし」
「うわっ、妙に素直で気持ち悪ぃ」
「っ~~!ディラン、アンタねー折角人がらしくもない感謝の言葉を――」
「でも!俺もお前に後悔だけはして欲しくなかったからな。良かったよ。お前が元気を取り戻して決意を固められて。フェル、なんだその……俺はいつでもお前の事を応援してるからな」
頭にポンと手を置かれ、軽く撫でられる。昔よりも固く、大きくなった手のひらが妙に心地良かった。
「っていうか、お前髪の毛雑に切り過ぎ!相変わらず変なところでズボラだな。俺が切り揃えてやるから一旦屋敷に戻るぞ」
「はーい。仕方ないな~。ディラン、私よりもっと不器用そうだけど切り揃えさせてあげるよ」
「生意気。ま、俺刃物の扱いはそれなりに自信があるし、任せとけって」
こうしてフェリシアはディランの応援を受けながら、王都へ出立する準備を整えた。
***
「フェル……」
「っえ、ディラン?」
アメリアからの治療を受け、調理場から出たところで予想外の人物に声を掛けられた。ここ数日は彼も忙しかったのか顔を合わせることが殆どなかったため、久しぶりだなと思いながらも平静を保つ。
何となく先程までウジウジしていたことは知られたくなかった。なにせディランの事だ、絶対に揶揄ってくるに決まっている。
彼に今会うのは感情的には少し体裁が悪い。だがそれと同時に丁度良い機会だとも思った。
「……何かあったのか」
「うん。まあ、ちょっとね。私、決めたことがあるんだ」
流石は幼馴染というべきか。出来るだけ表情には出さないようにしていたというのに、目ざとくフェリシアの複雑な感情の一端を読み取ったらしい。
実際、今のところここまで彼女を理解できる存在はディラン以外にはいないだろう。だから自分の決意、ひいては感情を宣言するには丁度良かった
「貸して」
「は?」
フェリシアは此方を呆然と見ていたディランの腰に下がっていた剣を流れるように引き抜くと、その刃で自分の肩から下の髪の毛をバッサリ切り落とした。
手で掴み切れなかった髪の幾筋かが風に攫われる。フェリシアは長い髪の毛と一緒に抱えていた余計な重みを断ち切った。今までにない程に体が軽くなったような感覚と踊り出したくなるほどに楽になった気分と思考。
「ッフェル、お前――」
「あー。スッキリした」
最近ディランの間抜けた顔を見ることが多いなと思いながら、動揺した彼の顔を見つめ、宣言した。
「私、ここに来てやっと決意を固められた。一度王都に戻ってユリウスと話してくる。それで自分の気持ちにもちゃんと片を付けてくるわ……逃げ続けるのはもう、やめる」
そう。この村の人達と負い目なく向き合うためにもフェリシアはユリウスと一度話すことを決意したのだ。正直彼女はまだ何を話すか……話せばよいのかは分からないし決めていない。けれどまずは行動してみないと何事も前には進めないのだ。
まだ二人が結婚したという話は耳に入ってはいないが、未だなら未だで都合がよかった。きちんと自身の感情に向き合って、出来ることならきちんと祝福してあげたい。なにせ二人はフェリシアにとって何物にも代え難い大切な人たちなのだから。今ならあの時出来なかった思考が出来る。この村に来て色々な人に出会って、ささくれ立っていた気持ちを少しずつ昇華して、彼女の内面は成長していた。
「――はあ、やっとかよ」
ディランから吐き出されたのは静止でも馬鹿にした感情でもなく、安堵したような表情と少し呆れた様な口調の言葉だった。でもフェリシアは安堵したような表情の方は敢えて気づかないふりをした。一応口調で隠そうとしているようだし、何よりディランも突っ込まれたら逆に頑なになって認めてくれなかろう、と。自分たちはいつも通りが良いのだ。いつも通りの軽口を叩きあう幼馴染の関係が――。
「いや、何その呆れた様な口調。まあ、確かに今回は貴方にも散々迷惑かけた自覚はあるし。なにより、その……王都から連れ出してここに置いてくれたこととか、感謝している。ここに来ずに別の場所に逃げてたりしたら、私一生後悔してたと思うし」
「うわっ、妙に素直で気持ち悪ぃ」
「っ~~!ディラン、アンタねー折角人がらしくもない感謝の言葉を――」
「でも!俺もお前に後悔だけはして欲しくなかったからな。良かったよ。お前が元気を取り戻して決意を固められて。フェル、なんだその……俺はいつでもお前の事を応援してるからな」
頭にポンと手を置かれ、軽く撫でられる。昔よりも固く、大きくなった手のひらが妙に心地良かった。
「っていうか、お前髪の毛雑に切り過ぎ!相変わらず変なところでズボラだな。俺が切り揃えてやるから一旦屋敷に戻るぞ」
「はーい。仕方ないな~。ディラン、私よりもっと不器用そうだけど切り揃えさせてあげるよ」
「生意気。ま、俺刃物の扱いはそれなりに自信があるし、任せとけって」
こうしてフェリシアはディランの応援を受けながら、王都へ出立する準備を整えた。
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