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舞踏会の喧騒が続く中、私はそっと大広間を抜け出した。華やかな貴族たちの談笑と音楽が響く中、静かな空間を求めて中庭へ向かう。
空は深い藍色に染まり、白銀の月がその中で輝いていた。夜風が頬を撫で、少しだけ熱を持っていた体を冷ます。人混みに長くいると、どうしても息苦しくなってしまうのだ。久々にこのような催し物に参加したのもあったかもしれない。なんだか今日は妙に息苦しくて仕方がなかったのだ。
落ち着くために、しばしの静寂を求めた――それだけのはずだった。
しかし、そのなんでもないような選択が、私の人生を一変させることになる。
庭園の奥、小さな石畳の小道を進んだ先に二つの影があった。
月光に照らされたその姿に、私は思わず足を止めた。
――カイデン?
私の婚約者にして幼馴染のカイデン・ロストーク。この国の王太子でもある。
そして、その腕の中には――ハルメン・ベルナール。昔から私とは反りが合わなかった女性だ。久々に見た。
何をしているのだろうとじっと見つめて、理解した瞬間に息が止まった。
キス……していた。
彼女の顔を挟み込むようにして、顔が合わさる。
舞踏会の喧騒は既に遠い。夜の静寂の中で、自分の鼓動だけが強く響く。
「――あ、あぁ……」
私の口から出たそれは悲鳴でも怒声でもない。ただの、空気に溶けるような小さな声だった。
しかし、その声は誰にも気づかれることなく、消えた。
何も言えない。足も石のように固まって動かない。
そうして何も出来ない内にカイデンはハルメンの手を取り、そのままどこかへ歩き去ってしまった。
彼は振り返らなかった。私の存在に気が付くことはなかった。
自身の中で何かが音を立てて崩れるのを感じた。
幼い頃から、彼と共に未来を歩むことを信じて疑わなかった。
ずっと一緒だった。これからも、ずっと一緒だと思っていた。
だが――違った。
「……嘘、でしょう……」
呆然としたまま、私はただそこに立ち尽くすしかなかった。
夜風が静かに吹き抜ける。だが、私の心の中には、嵐のような衝撃が渦巻いていた。
******
書いたまま放置していたので、書いていた分だけ投稿します。ほぼ推敲していないので、文章が変かもしれません。
空は深い藍色に染まり、白銀の月がその中で輝いていた。夜風が頬を撫で、少しだけ熱を持っていた体を冷ます。人混みに長くいると、どうしても息苦しくなってしまうのだ。久々にこのような催し物に参加したのもあったかもしれない。なんだか今日は妙に息苦しくて仕方がなかったのだ。
落ち着くために、しばしの静寂を求めた――それだけのはずだった。
しかし、そのなんでもないような選択が、私の人生を一変させることになる。
庭園の奥、小さな石畳の小道を進んだ先に二つの影があった。
月光に照らされたその姿に、私は思わず足を止めた。
――カイデン?
私の婚約者にして幼馴染のカイデン・ロストーク。この国の王太子でもある。
そして、その腕の中には――ハルメン・ベルナール。昔から私とは反りが合わなかった女性だ。久々に見た。
何をしているのだろうとじっと見つめて、理解した瞬間に息が止まった。
キス……していた。
彼女の顔を挟み込むようにして、顔が合わさる。
舞踏会の喧騒は既に遠い。夜の静寂の中で、自分の鼓動だけが強く響く。
「――あ、あぁ……」
私の口から出たそれは悲鳴でも怒声でもない。ただの、空気に溶けるような小さな声だった。
しかし、その声は誰にも気づかれることなく、消えた。
何も言えない。足も石のように固まって動かない。
そうして何も出来ない内にカイデンはハルメンの手を取り、そのままどこかへ歩き去ってしまった。
彼は振り返らなかった。私の存在に気が付くことはなかった。
自身の中で何かが音を立てて崩れるのを感じた。
幼い頃から、彼と共に未来を歩むことを信じて疑わなかった。
ずっと一緒だった。これからも、ずっと一緒だと思っていた。
だが――違った。
「……嘘、でしょう……」
呆然としたまま、私はただそこに立ち尽くすしかなかった。
夜風が静かに吹き抜ける。だが、私の心の中には、嵐のような衝撃が渦巻いていた。
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書いたまま放置していたので、書いていた分だけ投稿します。ほぼ推敲していないので、文章が変かもしれません。
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