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12.再会②
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「お久しぶりですね、ケントさん」
「マルタ様、こちらこそお久しぶりです」
軽くあいさつ程度の会話を交わす二人の間にピリッとした空気が流れる。否、それは正確には二人の間ではなくマルタから一方的に発されているものだったのだが、間に挟まれたルーネストにとっては驚きであった。なにせマルタへの印象は『常に穏やかに微笑んでいる綺麗な女性』という真逆のものだったのだ。
マルタのこの態度には実は理由がある。
これにはケントとマルタは学生時代からの知り合いであることが起因する。
在学中は貴族出身であり、血筋的にも驕り高ぶっていたマルタが一般市民のケントの優秀さを一方的に敵視し、散々イチャモンを付けて絡んでいたのだ。しかし当時から比較的穏やか且つ平和主義的な性格だったケントはそのマルタの行動を気にしてすらおらず、見向きもせずに勉強し続け、首席を取り続けていた。
そんな学生生活の中でマルタも変化する。初めて悔しいという感情に触れた彼女は、努力をし続けたのだ。けれど努力をして実力を付ければ付ける程に実感してしまうのが、”才能の差”というものであり追い付けないという絶望であった。その後も諦めずに努力を続けた彼女は王宮医師としての立場を確立していったのだが、それでもケントに追い付けた気はしなかった。それほどまでに彼女らの間の溝は深かったのだ。
しかし今回のケントに対する要請は彼女からのものだった。確執だの才能の差からくる負の感情だのを払拭するほどに今回は一人では解決できないと悟ってしまったのだ。マルタはエストをどうしても助けたかった……いなくなってしまったクレアのためにも。
けれど対面してみると、助けを要請した時の素直さなど消え去ってしまう。
「それで第一王子殿下の現在の状況についてお聞きしたいのですが」
「……ついてきてください。セーレ、後は頼みましたよ」
ルーネストについてはもう既に情報が伝わっているのだろう。そのまま彼女に一緒について行っても特に何を言われるでもなかった。
そして案内されたのはエストが眠っていた部屋より2つほど更に部屋を挟んで離れた場所。元々あった部屋を改造したのだろう。その壁にはエストの体内を魔法で転写した写真や人体の簡易的な図形が描かれ、そのあらゆる箇所に文字やチェックマークが入った紙が貼られている。それだけでなく床や机には山積みにされた沢山の専門書籍など様々な物が置かれていた。
マルタはケントとルーネストの両名にケントの情報が軽く書かれた資料を渡す。紙面にはエストの身体的特徴から経歴、使える魔法、耐性のある物質やその逆も然――様々な情報が書かれていた。目を通しながら話を聞けと言うことらしい。
「エスト様の様子がおかしくなったのは約1カ月前、婚約者だったクレア様が亡くなった直後の事でした」
「え――」
唇を噛みしめるようにして言われたマルタの発言。悲痛な感情がありありと表現されたその言葉に対して、口から思わず疑問符とも言えないような声が出てしまったのも仕方のない事だろう。しかしマルタはルーネストが王宮や王族の事情にあまり詳しくない田舎者だと判断して、軽く説明を追加してくれた。
エストには昔からそれはそれは大事にしている婚約者がいたのだ、と。
「エスト様はまるで辛い事を全て忘れるかのように仕事に打ち込んでいました。そもそも戴冠式が近いのでその関連の仕事もあった事は事実ではありますが、私にはクレア様が亡くなった空白を埋めるように、何も考えないために仕事をしているようにしか見えなかった。だから誰も声を掛けられなかった……気づくことが出来なかった」
あれ以上は声を出さないように自主的に口を塞いでいたルーネストの頭の中は、いきなり与えられる理解し難い自分も関係した情報によりパンク寸前だった。なにせ自分は『仮の婚約者』である。彼が自身がいなくなったことくらいで、そんなにも――精神的にも肉体的にも疲弊するほどの衝撃を与えるわけがない。そう思ってしまう。
それにマルタはエストとクレアの”本当の関係”は知らないのだ。だから何かしらの思い違いか勘違いだろう……そう疑問を片付けてしまった。なにせ今はそんなことを考えている状況ではないのだ。
「エスト様は強い方です。丁度私が仕え始めた頃、エスト様の兄君が亡くなったのですが、その時もなんとか持ち直したました。今回も皆が彼の精神的回復を待っていた。けれど……今回は違った」
「”今回は ”というのはどういうことでしょうか」
「何故かエスト様の魔力生成器官、それに加えて体内の臓器のいくつかがズタズタに傷ついているのです。エスト様はクレア様が亡くなってから仕事に打ち込みながらも同時並行でずっと、とある魔道具に魔力を注ぎ続けていたようで、そこでかなりの量の魔力を消費していました。しかしそれだけではあそこまで魔力生成器が傷つく事などありえないのです」
魔力生成器、それにいくつかの臓器がズタズタに傷付いている。その言葉を聞き、ルーネストとケントは目を見開き、顔を見合わせる。確かに精神力と魔力、肉体というのは深い繋がりがあると照明されてはいる。精神力が弱れば、当然のことながら魔力や肉体に大きな影響が出る。
しかしそんな状態だったとしても魔力生成器が傷付くなどということは滅多に起こるようなことではないのだ。魔力生成器官が傷付くよりも前に身体が限界を迎えている筈なのである。
「その”魔道具”とは、いったいどのようなものだったのでしょうか」
「申し訳ありませんが、それだけは言えません。ですがその術式が完成する前に取り上げ、魔道具との接続を遮断させたので、その魔道具が原因ではない事だけは断言できます……なにせ取り上げてからも彼の魔力生成器官とその周辺の臓器は傷つき続けていたのですから」
マルタが魔道具からエストの接続を遮断したというのであれば、それは紛れもない事実なのであろう。どのような魔道具だったのかは気になりはするが、マルタの言っている通り既に繋がりを絶ったものなのであれば、どんな効能のものであったとしてもそれは話の本質からは外れる。
それにマルタも優れた魔導士だ。その辺の見極めは信用していいだろうと二人は判断した。
それにその魔道具が関係ないからこそ彼女でも原因が分からなく、ケントに助けを求めているのだろう。
しかしそれを聞いたケントですら、今回の話は理解の範疇を越えたような顔をしていた。
ケントが不審げな顔をするそんな状況の中、ルーネスト――即ちクレアには一つだけ思い当たる点があった。
それはエストの固有の魔法に関する事……渡された資料には書いていなかった事。クレアですらエストと接している時に”そうなのではないか?”と感じた程度の事であり、確証はない。だが一度その可能性が脳に浮上するとそれ以外考えられないのである。
その魔法――否体質と言った方が近いのだろう。もしそれが彼に発現しているとして、エストの場合はその能力の現れ方自体が希少性が高い故にケントもこの可能性には思い当たっていないのだと考えられる。
これを言ったら何故この可能性に行きついたのだ、と何かしらの疑いをもたれるかもしれない。けれど言わなければ、後悔することだけは分かっていた。
******
あとがき:
更新するする詐欺をしてしまいました。申し訳ないです(´・ω・)
でも今日は半休だったので、次のお話もある程度書き終わっています。もうちょい推敲したら多分そのうちアップしますので、それまでお待ちを……!
「マルタ様、こちらこそお久しぶりです」
軽くあいさつ程度の会話を交わす二人の間にピリッとした空気が流れる。否、それは正確には二人の間ではなくマルタから一方的に発されているものだったのだが、間に挟まれたルーネストにとっては驚きであった。なにせマルタへの印象は『常に穏やかに微笑んでいる綺麗な女性』という真逆のものだったのだ。
マルタのこの態度には実は理由がある。
これにはケントとマルタは学生時代からの知り合いであることが起因する。
在学中は貴族出身であり、血筋的にも驕り高ぶっていたマルタが一般市民のケントの優秀さを一方的に敵視し、散々イチャモンを付けて絡んでいたのだ。しかし当時から比較的穏やか且つ平和主義的な性格だったケントはそのマルタの行動を気にしてすらおらず、見向きもせずに勉強し続け、首席を取り続けていた。
そんな学生生活の中でマルタも変化する。初めて悔しいという感情に触れた彼女は、努力をし続けたのだ。けれど努力をして実力を付ければ付ける程に実感してしまうのが、”才能の差”というものであり追い付けないという絶望であった。その後も諦めずに努力を続けた彼女は王宮医師としての立場を確立していったのだが、それでもケントに追い付けた気はしなかった。それほどまでに彼女らの間の溝は深かったのだ。
しかし今回のケントに対する要請は彼女からのものだった。確執だの才能の差からくる負の感情だのを払拭するほどに今回は一人では解決できないと悟ってしまったのだ。マルタはエストをどうしても助けたかった……いなくなってしまったクレアのためにも。
けれど対面してみると、助けを要請した時の素直さなど消え去ってしまう。
「それで第一王子殿下の現在の状況についてお聞きしたいのですが」
「……ついてきてください。セーレ、後は頼みましたよ」
ルーネストについてはもう既に情報が伝わっているのだろう。そのまま彼女に一緒について行っても特に何を言われるでもなかった。
そして案内されたのはエストが眠っていた部屋より2つほど更に部屋を挟んで離れた場所。元々あった部屋を改造したのだろう。その壁にはエストの体内を魔法で転写した写真や人体の簡易的な図形が描かれ、そのあらゆる箇所に文字やチェックマークが入った紙が貼られている。それだけでなく床や机には山積みにされた沢山の専門書籍など様々な物が置かれていた。
マルタはケントとルーネストの両名にケントの情報が軽く書かれた資料を渡す。紙面にはエストの身体的特徴から経歴、使える魔法、耐性のある物質やその逆も然――様々な情報が書かれていた。目を通しながら話を聞けと言うことらしい。
「エスト様の様子がおかしくなったのは約1カ月前、婚約者だったクレア様が亡くなった直後の事でした」
「え――」
唇を噛みしめるようにして言われたマルタの発言。悲痛な感情がありありと表現されたその言葉に対して、口から思わず疑問符とも言えないような声が出てしまったのも仕方のない事だろう。しかしマルタはルーネストが王宮や王族の事情にあまり詳しくない田舎者だと判断して、軽く説明を追加してくれた。
エストには昔からそれはそれは大事にしている婚約者がいたのだ、と。
「エスト様はまるで辛い事を全て忘れるかのように仕事に打ち込んでいました。そもそも戴冠式が近いのでその関連の仕事もあった事は事実ではありますが、私にはクレア様が亡くなった空白を埋めるように、何も考えないために仕事をしているようにしか見えなかった。だから誰も声を掛けられなかった……気づくことが出来なかった」
あれ以上は声を出さないように自主的に口を塞いでいたルーネストの頭の中は、いきなり与えられる理解し難い自分も関係した情報によりパンク寸前だった。なにせ自分は『仮の婚約者』である。彼が自身がいなくなったことくらいで、そんなにも――精神的にも肉体的にも疲弊するほどの衝撃を与えるわけがない。そう思ってしまう。
それにマルタはエストとクレアの”本当の関係”は知らないのだ。だから何かしらの思い違いか勘違いだろう……そう疑問を片付けてしまった。なにせ今はそんなことを考えている状況ではないのだ。
「エスト様は強い方です。丁度私が仕え始めた頃、エスト様の兄君が亡くなったのですが、その時もなんとか持ち直したました。今回も皆が彼の精神的回復を待っていた。けれど……今回は違った」
「”今回は ”というのはどういうことでしょうか」
「何故かエスト様の魔力生成器官、それに加えて体内の臓器のいくつかがズタズタに傷ついているのです。エスト様はクレア様が亡くなってから仕事に打ち込みながらも同時並行でずっと、とある魔道具に魔力を注ぎ続けていたようで、そこでかなりの量の魔力を消費していました。しかしそれだけではあそこまで魔力生成器が傷つく事などありえないのです」
魔力生成器、それにいくつかの臓器がズタズタに傷付いている。その言葉を聞き、ルーネストとケントは目を見開き、顔を見合わせる。確かに精神力と魔力、肉体というのは深い繋がりがあると照明されてはいる。精神力が弱れば、当然のことながら魔力や肉体に大きな影響が出る。
しかしそんな状態だったとしても魔力生成器が傷付くなどということは滅多に起こるようなことではないのだ。魔力生成器官が傷付くよりも前に身体が限界を迎えている筈なのである。
「その”魔道具”とは、いったいどのようなものだったのでしょうか」
「申し訳ありませんが、それだけは言えません。ですがその術式が完成する前に取り上げ、魔道具との接続を遮断させたので、その魔道具が原因ではない事だけは断言できます……なにせ取り上げてからも彼の魔力生成器官とその周辺の臓器は傷つき続けていたのですから」
マルタが魔道具からエストの接続を遮断したというのであれば、それは紛れもない事実なのであろう。どのような魔道具だったのかは気になりはするが、マルタの言っている通り既に繋がりを絶ったものなのであれば、どんな効能のものであったとしてもそれは話の本質からは外れる。
それにマルタも優れた魔導士だ。その辺の見極めは信用していいだろうと二人は判断した。
それにその魔道具が関係ないからこそ彼女でも原因が分からなく、ケントに助けを求めているのだろう。
しかしそれを聞いたケントですら、今回の話は理解の範疇を越えたような顔をしていた。
ケントが不審げな顔をするそんな状況の中、ルーネスト――即ちクレアには一つだけ思い当たる点があった。
それはエストの固有の魔法に関する事……渡された資料には書いていなかった事。クレアですらエストと接している時に”そうなのではないか?”と感じた程度の事であり、確証はない。だが一度その可能性が脳に浮上するとそれ以外考えられないのである。
その魔法――否体質と言った方が近いのだろう。もしそれが彼に発現しているとして、エストの場合はその能力の現れ方自体が希少性が高い故にケントもこの可能性には思い当たっていないのだと考えられる。
これを言ったら何故この可能性に行きついたのだ、と何かしらの疑いをもたれるかもしれない。けれど言わなければ、後悔することだけは分かっていた。
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更新するする詐欺をしてしまいました。申し訳ないです(´・ω・)
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