妹に罪を着せられて追放を言い渡されましたが、大人しく従いたいと思います

皇 翼

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24.

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「そこ!右脇がガラ空きだ!!」
「っぐ!」

木刀で防ぎきれなかった攻撃がクリティカルヒットする。
あれから。オリバーは現在、協力という名の訓練を私にしてくれていた。
朝から体力作りのための走り込み、腕、腹筋、脚、戦うことに必要な身体の筋肉をつけるための筋トレ。そしてオリバーの勤務時間外にお互いに木刀を使った模擬戦闘を行っていた。
一応は事前にサシャから刃を完全に潰した木刀であれば使用しても良いという許可を取っているので、これは決してルール違反ではない。

「跪いて何をしている?さっさと立ち上がれ」
「そんなこと!分かってる!!」

正直オリバーの指導は鬼だった。
どれだけ攻撃を受け流しても、次々と容赦ない斬撃が繰り出される。それなのに私が反撃しようものなら、それはいとも簡単に受けられて反撃を浴びせられる。男女の筋肉差なんかじゃない。これは圧倒的な実力差だ。
彼が指揮している騎士たちもこのようにしごかれているのだろう。毎日大変そうで少し可哀想だ。きっとカノンとダニエルも同じような地獄を見ているはずだ。少し前に会った時に、オリバーの元で他の騎士と共に戦闘の修練を積んでいると言っていたから。
だからこそ私がここで折れるわけにはいかない。こんなところで折れているようではサシャに私の実力を認めさせるなんて夢のまた夢である。

「次だな、さっさとかかってこい」

私に足りないのは対人戦の実戦経験。
だからそれをオリバーで補っていく。今までもう必要ないからとしていなかった初心に戻った基礎訓練をそこに加えて私は一歩ずつ階段を上るように実力をつけていっていた。

******

「今日はここまでだ。お疲れ」
「ありがとう、ございました」

模擬戦闘が終わったのは19時を少し回った時間。
サシャとの食事の時間より前あたり。サシャにこの鍛錬のことは話していないからだ。もう既に立っているのすらも辛い状況だが、やると決めたからには全てをやり通す。サシャに隠し通した上でオリバーに強くしてもらう。

「君、中々根性があるな」
「当然。だって強くなりたいから。これくらいはしないと強くなれない」
「いや、騎士の中でもここまで僕に食らいついてくる者はいない。きっと近いうちに僕たちに並ぶ実力がつくんじゃないか?これと決めたことを貫ける人間はどんな分野でも強い」

強くなれる。
そう、実際に自分を凌駕した実力を持つ人間に言われると嬉しいものだ。
オリバーと別れ、更衣室で薬を塗って傷が隠れるように袖と丈が長い緩い服を着る。サシャと会うというので修練直後は少し気が重かったが、オリバーに言われた一言を心の中で反芻すると、その重い気持ちも少し軽くなるような気がした。

******
X(旧Twitter)におまけ話(アレクサンダー視点)載せてます。心がすれ違ってる感じの話です。
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