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17.(オーランド視点)
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あの日、俺は初めて「恋に落ちる」という感覚を知った。
グレイロール王国の貴族たちが一堂に会する、若き令嬢たちのデビュタントと呼ばれる舞踏会。国によっては令嬢ごとに時期が違ったりなどするのだが、グレイロールでは全員同じタイミングで迎えるのが特徴だった。
厳かな音楽と、煌びやかなシャンデリアの下、優雅に踊る貴族の娘たち。
それは自分が社交界にデビューしてからは何度も見てきた光景で、最初こそ新鮮であれど、今の俺にとっては退屈なものに過ぎなかった。
――彼女を見るまでは。
リーシャ=スプライント。
かつて婚約者候補として、その名を耳にした瞬間は何の感慨もなかった。どこにでもいる貴族の令嬢の一人だろう、そう思っていた。
しかし――。
彼女がフロアに足を踏み入れた瞬間、すべてが変わった。
金の髪は絹糸のように滑らかで、シャンデリアの光を受けて輝きを放つ。
赤い瞳は燃える宝石のように鋭く、けれどどこか憂いを秘めた美しさを持っていた。
そして、細く長い指がスカートの裾をつまみ、優雅な仕草で軽く会釈する。
その全てが、俺の目に焼きついた。目を離すことなどできなかった。
こうして身動きすらもできないうちに、姿を耳にした直後に耳に届いたのは、透き通るような声だった。
「今宵の舞踏会にお招きいただき、光栄に存じます」
響くような、けれどどこか柔らかい音色。少し離れたところから王族に挨拶しているのを見ていたにも関わらず、ここまで聞こえてきたほどによく通るのだ。彼女の声は。
言葉遣いこそ完璧な貴族令嬢そのものだったが、その声の中にある意思の強さを俺は感じ取った。
そして彼女は、フロアの中央へと進み、――確か伯爵家の息子だったか――とゆるやかに踊り始める。
その踊りは、まるで芸術だった。相手の男など目に入らない。まるで妖精がこの場に現れたのかと錯覚したほどだ。崩れそうなくらいに可憐でいて、ステップは力強く優雅さを感じさせる。
流れるような動き、凛とした姿勢、指先まで洗練された優雅な仕草。
どの貴族令嬢よりも美しく、誰よりも堂々としていた。これがデビュタントなんて、信じられないほどだ。
俺は、ただ彼女を見つめていた。
今までどんな令嬢を見ても興味を抱かなかった俺が――この瞬間だけは、視線を逸らすことができなかった。
「……踊らねぇのか?」
傍らでワイングラスを傾けていた友人が、からかうように笑った。
「まあ、分かっているさ。お前のことだ。どうせ『興味がない』とか言い出すんだろ?」
違う。そうじゃない。
俺は、彼女と踊りたい。……違うな、自分を彼女に認識して、目を合わせて微笑んでほしかった。そしてもっと彼女のことを知りたい。
そう思った時には、すでに足が動いていた。それどころか、二人きりで話して、それ以上のことも……彼女の全てを掌握したいという衝動に駆られた。
――独占したいという欲望。それが心の奥底から湧き上がる。
舞踏会の後、俺はすぐに動いた。
彼女の家柄、彼女の家族、彼女の教育、すべてを調べ尽くした。
――そして、決めた。
彼女は俺のものになるべきだ、と。
俺は、自分の持つすべての権力を使い、リーシャとの婚約を取り付けた。
ただの感情に任せた決定ではない。彼女は優秀な血筋の出身であり、王国の未来に貢献できる才を持つ。それを自分の家柄であれば、充分すぎるほどに支えてやれるだろう。
誰よりも才覚があり、誰よりも美しい。
そして婚約が決まった後はリーシャの母親に会い、静かに誓うように言った。
「彼女を、誰よりも大切にします」
決して軽い約束ではなかった。
俺は本気で、心の底からそう思っていた。
リーシャを、俺の全てをもって守る。そして隣に居て欲しいのだ。彼女の中身を全て知っているわけではない。しかしそれくらいに一目ぼれで覚えた衝動は強かった。
誰にも奪わせはしない。
こうして結ばれた結婚の約束。正直そんな婚約期間なんて空けずに結婚したかったが、まだ結婚を許される年齢ではなかったのが大きかった。
そしてらリーシャは婚約が決まると、俺を何度もデートに誘ってきた。
「オーランド様、今度の休日に一緒に馬を見に行きませんか?」
「近くの湖に、綺麗な水鳥がいるそうです。オーランド様、動物がお好きだと伺っていますので、良かったら――」
「たまには甘いお菓子でも食べに行きましょう。最近評判のお店を予約したんです」
嬉しかった。心の中では、何度も頷いていた。
だが、俺は――。
「……考えておく」
「興味はないが、君が行きたいのなら好きにするといい」
「別に、俺がいなくても構わないだろう」
そんな言葉を返してしまっていた。
なぜなら、俺は事前に読んでいたのだ。
「貴族の男性が女性にモテる条件」について、恋愛指南書を大量に。
そこには、こう書かれていた。
『物静かで、冷静沈着な男が女性にとって理想の恋人である』
『強すぎる愛情表現は、時に女を幻滅させる』
『相手にすがらず、余裕を持つことが貴族の男の品格である』
だから、俺はリーシャに対して、クールに、冷静に接しようとした。
どんなに嬉しくても、笑顔を作らず、あえて素っ気なく。
どんなに惹かれていても、過度な関心を見せないように。
……なんてことは語ったが、実のところはこの恋愛というものに対して自分の耐性があまりにもなかったこともある。だから指南書が全て正しく、こういう男が女性に好かれるのだと思っていた。
正直、彼女の眼の前に立っているだけで顔が焼けそうなくらいに熱くなるし、話してると吃りそうになるから、あまり長く話すことはできなかった。
彼女にダサい姿は見せたくないし、それを見せて失望なんてされたら立ち直れない。
それに何よりも、この状態でリーシャはいつも楽しそうにデートに誘ってきてくれていた。
だからこれが正しい態度で、リーシャもこういう冷静沈着な男が好きだと思っていたのだ。
このままクールで縋ってこない、好意は一緒にいるという行動で示す……そんな男を演じていれば上手くいくと考えていた。
グレイロール王国の貴族たちが一堂に会する、若き令嬢たちのデビュタントと呼ばれる舞踏会。国によっては令嬢ごとに時期が違ったりなどするのだが、グレイロールでは全員同じタイミングで迎えるのが特徴だった。
厳かな音楽と、煌びやかなシャンデリアの下、優雅に踊る貴族の娘たち。
それは自分が社交界にデビューしてからは何度も見てきた光景で、最初こそ新鮮であれど、今の俺にとっては退屈なものに過ぎなかった。
――彼女を見るまでは。
リーシャ=スプライント。
かつて婚約者候補として、その名を耳にした瞬間は何の感慨もなかった。どこにでもいる貴族の令嬢の一人だろう、そう思っていた。
しかし――。
彼女がフロアに足を踏み入れた瞬間、すべてが変わった。
金の髪は絹糸のように滑らかで、シャンデリアの光を受けて輝きを放つ。
赤い瞳は燃える宝石のように鋭く、けれどどこか憂いを秘めた美しさを持っていた。
そして、細く長い指がスカートの裾をつまみ、優雅な仕草で軽く会釈する。
その全てが、俺の目に焼きついた。目を離すことなどできなかった。
こうして身動きすらもできないうちに、姿を耳にした直後に耳に届いたのは、透き通るような声だった。
「今宵の舞踏会にお招きいただき、光栄に存じます」
響くような、けれどどこか柔らかい音色。少し離れたところから王族に挨拶しているのを見ていたにも関わらず、ここまで聞こえてきたほどによく通るのだ。彼女の声は。
言葉遣いこそ完璧な貴族令嬢そのものだったが、その声の中にある意思の強さを俺は感じ取った。
そして彼女は、フロアの中央へと進み、――確か伯爵家の息子だったか――とゆるやかに踊り始める。
その踊りは、まるで芸術だった。相手の男など目に入らない。まるで妖精がこの場に現れたのかと錯覚したほどだ。崩れそうなくらいに可憐でいて、ステップは力強く優雅さを感じさせる。
流れるような動き、凛とした姿勢、指先まで洗練された優雅な仕草。
どの貴族令嬢よりも美しく、誰よりも堂々としていた。これがデビュタントなんて、信じられないほどだ。
俺は、ただ彼女を見つめていた。
今までどんな令嬢を見ても興味を抱かなかった俺が――この瞬間だけは、視線を逸らすことができなかった。
「……踊らねぇのか?」
傍らでワイングラスを傾けていた友人が、からかうように笑った。
「まあ、分かっているさ。お前のことだ。どうせ『興味がない』とか言い出すんだろ?」
違う。そうじゃない。
俺は、彼女と踊りたい。……違うな、自分を彼女に認識して、目を合わせて微笑んでほしかった。そしてもっと彼女のことを知りたい。
そう思った時には、すでに足が動いていた。それどころか、二人きりで話して、それ以上のことも……彼女の全てを掌握したいという衝動に駆られた。
――独占したいという欲望。それが心の奥底から湧き上がる。
舞踏会の後、俺はすぐに動いた。
彼女の家柄、彼女の家族、彼女の教育、すべてを調べ尽くした。
――そして、決めた。
彼女は俺のものになるべきだ、と。
俺は、自分の持つすべての権力を使い、リーシャとの婚約を取り付けた。
ただの感情に任せた決定ではない。彼女は優秀な血筋の出身であり、王国の未来に貢献できる才を持つ。それを自分の家柄であれば、充分すぎるほどに支えてやれるだろう。
誰よりも才覚があり、誰よりも美しい。
そして婚約が決まった後はリーシャの母親に会い、静かに誓うように言った。
「彼女を、誰よりも大切にします」
決して軽い約束ではなかった。
俺は本気で、心の底からそう思っていた。
リーシャを、俺の全てをもって守る。そして隣に居て欲しいのだ。彼女の中身を全て知っているわけではない。しかしそれくらいに一目ぼれで覚えた衝動は強かった。
誰にも奪わせはしない。
こうして結ばれた結婚の約束。正直そんな婚約期間なんて空けずに結婚したかったが、まだ結婚を許される年齢ではなかったのが大きかった。
そしてらリーシャは婚約が決まると、俺を何度もデートに誘ってきた。
「オーランド様、今度の休日に一緒に馬を見に行きませんか?」
「近くの湖に、綺麗な水鳥がいるそうです。オーランド様、動物がお好きだと伺っていますので、良かったら――」
「たまには甘いお菓子でも食べに行きましょう。最近評判のお店を予約したんです」
嬉しかった。心の中では、何度も頷いていた。
だが、俺は――。
「……考えておく」
「興味はないが、君が行きたいのなら好きにするといい」
「別に、俺がいなくても構わないだろう」
そんな言葉を返してしまっていた。
なぜなら、俺は事前に読んでいたのだ。
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そこには、こう書かれていた。
『物静かで、冷静沈着な男が女性にとって理想の恋人である』
『強すぎる愛情表現は、時に女を幻滅させる』
『相手にすがらず、余裕を持つことが貴族の男の品格である』
だから、俺はリーシャに対して、クールに、冷静に接しようとした。
どんなに嬉しくても、笑顔を作らず、あえて素っ気なく。
どんなに惹かれていても、過度な関心を見せないように。
……なんてことは語ったが、実のところはこの恋愛というものに対して自分の耐性があまりにもなかったこともある。だから指南書が全て正しく、こういう男が女性に好かれるのだと思っていた。
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それに何よりも、この状態でリーシャはいつも楽しそうにデートに誘ってきてくれていた。
だからこれが正しい態度で、リーシャもこういう冷静沈着な男が好きだと思っていたのだ。
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