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26.監禁生活②
唐突な爆発音、そして警報音と共に、目が覚めた。
地下深くにあるらしく、窓が一つもなく閉鎖的なこの部屋。本来であれば、要人を護衛するためにも使われるらしい頑丈なこの部屋に大きな音が伝わってくるというのはよほどの事態であろう。
カインツ兄様曰く、上にあるギルド……ヴィントメーア傭兵ギルドが破壊されたとしても、ここだけは安全だと聞いた。しかし、用意しておくに越したことはない。私は妖精の鉤爪を装備して、扉の方を警戒し続けた。
緊張状態に入ってどれくらい経っただろうか。まだ爆発音と警報音は止まない。
しかし扉の外に気配を感じた。妖精の鉤爪に魔力を込める。扉がガチャガチャと音を立てている。この部屋に入ってこられる3人であれば、鍵は持っている。だからこんな音は立てないはずだ。緊張に身体が強張り、扉が開いたと認識した瞬間、全力で風魔法を放った。
「あっぶね!!」
「ルークハルト……さん!?驚かせないでください」
「仕方ないだろう!急いでここまで来たから、鍵を探している暇がなかったんだ」
それだったらそれだったで、外から声をかければよくないかとは思ったが、これを指摘したらきっと焦っている彼を更に苛立たせるだけだろう。
焦っているルークハルトに連れ出されて、初めてヴィントメーアのギルドに足を踏み入れる。
地下から出てみると、今は夜のようだった。しかし明るい。そこは至る所から火災が起き、建物は半壊していたからだ。皮肉なことに、夜なのに火のお陰で明るかった。
そんな中でギルドのメンバーと思われる人たちが武器を手にして制服のような服を着た人間たちと戦っているのだ。目に入った瞬間、『襲撃』という単語が頭に過った。
「俺達のギルドは今、敵対勢力から襲撃を受けている。アリア、言っておくが、お前の件とは関係ないものだ。巻き込んでしまってすまない」
「アリア!無事でよかった……!!怪我はないですね?」
「ええ。傷一つありませんよ」
遠くから私を見つけて敵を叩き斬りながら駆け寄ってきたカインツ兄様とケイオス兄様。ケイオス兄様の方は上半身が血だらけだったので、怪我をしているのかと思ったが、元気そうに敵をなぎ倒しているのを見る限り全て返り血のようだ。
カインツ兄さまの方は、実際に私の身体を確かめるように触ることで無事なことを確認したようだ。私の無事だという言葉を信じられていないあたり、過保護さが滲み出ていた。
「アリア、君は今から別の場所に移動します。後で僕らも行くので、その場所で待っていてください」
「……ルークハルト、頼んだぞ」
一緒に来て、今から戦うのかと思っていただけに拍子抜けした。私は今からこのルークハルトと共にどこか安全な場所に移動させられるようだ。
正直、折角再会できた兄二人を置いていきたくない。置いていきたくなどない……のだが、私がここに居ても、二人の足を引っ張るだけだろう。戦っている今でさえ、二人と私の実力の差を感じている。経験値の差が明らかに分かった故の行動だった。
「ほら、行くぞ」
私は兄二人の無事を祈りながら、ルークハルトの手を取った――。
地下深くにあるらしく、窓が一つもなく閉鎖的なこの部屋。本来であれば、要人を護衛するためにも使われるらしい頑丈なこの部屋に大きな音が伝わってくるというのはよほどの事態であろう。
カインツ兄様曰く、上にあるギルド……ヴィントメーア傭兵ギルドが破壊されたとしても、ここだけは安全だと聞いた。しかし、用意しておくに越したことはない。私は妖精の鉤爪を装備して、扉の方を警戒し続けた。
緊張状態に入ってどれくらい経っただろうか。まだ爆発音と警報音は止まない。
しかし扉の外に気配を感じた。妖精の鉤爪に魔力を込める。扉がガチャガチャと音を立てている。この部屋に入ってこられる3人であれば、鍵は持っている。だからこんな音は立てないはずだ。緊張に身体が強張り、扉が開いたと認識した瞬間、全力で風魔法を放った。
「あっぶね!!」
「ルークハルト……さん!?驚かせないでください」
「仕方ないだろう!急いでここまで来たから、鍵を探している暇がなかったんだ」
それだったらそれだったで、外から声をかければよくないかとは思ったが、これを指摘したらきっと焦っている彼を更に苛立たせるだけだろう。
焦っているルークハルトに連れ出されて、初めてヴィントメーアのギルドに足を踏み入れる。
地下から出てみると、今は夜のようだった。しかし明るい。そこは至る所から火災が起き、建物は半壊していたからだ。皮肉なことに、夜なのに火のお陰で明るかった。
そんな中でギルドのメンバーと思われる人たちが武器を手にして制服のような服を着た人間たちと戦っているのだ。目に入った瞬間、『襲撃』という単語が頭に過った。
「俺達のギルドは今、敵対勢力から襲撃を受けている。アリア、言っておくが、お前の件とは関係ないものだ。巻き込んでしまってすまない」
「アリア!無事でよかった……!!怪我はないですね?」
「ええ。傷一つありませんよ」
遠くから私を見つけて敵を叩き斬りながら駆け寄ってきたカインツ兄様とケイオス兄様。ケイオス兄様の方は上半身が血だらけだったので、怪我をしているのかと思ったが、元気そうに敵をなぎ倒しているのを見る限り全て返り血のようだ。
カインツ兄さまの方は、実際に私の身体を確かめるように触ることで無事なことを確認したようだ。私の無事だという言葉を信じられていないあたり、過保護さが滲み出ていた。
「アリア、君は今から別の場所に移動します。後で僕らも行くので、その場所で待っていてください」
「……ルークハルト、頼んだぞ」
一緒に来て、今から戦うのかと思っていただけに拍子抜けした。私は今からこのルークハルトと共にどこか安全な場所に移動させられるようだ。
正直、折角再会できた兄二人を置いていきたくない。置いていきたくなどない……のだが、私がここに居ても、二人の足を引っ張るだけだろう。戦っている今でさえ、二人と私の実力の差を感じている。経験値の差が明らかに分かった故の行動だった。
「ほら、行くぞ」
私は兄二人の無事を祈りながら、ルークハルトの手を取った――。
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