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第6話 十星会議
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――呼び出しは、あまりにも突然だった。
朝の空気はまだ冷たく、
しずくはベッドの端に座ったまま、
ぼんやりと窓の外を眺めていた。
その静けさを破るように、
部屋のドアが勢いよく開く。
「おはようございますっ!」
昨日案内をしてくれた、元気な女性職員がにこやかな笑顔で入ってきた。
手には薄型のタブレット端末。
朗らかなその声に、
しずくは思わず身を起こした。
「本日は十星会議がございます!
しずく様は議題に参加予定ですので、ご準備をお願いしますね!」
「えっ、あの……会議って……?」
しずくは思わず聞き返す。
まだ制服すらなじんでいない自分が、なぜ“会議”に呼ばれるのか、訳が分からなかった。
女性職員は、にこにこと微笑みながら説明を始めた。
「はい、会議といっても――特別なやつです!」
「現在、魔法少女は階級制度になっていてですね。
最高ランクには“十星”と呼ばれる№10から№1までの十人の魔法少女がいらっしゃいます」
「その方々が、それぞれの部隊を統括していて、
まさにこのユナイトアークの中核ともいえる存在なんですよ~!」
「そして今日は、その十人全員が集まる十星会議。
その席で、しずく様の“正式な紹介”があるんです!」
「しょ……紹介……?」
「そうです!
しずく様は今、魔法少女として“注目の新人”ですからね。
『白封筒から奇跡が生まれた』って、皆さまもご興味を持たれているようで!」
その言葉に、しずくの喉が詰まる。
――“奇跡”
――“注目”
それは、まるで異物のように彼女の胸に居座る単語だった。
「――ささっ、とにかく行きましょー!!」
女性職員は明るく手を叩き、
しずくの背を軽く押す。
勢いに飲まれるように、
しずくは制服の裾を整えながら立ち上がった。
「えっ、ちょっと、準備が――」
「だいじょーぶですっ、準備はもう完璧に整ってますから!
緊張するかもしれませんけど、
案外みなさん優しいですし!」
彼女は軽やかな足取りで廊下を進んでいく。
しずくは小走りでその後に続いた。
「ちなみに……」
職員が少し声を潜めて、いたずらっぽく振り返る。
「私の一押しは、№2のリサ様なんです~!」
「えっ、リサ……さん?」
「そうです!
あの獣みたいな目、冷たいけどちゃんと見てるっていうか……
あの鋭さがたまらなくて……!
こわいけど、素敵なんですよね~」
ふわっと頬を染める彼女に、
しずくは返事に困って笑ってしまった。
「え、えっと……素敵、なんですか?」
「ええ、すっごく! ……
あ、でもリサ様の前では絶対にそんなこと言わないでくださいね?
絶対!死にますから、私が!」
「う、うん……わかりました……。」
高くそびえる黒鉄の扉。
その前に立つ二人の兵士が、
まるで城門の守護者のように道を塞いだ。
その瞬間、隣にいた職員の女性がぴたりと動きを止めた。
さっきまでの明るさが嘘のように消え、
表情が凛と引き締まる。
背筋を伸ばし、深く頭を下げると、静かに告げた。
「失礼します。しずく様をお連れしました。」
厚い扉の向こうから、低く響く声が返る。
「……入りなさい。」
兵士たちが無言で頷き、
重々しい扉をゆっくりと開ける。
ぎい――、と金属が擦れる音。
しずくは一瞬、足がすくむのを感じた。
それでも――一歩、前へ。
おずおずと議事堂の中へ足を踏み入れ、後ろを振り返る。
そこには、あの女性職員がいた。
顔を少しだけ上げ、口元を引き締めて――、
ぐっとガッツポーズを作って見せる。
その無言のエールに、
しずくは小さく頷いた。
そして――扉が、ゆっくりと閉まる。
世界が変わる音がした。
重々しい扉が閉じられる音が、
心臓の奥まで響いた。
議事堂は広大で、
中央には円卓が据えられている。
頭上には魔素灯が円環を描くように並び、
青白い光が会場を照らしていた。
――十の視線が、
一斉に自分へと注がれる。
足がすくみそうになるのを必死でこらえ、
しずくは円卓の中央に進み出た。
呼吸が浅い。
喉が乾く。
声を出す余裕など、とてもなかった。
そのとき、卓の一角に見知った顔があった。
リサだ。
赤髪を乱暴に後ろへ流し、
鋭い紅の瞳でしずくを射抜いている。
その視線は相変わらず獣のように鋭いが、
彼女が小さく頷いたのを見逃さなかった。
その隣には、エレナ。
金の髪を背に流し、
翠緑の装束に大弓を背負った姿。
彼女は柔らかな笑みを浮かべ、
片目を閉じてウインクを送ってきた。
わずか一瞬の仕草。
それだけで、
しずくの硬直した肩が少しだけ緩んだ。
そのとき、卓の一角で椅子が軋む。
赤髪を無造作に刈り込み、
鋭い紅の瞳が獣の光を宿す女剣士が立ち上がった。
戦場をくぐり抜けて擦り切れた黒マントは、
まるで彼女の生き様そのものだった。
【№2 リサ・ヴァレンタイン】
【マガツ討伐数:52】
【コードネーム:紅刃の獣】
「――今回集まってもらったのは、ほかでもねえ。」
腰の大剣に手を添え、リサは低く言い放つ。
「“白封筒”から魔法少女が現れた。しずくだ。
こいつを俺の隊に入れる。……文句ある奴は言え。」
「ふざけるな!」
鋭い声が会場を裂く。
蒼銀の長髪を後ろに束ね、
金の刺繍を施した紺碧の軍装を纏う女が、剣のように背筋を伸ばして立ち上がった。
その冷たい蒼眼は、しずくを容赦なく切り裂く。
【№4 クラウディア・フォン・ノルデン】
【マガツ討伐数:36】
【コードネーム:氷の騎士】
「白封筒の下民を魔法少女に入れていいはずがない!
それは制度そのものの冒涜だ!」
リサが睨み返す。
「こいつは初出撃で魔法を使い、災厄体を倒している。
それだけで十分証明になるだろうが。」
その応酬を和らげるように、柔らかい声が響いた。
金糸のような長髪を背に垂らし、
深緑の狩人装束に身を包んだ女が立ち上がる。
背の大弓が静かに光を受けて輝いた。
【№6 エレナ・フォルティス】
【マガツ討伐数:39】
【コードネーム:翠弓の守護者】
「……私も、それは保証します。
しずくには力がある。それを、私の目で確かに見ました。」
しかしクラウディアは食い下がる。
「力があれば良いというものではない!
規律が乱れれば、いずれ崩壊を招く!」
その言葉を遮るように、低く響く声が落ちた。
整然とした濃紺の将校服に、きっちり撫でつけられた金髪。
腰には磨き抜かれた軍用拳銃。
冷たい黒の瞳が規律そのものを体現していた。
【№5 ギルベルト・シュトラール】
【マガツ討伐数:34】
【コードネーム:鋼鉄の軍律】
「規律は絶対だ。
私も“白封筒”を魔法少女に入れるのは反対だ。
組織とは秩序。
例外を認めた瞬間、それは瓦解する。」
議場に冷たい重みが落ちる。
だが、エレナは微笑を崩さず言葉を返した。
「それでも、私はリサの意見に賛成します。
この子には――力があります。
そして、その力は人類に必要です。」
その緊張を、豪快な笑いが吹き飛ばした。
鮮やかな青髪を刈り上げ、火傷痕の残る腕を組んだ女。
肩を露出した革鎧の上に煤けたマントを羽織り、
拳には青い炎がほのかに揺れていた。
【№7 ライラ・ブレイズ】
【マガツ討伐数:25】
【コードネーム:蒼炎の拳】
「でもさぁ!
人材不足なんだし、戦えそうな奴は入れるべきじゃね?
“奇跡”だろうが“下民”だろうが、勝てりゃそれでいい!」
「……まったく、あなたは。」
黒いベールを肩から垂らし、
妖艶な紫のドレスを纏った女が、顎に指を当てて嘲笑する。
【№8 ミラ・ヴェイル】
【マガツ討伐数:27】
【コードネーム:夜影の抱擁】
「そんな単純な話じゃないのよ、ライラ。
あなたはいつも“火事場”のことしか考えてない。」
ひやりとした空気が再び広がる。
ライラが欠伸をして片手をひらひら振った。
「ふーん、そんなもんなのか。
じゃあ――ガレスはどう思うんだ?」
その視線を受け、
黒鉄の甲冑に包まれた巨躯の女が、ゆっくりと顔を上げた。
背には己の身長を超える巨大な戦斧。
刃は幾度もマガツを両断してきた傷で刻まれ、鈍い光を放っている。
赤銅色の三つ編みが胸に垂れ、琥珀の瞳が静かに光った。
【№9 ガレス・アイアンハート】
【マガツ討伐数:34】
【コードネーム:戦斧の豪盾】
「……まだ、わからない。
戦場でどう役立つか――それを見てからだ。」
その無骨な答えに、場が一瞬沈黙した。
議場に沈黙が流れた、その時――。
――ドンッ!
卓を叩く激しい音が響き渡る。
「ふざけないでいただきたい!!」
漆黒の髪をきつく後ろで束ね、切れ長の瞳を燃やす若い女が立ち上がった。
肩にはマントを羽織り、その重みを背負うかのように全身を震わせている。
【№10 カレン・シュナイダー】
【マガツ討伐数:12】
【コードネーム:黒き継承者】
「こいつは!
我らが№10先代――セレス様を殺した張本人ですよ!!
こんなのを仲間に入れろというのですか!!」
しずくの胸を、刃で突き刺すような言葉。
呼吸が詰まり、視界が揺れる。
全員の視線が、
自分を断罪するための槍のように突き刺さってくる――。
「おい、それは違う!」
リサが声を荒げる。
「セレスは災厄体にやられたんだろうが!」
「ちがいます!!」
カレンの声は震え、それでも折れない。
「セレス様は災厄体の攻撃なんか防げたはずです!
あのゴミみたいなエクリプスを守ろうとしたから死んだんです!
つまり――こいつが殺したも同然!」
その瞬間、卓の向こうからギルベルトの冷鋭な声が響いた。
「……訂正しろ。」
腰に下げた軍用拳銃に手を添え、瞳を光らせる。
軍靴の踵が床を叩き、議場全体が緊張に縛られる。
「エクリプスを“ゴミ”だと? 違う。
彼女たちは戦場を支える歯車であり、
寸分違わぬ動きで前線を成立させる刃だ。
欠ければ戦術は崩壊する。
理解もせずに口にするな。」
「っ……! でも、あんな連中いなくたって――!」
カレンはなおも食い下がろうとする。
だが――。
「……静かになさい。」
冷徹な声が、カレンの言葉を断ち切った。
整えられた銀髪が肩のあたりで静かに揺れる。
その端正な横顔は、まるで陶器のように整っていた。
だが――彼女の目元には、白い包帯が巻かれている。
視線は見えないはずなのに、
彼女の一言が放つ威圧感は、場の空気を一瞬で凍らせるほどだった。
【№3 エリス・ハウンド】
【マガツ討伐数:49】
【コードネーム:黒耀の魔導】
「重要なのは、セラフィナ様の意見です。
あなたたちの感情など、この会議には不要。」
再び、議場が静まり返る。
視線が、一斉に卓の最奥へと向けられた。
白銀の長髪が瀑布のように流れ、
純白の法衣を纏う女がゆるやかに立ち上がった。
その姿はまるで聖像画の天使。
だが、凛とした輪郭をやわらげるように、
彼女の唇には絶えず穏やかな笑みが浮かんでいた。
光を受けた横顔には、慈愛と威厳が同居していた。
【№1 セラフィナ・クレスト】
【マガツ討伐数:194】
【コードネーム:人類の希望】
「……皆さんの意見はわかりました。」
にこやかに微笑んだまま、セラフィナが口を開いた。
柔らかな声なのに、
議場を満たす空気は一瞬で支配される。
「では――しずくさん?」
不意に呼ばれ、しずくの肩が跳ねた。
「っ、はい……!」
「あなたは、どうしたいのかしら?」
まっすぐな眼差し。にこやかな微笑み。
けれどその裏に、逃げ場のない鋭さを感じてしまう。
「わ、わたしは……」
しずくは唇を噛み、言葉を探した。
「わたしには……荷が重いかと……。」
「ほら見ろ!」
カレンがすかさず声を張り上げ、卓を叩いた。
「本人がこれだ!
やはり、こんな子を仲間に入れるべきじゃ――」
「……いい加減にしなさい。」
冷ややかな声が、カレンの言葉を断ち切った。
銀髪の魔導師、№3のエリスが立ち上がる。
「セラフィナ様の会話を、これ以上遮るなら――私が許しませんよ。」
カレンは一瞬たじろぎ、言葉を失った。
その間も、セラフィナはにこやかな笑みを崩さない。
「できる、できないではなく――」
彼女は柔らかく首を傾げ、問いかける。
「あなたは、どうしたいの?」
しずくの胸に、あの日の記憶が蘇る。
優しく笑った姉の声。
その面影が、涙とともにこみ上げた。
「……わたしは。」
声が震える。
それでも――はっきりと。
「わたしは――るりお姉ちゃんみたいな魔法少女に、なりたいです。」
議場がざわめいた。
「……るり、お姉ちゃん?」
声が飛び交う。
視線が鋭く、驚愕に染まる。
リサが思わず身を乗り出した。
「おい、しずく……お前、まさか――」
エレナが思わず手を口に当てる。
「……真壁るりさんの妹……。」
クラウディアが立ち上がり、蒼い瞳を大きく見開いた。
「信じられない……。
あの伝説に、血を分けた妹がいるというのか?」
ギルベルトは目を細め、指で机をとんとん叩きながら低く笑った。
「なるほどな……。あの“希望の槍”の妹か。
ならば確かに、注目されるわけだ。」
ライラは大声で笑い、椅子の背に拳を打ちつける。
「マジかよ! 真壁るりの妹!?
そりゃ面白え!」
ミラは妖艶な微笑を深め、紫の瞳を細めた。
「……ふふ。なるほど。
だからこそ《白封筒》でも“選ばれた”のかしら。」
カレンは唇を噛みしめ、睨みつける。
「……っ。嘘でしょ。
よりによって……あの人の……」
セラフィナは、にこにこと微笑んだまま手を組んだ。
「なるほど……まさか、るりさんの妹さんだったとは……」
エリナが小さく息を呑む。
「しずく、知らなかったの?
……真壁るりさんは――先代の№1よ。」
「……っ」
しずくの呼吸が止まる。
そのとき。
これまで黙っていた重装鎧のガレスが、ゆっくりと顔を上げる。
「……私は、賛成だ。」
低く響く声が議場に落ちる。
「るりさんには、かつて私も命を救われた。
だから……その妹である彼女を、認めよう。」
セラフィナが頷き、議場を見渡す。
「そうね。
ここにいる人は皆、るりさんに命を助けられているはずだわ。」
その声は柔らかく、にこやかに響く。
けれど、その目は笑っていなかった。
「異論はないわね?」
そして――優しい笑みのまま、カレンへ視線を向ける。
「そうよね? カレン?」
「っ……はい……。」
カレンは悔しさを滲ませながらも、うつむき、声を絞り出した。
セラフィナが小さく手を打つ。
「では、決まりね。」
にこやかな声が、鐘の音のように響く。
「しずくさん。
あなたは今日から――正式に我ら魔法少女として迎え入れるわ。」
――その瞬間、議場の空気が決定的に変わった。
重い沈黙を破ったのは、扉の軋む音だった。
ぎい……と開かれた扉から、一人の女性が現れる。
漆黒のロングジャケットを纏い、銀縁の眼鏡をかけた切れ長の瞳。
背筋はまっすぐで、歩みの一つひとつが冷徹な権威をまとっていた。
十星が一斉に椅子を離れ、頭を垂れる。
「決まったようね。」
女性は低く、それでいてよく通る声で告げた。
「真壁しずくさん――あなたを調べさせてもらったわ。
あなたは、先代№1――真壁るりさんの妹さんね。」
静かな間を置き、彼女は自らを名乗った。
【イザベラ・クロムウェル】
《魔法少女管理局・総監》
「私はイザベラ・クロムウェル。《魔法少女管理局・総監》を務めている者です。」
その目が、鋭くもしずくを射抜く。
「あなたには才能がある。
加入が認められて、本当に良かった。」
ライラが肩をすくめて笑う。
「ははっ! あんたが言えば、誰も逆らえないってのに。」
イザベラは首を横に振り、冷静に答える。
「……あなたたちの意見を尊重したかったの。
だから――このような結果で終われて、よかったわ。」
しずくに視線を戻し、静かに右手を差し出す。
そして表情をわずかに緩め、唇に小さな笑みを浮かべた。
「……歓迎するわ、白い魔法少女さん。」
言葉を継ぎ、議場に響かせる。
「まずはリサの部隊――№2に入ってもらうわ。」
「――任せろ。」
リサが椅子を蹴るように立ち上がり、短く言い切った。
その声には、獣のような確信と闘志が宿っていた。
イザベラは頷き、冷徹な口調を取り戻す。
「まずは基礎を叩き込みなさい。以上――解散。」
重々しい扉が再び開かれ、会議の幕が下りた。
しずくはまだ震える膝を押さえながら、
己の胸に宿る鼓動を必死に聞き取っていた。
朝の空気はまだ冷たく、
しずくはベッドの端に座ったまま、
ぼんやりと窓の外を眺めていた。
その静けさを破るように、
部屋のドアが勢いよく開く。
「おはようございますっ!」
昨日案内をしてくれた、元気な女性職員がにこやかな笑顔で入ってきた。
手には薄型のタブレット端末。
朗らかなその声に、
しずくは思わず身を起こした。
「本日は十星会議がございます!
しずく様は議題に参加予定ですので、ご準備をお願いしますね!」
「えっ、あの……会議って……?」
しずくは思わず聞き返す。
まだ制服すらなじんでいない自分が、なぜ“会議”に呼ばれるのか、訳が分からなかった。
女性職員は、にこにこと微笑みながら説明を始めた。
「はい、会議といっても――特別なやつです!」
「現在、魔法少女は階級制度になっていてですね。
最高ランクには“十星”と呼ばれる№10から№1までの十人の魔法少女がいらっしゃいます」
「その方々が、それぞれの部隊を統括していて、
まさにこのユナイトアークの中核ともいえる存在なんですよ~!」
「そして今日は、その十人全員が集まる十星会議。
その席で、しずく様の“正式な紹介”があるんです!」
「しょ……紹介……?」
「そうです!
しずく様は今、魔法少女として“注目の新人”ですからね。
『白封筒から奇跡が生まれた』って、皆さまもご興味を持たれているようで!」
その言葉に、しずくの喉が詰まる。
――“奇跡”
――“注目”
それは、まるで異物のように彼女の胸に居座る単語だった。
「――ささっ、とにかく行きましょー!!」
女性職員は明るく手を叩き、
しずくの背を軽く押す。
勢いに飲まれるように、
しずくは制服の裾を整えながら立ち上がった。
「えっ、ちょっと、準備が――」
「だいじょーぶですっ、準備はもう完璧に整ってますから!
緊張するかもしれませんけど、
案外みなさん優しいですし!」
彼女は軽やかな足取りで廊下を進んでいく。
しずくは小走りでその後に続いた。
「ちなみに……」
職員が少し声を潜めて、いたずらっぽく振り返る。
「私の一押しは、№2のリサ様なんです~!」
「えっ、リサ……さん?」
「そうです!
あの獣みたいな目、冷たいけどちゃんと見てるっていうか……
あの鋭さがたまらなくて……!
こわいけど、素敵なんですよね~」
ふわっと頬を染める彼女に、
しずくは返事に困って笑ってしまった。
「え、えっと……素敵、なんですか?」
「ええ、すっごく! ……
あ、でもリサ様の前では絶対にそんなこと言わないでくださいね?
絶対!死にますから、私が!」
「う、うん……わかりました……。」
高くそびえる黒鉄の扉。
その前に立つ二人の兵士が、
まるで城門の守護者のように道を塞いだ。
その瞬間、隣にいた職員の女性がぴたりと動きを止めた。
さっきまでの明るさが嘘のように消え、
表情が凛と引き締まる。
背筋を伸ばし、深く頭を下げると、静かに告げた。
「失礼します。しずく様をお連れしました。」
厚い扉の向こうから、低く響く声が返る。
「……入りなさい。」
兵士たちが無言で頷き、
重々しい扉をゆっくりと開ける。
ぎい――、と金属が擦れる音。
しずくは一瞬、足がすくむのを感じた。
それでも――一歩、前へ。
おずおずと議事堂の中へ足を踏み入れ、後ろを振り返る。
そこには、あの女性職員がいた。
顔を少しだけ上げ、口元を引き締めて――、
ぐっとガッツポーズを作って見せる。
その無言のエールに、
しずくは小さく頷いた。
そして――扉が、ゆっくりと閉まる。
世界が変わる音がした。
重々しい扉が閉じられる音が、
心臓の奥まで響いた。
議事堂は広大で、
中央には円卓が据えられている。
頭上には魔素灯が円環を描くように並び、
青白い光が会場を照らしていた。
――十の視線が、
一斉に自分へと注がれる。
足がすくみそうになるのを必死でこらえ、
しずくは円卓の中央に進み出た。
呼吸が浅い。
喉が乾く。
声を出す余裕など、とてもなかった。
そのとき、卓の一角に見知った顔があった。
リサだ。
赤髪を乱暴に後ろへ流し、
鋭い紅の瞳でしずくを射抜いている。
その視線は相変わらず獣のように鋭いが、
彼女が小さく頷いたのを見逃さなかった。
その隣には、エレナ。
金の髪を背に流し、
翠緑の装束に大弓を背負った姿。
彼女は柔らかな笑みを浮かべ、
片目を閉じてウインクを送ってきた。
わずか一瞬の仕草。
それだけで、
しずくの硬直した肩が少しだけ緩んだ。
そのとき、卓の一角で椅子が軋む。
赤髪を無造作に刈り込み、
鋭い紅の瞳が獣の光を宿す女剣士が立ち上がった。
戦場をくぐり抜けて擦り切れた黒マントは、
まるで彼女の生き様そのものだった。
【№2 リサ・ヴァレンタイン】
【マガツ討伐数:52】
【コードネーム:紅刃の獣】
「――今回集まってもらったのは、ほかでもねえ。」
腰の大剣に手を添え、リサは低く言い放つ。
「“白封筒”から魔法少女が現れた。しずくだ。
こいつを俺の隊に入れる。……文句ある奴は言え。」
「ふざけるな!」
鋭い声が会場を裂く。
蒼銀の長髪を後ろに束ね、
金の刺繍を施した紺碧の軍装を纏う女が、剣のように背筋を伸ばして立ち上がった。
その冷たい蒼眼は、しずくを容赦なく切り裂く。
【№4 クラウディア・フォン・ノルデン】
【マガツ討伐数:36】
【コードネーム:氷の騎士】
「白封筒の下民を魔法少女に入れていいはずがない!
それは制度そのものの冒涜だ!」
リサが睨み返す。
「こいつは初出撃で魔法を使い、災厄体を倒している。
それだけで十分証明になるだろうが。」
その応酬を和らげるように、柔らかい声が響いた。
金糸のような長髪を背に垂らし、
深緑の狩人装束に身を包んだ女が立ち上がる。
背の大弓が静かに光を受けて輝いた。
【№6 エレナ・フォルティス】
【マガツ討伐数:39】
【コードネーム:翠弓の守護者】
「……私も、それは保証します。
しずくには力がある。それを、私の目で確かに見ました。」
しかしクラウディアは食い下がる。
「力があれば良いというものではない!
規律が乱れれば、いずれ崩壊を招く!」
その言葉を遮るように、低く響く声が落ちた。
整然とした濃紺の将校服に、きっちり撫でつけられた金髪。
腰には磨き抜かれた軍用拳銃。
冷たい黒の瞳が規律そのものを体現していた。
【№5 ギルベルト・シュトラール】
【マガツ討伐数:34】
【コードネーム:鋼鉄の軍律】
「規律は絶対だ。
私も“白封筒”を魔法少女に入れるのは反対だ。
組織とは秩序。
例外を認めた瞬間、それは瓦解する。」
議場に冷たい重みが落ちる。
だが、エレナは微笑を崩さず言葉を返した。
「それでも、私はリサの意見に賛成します。
この子には――力があります。
そして、その力は人類に必要です。」
その緊張を、豪快な笑いが吹き飛ばした。
鮮やかな青髪を刈り上げ、火傷痕の残る腕を組んだ女。
肩を露出した革鎧の上に煤けたマントを羽織り、
拳には青い炎がほのかに揺れていた。
【№7 ライラ・ブレイズ】
【マガツ討伐数:25】
【コードネーム:蒼炎の拳】
「でもさぁ!
人材不足なんだし、戦えそうな奴は入れるべきじゃね?
“奇跡”だろうが“下民”だろうが、勝てりゃそれでいい!」
「……まったく、あなたは。」
黒いベールを肩から垂らし、
妖艶な紫のドレスを纏った女が、顎に指を当てて嘲笑する。
【№8 ミラ・ヴェイル】
【マガツ討伐数:27】
【コードネーム:夜影の抱擁】
「そんな単純な話じゃないのよ、ライラ。
あなたはいつも“火事場”のことしか考えてない。」
ひやりとした空気が再び広がる。
ライラが欠伸をして片手をひらひら振った。
「ふーん、そんなもんなのか。
じゃあ――ガレスはどう思うんだ?」
その視線を受け、
黒鉄の甲冑に包まれた巨躯の女が、ゆっくりと顔を上げた。
背には己の身長を超える巨大な戦斧。
刃は幾度もマガツを両断してきた傷で刻まれ、鈍い光を放っている。
赤銅色の三つ編みが胸に垂れ、琥珀の瞳が静かに光った。
【№9 ガレス・アイアンハート】
【マガツ討伐数:34】
【コードネーム:戦斧の豪盾】
「……まだ、わからない。
戦場でどう役立つか――それを見てからだ。」
その無骨な答えに、場が一瞬沈黙した。
議場に沈黙が流れた、その時――。
――ドンッ!
卓を叩く激しい音が響き渡る。
「ふざけないでいただきたい!!」
漆黒の髪をきつく後ろで束ね、切れ長の瞳を燃やす若い女が立ち上がった。
肩にはマントを羽織り、その重みを背負うかのように全身を震わせている。
【№10 カレン・シュナイダー】
【マガツ討伐数:12】
【コードネーム:黒き継承者】
「こいつは!
我らが№10先代――セレス様を殺した張本人ですよ!!
こんなのを仲間に入れろというのですか!!」
しずくの胸を、刃で突き刺すような言葉。
呼吸が詰まり、視界が揺れる。
全員の視線が、
自分を断罪するための槍のように突き刺さってくる――。
「おい、それは違う!」
リサが声を荒げる。
「セレスは災厄体にやられたんだろうが!」
「ちがいます!!」
カレンの声は震え、それでも折れない。
「セレス様は災厄体の攻撃なんか防げたはずです!
あのゴミみたいなエクリプスを守ろうとしたから死んだんです!
つまり――こいつが殺したも同然!」
その瞬間、卓の向こうからギルベルトの冷鋭な声が響いた。
「……訂正しろ。」
腰に下げた軍用拳銃に手を添え、瞳を光らせる。
軍靴の踵が床を叩き、議場全体が緊張に縛られる。
「エクリプスを“ゴミ”だと? 違う。
彼女たちは戦場を支える歯車であり、
寸分違わぬ動きで前線を成立させる刃だ。
欠ければ戦術は崩壊する。
理解もせずに口にするな。」
「っ……! でも、あんな連中いなくたって――!」
カレンはなおも食い下がろうとする。
だが――。
「……静かになさい。」
冷徹な声が、カレンの言葉を断ち切った。
整えられた銀髪が肩のあたりで静かに揺れる。
その端正な横顔は、まるで陶器のように整っていた。
だが――彼女の目元には、白い包帯が巻かれている。
視線は見えないはずなのに、
彼女の一言が放つ威圧感は、場の空気を一瞬で凍らせるほどだった。
【№3 エリス・ハウンド】
【マガツ討伐数:49】
【コードネーム:黒耀の魔導】
「重要なのは、セラフィナ様の意見です。
あなたたちの感情など、この会議には不要。」
再び、議場が静まり返る。
視線が、一斉に卓の最奥へと向けられた。
白銀の長髪が瀑布のように流れ、
純白の法衣を纏う女がゆるやかに立ち上がった。
その姿はまるで聖像画の天使。
だが、凛とした輪郭をやわらげるように、
彼女の唇には絶えず穏やかな笑みが浮かんでいた。
光を受けた横顔には、慈愛と威厳が同居していた。
【№1 セラフィナ・クレスト】
【マガツ討伐数:194】
【コードネーム:人類の希望】
「……皆さんの意見はわかりました。」
にこやかに微笑んだまま、セラフィナが口を開いた。
柔らかな声なのに、
議場を満たす空気は一瞬で支配される。
「では――しずくさん?」
不意に呼ばれ、しずくの肩が跳ねた。
「っ、はい……!」
「あなたは、どうしたいのかしら?」
まっすぐな眼差し。にこやかな微笑み。
けれどその裏に、逃げ場のない鋭さを感じてしまう。
「わ、わたしは……」
しずくは唇を噛み、言葉を探した。
「わたしには……荷が重いかと……。」
「ほら見ろ!」
カレンがすかさず声を張り上げ、卓を叩いた。
「本人がこれだ!
やはり、こんな子を仲間に入れるべきじゃ――」
「……いい加減にしなさい。」
冷ややかな声が、カレンの言葉を断ち切った。
銀髪の魔導師、№3のエリスが立ち上がる。
「セラフィナ様の会話を、これ以上遮るなら――私が許しませんよ。」
カレンは一瞬たじろぎ、言葉を失った。
その間も、セラフィナはにこやかな笑みを崩さない。
「できる、できないではなく――」
彼女は柔らかく首を傾げ、問いかける。
「あなたは、どうしたいの?」
しずくの胸に、あの日の記憶が蘇る。
優しく笑った姉の声。
その面影が、涙とともにこみ上げた。
「……わたしは。」
声が震える。
それでも――はっきりと。
「わたしは――るりお姉ちゃんみたいな魔法少女に、なりたいです。」
議場がざわめいた。
「……るり、お姉ちゃん?」
声が飛び交う。
視線が鋭く、驚愕に染まる。
リサが思わず身を乗り出した。
「おい、しずく……お前、まさか――」
エレナが思わず手を口に当てる。
「……真壁るりさんの妹……。」
クラウディアが立ち上がり、蒼い瞳を大きく見開いた。
「信じられない……。
あの伝説に、血を分けた妹がいるというのか?」
ギルベルトは目を細め、指で机をとんとん叩きながら低く笑った。
「なるほどな……。あの“希望の槍”の妹か。
ならば確かに、注目されるわけだ。」
ライラは大声で笑い、椅子の背に拳を打ちつける。
「マジかよ! 真壁るりの妹!?
そりゃ面白え!」
ミラは妖艶な微笑を深め、紫の瞳を細めた。
「……ふふ。なるほど。
だからこそ《白封筒》でも“選ばれた”のかしら。」
カレンは唇を噛みしめ、睨みつける。
「……っ。嘘でしょ。
よりによって……あの人の……」
セラフィナは、にこにこと微笑んだまま手を組んだ。
「なるほど……まさか、るりさんの妹さんだったとは……」
エリナが小さく息を呑む。
「しずく、知らなかったの?
……真壁るりさんは――先代の№1よ。」
「……っ」
しずくの呼吸が止まる。
そのとき。
これまで黙っていた重装鎧のガレスが、ゆっくりと顔を上げる。
「……私は、賛成だ。」
低く響く声が議場に落ちる。
「るりさんには、かつて私も命を救われた。
だから……その妹である彼女を、認めよう。」
セラフィナが頷き、議場を見渡す。
「そうね。
ここにいる人は皆、るりさんに命を助けられているはずだわ。」
その声は柔らかく、にこやかに響く。
けれど、その目は笑っていなかった。
「異論はないわね?」
そして――優しい笑みのまま、カレンへ視線を向ける。
「そうよね? カレン?」
「っ……はい……。」
カレンは悔しさを滲ませながらも、うつむき、声を絞り出した。
セラフィナが小さく手を打つ。
「では、決まりね。」
にこやかな声が、鐘の音のように響く。
「しずくさん。
あなたは今日から――正式に我ら魔法少女として迎え入れるわ。」
――その瞬間、議場の空気が決定的に変わった。
重い沈黙を破ったのは、扉の軋む音だった。
ぎい……と開かれた扉から、一人の女性が現れる。
漆黒のロングジャケットを纏い、銀縁の眼鏡をかけた切れ長の瞳。
背筋はまっすぐで、歩みの一つひとつが冷徹な権威をまとっていた。
十星が一斉に椅子を離れ、頭を垂れる。
「決まったようね。」
女性は低く、それでいてよく通る声で告げた。
「真壁しずくさん――あなたを調べさせてもらったわ。
あなたは、先代№1――真壁るりさんの妹さんね。」
静かな間を置き、彼女は自らを名乗った。
【イザベラ・クロムウェル】
《魔法少女管理局・総監》
「私はイザベラ・クロムウェル。《魔法少女管理局・総監》を務めている者です。」
その目が、鋭くもしずくを射抜く。
「あなたには才能がある。
加入が認められて、本当に良かった。」
ライラが肩をすくめて笑う。
「ははっ! あんたが言えば、誰も逆らえないってのに。」
イザベラは首を横に振り、冷静に答える。
「……あなたたちの意見を尊重したかったの。
だから――このような結果で終われて、よかったわ。」
しずくに視線を戻し、静かに右手を差し出す。
そして表情をわずかに緩め、唇に小さな笑みを浮かべた。
「……歓迎するわ、白い魔法少女さん。」
言葉を継ぎ、議場に響かせる。
「まずはリサの部隊――№2に入ってもらうわ。」
「――任せろ。」
リサが椅子を蹴るように立ち上がり、短く言い切った。
その声には、獣のような確信と闘志が宿っていた。
イザベラは頷き、冷徹な口調を取り戻す。
「まずは基礎を叩き込みなさい。以上――解散。」
重々しい扉が再び開かれ、会議の幕が下りた。
しずくはまだ震える膝を押さえながら、
己の胸に宿る鼓動を必死に聞き取っていた。
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