レベル1の最強転生者 ~勇者パーティーを追放された錬金鍛冶師は、スキルで武器が作り放題なので、盾使いの竜姫と最強の無双神器を作ることにした~

サイダーボウイ

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2章

第7話

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 一度中央広場を離れて多くの商店が連なるマーケットへと足を向けると、俺は防具屋で【戦士の服】と【グレートコート】を購入した。

 続けてある店の前で立ち止まる。

「酒場ですか? マスターはお酒を購入されるのですか?」

「そういうわけじゃない」

 なにもエールを飲んで現実逃避がしたかったわけじゃない。
 ここへ来たのはある目的があったからだ。

「悪いが少しだけここで待っていてくれ」

 店の前でナズナを待たせると、俺は1人で中へ入る。

 酒場に一歩足を踏み入れた瞬間、果実酒の鋭い匂いが鼻をくすぐった。
 中にはまだ誰も客はおらず、俺が入って来るのに気付くとカウンターから店主が出てきた。

「いらっしゃい。あんた、冒険者かい?」

「いやこれから冒険者になる予定の者だ」

「へぇ、新人さんかい。こんな朝早くから酒とはあんたも粋だねぇ。今回は特別にサービスするよ、何にする?」

「すまん。今日は酒を飲みに来たわけじゃないんだ」

「? じゃあ何しに来たんだ?」

「空の大きな樽がほしいんだが、購入することはできるか?」

「樽ならうちには山ほどあるけど……。そんな物一体何に使うんだ?」



 それから俺は【大樽】を抱えたまま酒場を後にした。
 ラッキーなことに店主からタダで貰ってしまった。

「マスター。そんなものどうされるのですか?」

 ナズナは俺が抱えたものを見て大きな瞳をぱちくりとさせていた。
 まさか樽を持って戻ってくるとは思っていなかったんだろう。

「ちょっとな。あと一軒周りたいからついて来てくれるか?」



 ◇◇◇



 次に俺が向かったのは酒場の近くにある貸馬車屋だった。
 そこでも俺は御者にお願いをしてあるものを譲り受けた。

「今度は【壊れた両輪】ですね。一体これから何をされるんでしょう?」

「まあ見ていてくれ」

「?」

 あいかわらずナズナは不思議そうな顔を浮かべている。

 そりゃそうか。
 急いでユリウス大森林へ向かわないといけないのに、悠長にガラクタを集めて回っているわけだからな。

 もちろんこれらのものを手に入れたのには理由があった。

 ナズナを連れて街の入口から外に出ると、俺は魔法袋の中から【大樽】と【壊れた両輪】を取り出して草地の上に置いた。

 そこでようやくナズナは納得したように手をぽんと叩く。

「分かりました、マスター。乗り物を作ろうとされているのではないでしょうか?」

「さすがナズナ。正解だ」

 火賀美のために【エリクサー】を作ることができて、俺は自分のスキルに少し自信が持てていた。
 《調薬》を開花させて万能薬を作ることができたわけだから、乗り物や道具だって作ることができるんじゃないかって思ったわけだ。

 【大樽】と【壊れた両輪】に手をかざすと、いつものようにアイテムに宿ったマナが一つに集まるように意識を強く集中させる。

 組み合わさったマナが循環するようにイメージを膨らませた瞬間。
 二つの素材は輝きを持って光り始めた。

 やがてそれは一つに姿を変えていく。

 その刹那。
 脳内にアナウンスが響き渡った。 

 『アイテムの構築に成功しました。』
 『固有スキル《錬成大工》が覚醒しました。』

 思った通りだ。
 新たなスキルが覚醒したぞ。

(《錬成大工》か。今後は道具も何か作れそうだな)

 俺たちの目の前に大きな樽を車体ボディとした両輪付きの乗り物が完成した。
 とりあえず、ホバーバレルとでも名付けておこうか。

「すごいです、マスター。本当に乗り物を作ってしまいました」

「2人ならギリギリで乗れそうだな」

「はい。ですがこれってちゃんと動くのでしょうか?」

「いやこのままだとまだ無理だ」

 今はまだ器を完成させただけに過ぎない。
 乗り物を駆動させるにはやはりマナが必要だ。

(こういう時のためのこれか)

 続けて俺は魔法袋の中から【疾風の羽】を取り出す。
 これは水明山を登っている時に拾ったアイテムだ。

 こいつに宿ったマナを動力源として与える。

「少し離れてくれ」

 ナズナを一度下がらせると、俺は【疾風の羽】を手に持って《マナ分解》を行う。
 取り出したマナをホバーバレルへ付与するようにイメージを膨らませたら、目の前の乗り物は輝きのオーラを身に纏った。

 よし、マナを与えることに成功したぞ。

「これで動くようになったんでしょうか?」

「ああ。おそらく馬車よりも速く移動できるはずだ。俺が前で運転するからナズナは後ろに乗ってくれ」

「了解しました。マスター」

 俺たちは光のオーラを纏ったホバーバレルにまたがる。
 決して乗り心地はいいと言えなかったが駆動力に関しては問題ないはず。

「行くぞ。途中で振り落とされないように俺にしっかりと掴まれ」

「は、はい……」

 少し緊張気味にナズナが俺の腰に両手を回してくる。
 その瞬間、二つの柔らかい膨らみが背中に強く押し当てられるが、今はそんなことに気を取られている余裕はない。

 ナズナがきちんと掴まったのを確認すると、俺はホバーバレルを駆動させた。

 シュルルルルルーーーン!!

 想定していた以上の速さでホバーバレルは平原を駆け抜けていく。
 これなら相当早くユリウス大森林に到着するに違いない。

 俺はそんな確信を抱きつつ、クランベリー辺境伯領を目指した。
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