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2章
第6話
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翌朝。
バルハラの宿屋で一泊してから俺とナズナは再度冒険者ギルドを訪ねてみた。
「エルハルト様。昨日はうちの職員が無礼を働いてしまったようで大変申し訳ございませんでした」
受付カウンターに顔を出すと、チーフらしき中年の男職員に深々と頭を下げられる。
「測定の際にあの巨大水晶が壊れたということは、エルハルト様は規格外の能力をお持ちだということです。どうぞ、我がギルドの冒険者試験をお受けください」
規格外の能力なんて言われても俺はレベル1だしまったく実感はなかったが、どうやらそういうことらしい。
(たしか前世で水晶を壊した時もそんなことを言われたな)
このギルドの長い歴史の中で、俺とディーネの2人だけが測定不能になったっていう話だ。
「エルハルト様には難易度の高い実技試験をご用意させていただきました」
「いや、普通でいいんだが」
「ご安心ください。エルハルト様ほどの御方ならすぐに突破できてしまうような内容です。それにこの冒険者試験をクリアしていただきますと、昨日の水晶の件もありますので、エルハルト様は即座にAランク冒険者に認定させていただきます。これでいかがでしょうか?」
冒険者は高ランクほどレベルの高いクエストが受注できるようになる。
Aランク冒険者って言ったらそのギルドを代表する顔みたいなものだ。
かなりの好条件と言えるぞ。
(受けない手はないか)
結局、俺は男職員にその難易度で受けたいと伝えた。
実技試験の内容を聞くと、俺はナズナと一緒にすぐにギルドを後にする。
◇◇◇
「マスター、よかったですね。この試験を突破することができれば、いきなりAランク冒険者からのスタートです」
「そうだな。だが、問題は試験をきちんとクリアできるかどうかだ」
「? マスターでしたら簡単にこなせる内容かと思ったんですけど」
たしかに試験自体はそこまで難しいとは感じなかった。
ユリウス大森林に棲息するラギアクルガっていう希少種の魔物を30体狩って日没までにギルドへ戻って来ること。
これが今回の冒険者試験の内容だ。
(希少種だとしてもナズナの《天竜眼》があれば簡単に見つけられるはずだ)
その点については特に心配していない。
問題はそのユリウス大森林までの距離にあった。
(さっき地図を開いて確認してみたが、けっこう距離があったな)
ユリウス大森林はアレンディオ伯爵領の隣領であるクランベリー辺境伯領に存在する。
徒歩で向かって日没までに帰って来られるような場所にはなかった。
ドラゴン神殿があった荒野までは離れていないにしろ、徒歩で向かうっていう選択肢は俺の中にはなかった。
「なるほど。距離の問題があるのですね」
「ナズナ。ちょっと聞きたいんだが、たとえばあの上位竜の姿に戻ってユリウス大森林まで俺を運ぶなんてことは可能だったりするのか?」
「申し訳ありません、マスター。私はマスターと主従契約を結んだ関係で今は竜の姿に戻ることはできないんです。私はマスターの序列一位の従者ですから。従者は契約した主様の姿に引っ張られてしまうのです。なので、今の私は完全に人族なんです」
「そうか」
これまで竜の姿にならなかったのはそういうことだったのか。
戻らないんじゃなくて戻れなかったんだ。
それにこれまで竜族だってバレることがなかった理由も分かった。
今は完全に人族になりきっているんだな。
「仮にあの姿に戻ったとしてもかなり目立ちます。今のこの時代にドラゴンが空を飛んでいたらすぐに目がつくと思いますし」
「どのみち無理ってことか」
ナズナに頼る線はこれで消えた。
もちろん、このまま諦めるわけにもいかない。
(今回試験を達成できなかったら、バルハラのギルドじゃ冒険者登録することができなくなる)
噂っていうのは自然と広まるもんだ。
水晶をぶっ壊したくせに冒険者試験もまともに突破できなかったっていうなら、たとえ他領の冒険者ギルドへ行っても門前払いされる可能性が高い。
仲間意識が強い場所だからこそ、こういう部分はわりとシビアだったりする。
つまり最初が肝心なわけだ。
「いかがいたしましょうか? 馬車を使って向かいますか?」
「多分、馬車を使っても日没までには行って帰って来られないかな」
とすれば残る選択肢は一つしかない。
「ナズナ。出発前に少し寄りたいところがあるんだがいいか?」
「はいもちろんです。同行いたします」
バルハラの宿屋で一泊してから俺とナズナは再度冒険者ギルドを訪ねてみた。
「エルハルト様。昨日はうちの職員が無礼を働いてしまったようで大変申し訳ございませんでした」
受付カウンターに顔を出すと、チーフらしき中年の男職員に深々と頭を下げられる。
「測定の際にあの巨大水晶が壊れたということは、エルハルト様は規格外の能力をお持ちだということです。どうぞ、我がギルドの冒険者試験をお受けください」
規格外の能力なんて言われても俺はレベル1だしまったく実感はなかったが、どうやらそういうことらしい。
(たしか前世で水晶を壊した時もそんなことを言われたな)
このギルドの長い歴史の中で、俺とディーネの2人だけが測定不能になったっていう話だ。
「エルハルト様には難易度の高い実技試験をご用意させていただきました」
「いや、普通でいいんだが」
「ご安心ください。エルハルト様ほどの御方ならすぐに突破できてしまうような内容です。それにこの冒険者試験をクリアしていただきますと、昨日の水晶の件もありますので、エルハルト様は即座にAランク冒険者に認定させていただきます。これでいかがでしょうか?」
冒険者は高ランクほどレベルの高いクエストが受注できるようになる。
Aランク冒険者って言ったらそのギルドを代表する顔みたいなものだ。
かなりの好条件と言えるぞ。
(受けない手はないか)
結局、俺は男職員にその難易度で受けたいと伝えた。
実技試験の内容を聞くと、俺はナズナと一緒にすぐにギルドを後にする。
◇◇◇
「マスター、よかったですね。この試験を突破することができれば、いきなりAランク冒険者からのスタートです」
「そうだな。だが、問題は試験をきちんとクリアできるかどうかだ」
「? マスターでしたら簡単にこなせる内容かと思ったんですけど」
たしかに試験自体はそこまで難しいとは感じなかった。
ユリウス大森林に棲息するラギアクルガっていう希少種の魔物を30体狩って日没までにギルドへ戻って来ること。
これが今回の冒険者試験の内容だ。
(希少種だとしてもナズナの《天竜眼》があれば簡単に見つけられるはずだ)
その点については特に心配していない。
問題はそのユリウス大森林までの距離にあった。
(さっき地図を開いて確認してみたが、けっこう距離があったな)
ユリウス大森林はアレンディオ伯爵領の隣領であるクランベリー辺境伯領に存在する。
徒歩で向かって日没までに帰って来られるような場所にはなかった。
ドラゴン神殿があった荒野までは離れていないにしろ、徒歩で向かうっていう選択肢は俺の中にはなかった。
「なるほど。距離の問題があるのですね」
「ナズナ。ちょっと聞きたいんだが、たとえばあの上位竜の姿に戻ってユリウス大森林まで俺を運ぶなんてことは可能だったりするのか?」
「申し訳ありません、マスター。私はマスターと主従契約を結んだ関係で今は竜の姿に戻ることはできないんです。私はマスターの序列一位の従者ですから。従者は契約した主様の姿に引っ張られてしまうのです。なので、今の私は完全に人族なんです」
「そうか」
これまで竜の姿にならなかったのはそういうことだったのか。
戻らないんじゃなくて戻れなかったんだ。
それにこれまで竜族だってバレることがなかった理由も分かった。
今は完全に人族になりきっているんだな。
「仮にあの姿に戻ったとしてもかなり目立ちます。今のこの時代にドラゴンが空を飛んでいたらすぐに目がつくと思いますし」
「どのみち無理ってことか」
ナズナに頼る線はこれで消えた。
もちろん、このまま諦めるわけにもいかない。
(今回試験を達成できなかったら、バルハラのギルドじゃ冒険者登録することができなくなる)
噂っていうのは自然と広まるもんだ。
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仲間意識が強い場所だからこそ、こういう部分はわりとシビアだったりする。
つまり最初が肝心なわけだ。
「いかがいたしましょうか? 馬車を使って向かいますか?」
「多分、馬車を使っても日没までには行って帰って来られないかな」
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「はいもちろんです。同行いたします」
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