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2章
第11話
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なるほど。
なかなか使えそうな必殺技だ。
複合的な要素を上手く組み合わせれば、大きなダメージを与えることができるかもしれない。
(近距離ほど威力を発揮するのか。だったらなるべく近付いてから繰り出した方がいいな)
基本的に斧の命中率は低い。
けれど、必殺技を使うたびに命中率が上がるならその心配はなくなる。
(それに〔超会心〕のアビリティ付きだ)
上手くはまればとんでもないダメージを叩き出すことができるはず。
頭の中で敵を倒すシュミレーションをしたちょうどその時。
ベルセルクオーディンはこちらに突撃を仕掛けてきた。
「シュロロロロ!」
騎馬を上手く操りつつ、鎧亡霊の魔物は鋭い槍を前方に構える。
開けた草地の中を全速力で駆け抜けて一直線に俺へと向かって来た。
俺も応戦の構えに入る。
【羅刹鬼鉄丸】を振り上げていつでも対処できる姿勢を作った。
(ギリギリまで相手を引きつけるんだ。そこで迎え撃つ)
たとえ一発目が当たらなくても構わない。
必殺技は繰り出すたびに命中率が上がっていくからだ。
上限回数に達するまでの間に決着をつければそれでいい。
だが、そんな俺の考えに反してベルセルクオーディンは予想外の行動に出てくる。
まだ互いの距離が十分に縮まっていない段階で最初の攻撃を仕掛けてきたのだ。
「シュロロロロ~~!」
相手が槍を素早く振り抜くと、紫電を帯びた双頭の衝撃波がこちらに向かって高速で飛んでくる。
タイミング的に回避は難しいかもしれない。
とっさにそう判断した俺は、振りかぶった【羅刹鬼鉄丸】を思いっきり前方に叩きつけていた。
「〈シャドウギロチン〉」
すると広範囲に渡って爆裂した閃光が壁の代わりとなってくれる。
見事に敵の攻撃を相殺することに成功した。
(こいつはなかなか使えるぞ)
俺は【羅刹鬼鉄丸】の必殺技に手応えを感じていた。
もちろんこんな攻撃を見せたところで怯むような相手じゃないってことは分かっている。
ディーネがあんな姿になるまで翻弄した相手なんだ。
警戒を怠ってはいけない。
ベルセルクオーディンは俺の必殺技を見て一瞬歩みを止めるも、すぐに突撃を再開させてきた。
今はナズナが傍にいないから一発でも攻撃を受けたらそれでおしまいだ。
即死は免れないだろう。
そうならないためにも俺は即座に次の一手を考える。
(このまま相手が近付いて来るのを待っているのは危険かもな)
攻撃は最大の防御とも言う。
ならばこちらから先に仕掛けてもいいかもしれない。
斧頭の重心を低くして【羅刹鬼鉄丸】を両手で持つと、腰を落として柄に力を込めていく。
まだ必殺技はいくつか放つ余裕がある。
(当たらなくてもいいんだ。今は数を撃ち込むことだけを考えろ)
全速力で向かって来るベルセルクオーディンが俺の射線上に入ったその瞬間。
「〈シャドウギロチン〉」
俺は大斧を素早く振り上げて必殺技を繰り出した。
爆裂した閃光はそのまま相手の体をかすめて飛んでいく。
あと少しで直撃コースだった。
(次だ。次で確実に当ててやる)
ベルセルクオーディンが寸前のところまで迫って来ていたが、俺は冷静さを失わなかった。
瞬時に【羅刹鬼鉄丸】をもとの位置まで戻すと次の攻撃の準備に入る。
当然、敵も黙っちゃいない。
「シュロロロロ!」
勢いよく駆け出す騎馬を器用に操りながら、片手で槍の刃先をこちらに向けていた。
あの体勢……。
先程とは違った攻撃を繰り出してくる可能性があった。
だが。
俺が三度目の必殺技を放つ方が寸秒早かった。
〔超会心〕のアビリティ・近距離での攻撃・命中率の上昇と条件はすべて揃っている。
「〈シャドウギロチン〉」
【羅刹鬼鉄丸】を全力で振り上げると、迫り来るベルセルクオーディンの体に必殺技が命中する。
今度こそ直撃だった。
しかし。
「シュロロロロ~~!」
ベルセルクオーディンは煙幕を振り払いながら爆裂した閃光の中から飛び出してくる。
それも何事もなかったかのように。
すれ違いざまに振り下ろしてくる槍による攻撃をギリギリのところで回避すると、俺は後方に下がって相手との間合いを取った。
敵は一度旋回しながら次の攻撃を仕掛ける準備に入ったようだ。
その間に俺は考える。
(攻撃が当たらなかったのか?)
いや違う。
間違いなく直撃したはずだ。
(ジャイアントメタルワームみたいに物理攻撃が効かないのかもな)
とすると、またナズナのスキルが必要だ。
そんなことを考えていると相手はすぐさま反撃を仕掛けてきた。
騎馬を高速で走らせながら、漆黒の鎧を身につけた亡霊が鋼の槍を高く掲げながら迫ってくる。
その刹那。
上空から巨大な雷が刃先に向かって一直線に降りるのが分かった。
(まさか……こいつが爆音の正体か?)
ベルセルクオーディンは火花と紫電が渦巻く槍の刃先を前方に向けてくる。
俺に放つ気だ。
とっさに【羅刹鬼鉄丸】を構えて〈シャドウギロチン〉を繰り出そうとするが、相殺できそうなタイミングじゃなかった。
敵が槍を振り払ったその瞬間。
バッゴゴゴーーーン!!
爆音とともに目の前の景色がピカーンと激しく光る。
死すらも覚悟した俺だったが……。
なかなか使えそうな必殺技だ。
複合的な要素を上手く組み合わせれば、大きなダメージを与えることができるかもしれない。
(近距離ほど威力を発揮するのか。だったらなるべく近付いてから繰り出した方がいいな)
基本的に斧の命中率は低い。
けれど、必殺技を使うたびに命中率が上がるならその心配はなくなる。
(それに〔超会心〕のアビリティ付きだ)
上手くはまればとんでもないダメージを叩き出すことができるはず。
頭の中で敵を倒すシュミレーションをしたちょうどその時。
ベルセルクオーディンはこちらに突撃を仕掛けてきた。
「シュロロロロ!」
騎馬を上手く操りつつ、鎧亡霊の魔物は鋭い槍を前方に構える。
開けた草地の中を全速力で駆け抜けて一直線に俺へと向かって来た。
俺も応戦の構えに入る。
【羅刹鬼鉄丸】を振り上げていつでも対処できる姿勢を作った。
(ギリギリまで相手を引きつけるんだ。そこで迎え撃つ)
たとえ一発目が当たらなくても構わない。
必殺技は繰り出すたびに命中率が上がっていくからだ。
上限回数に達するまでの間に決着をつければそれでいい。
だが、そんな俺の考えに反してベルセルクオーディンは予想外の行動に出てくる。
まだ互いの距離が十分に縮まっていない段階で最初の攻撃を仕掛けてきたのだ。
「シュロロロロ~~!」
相手が槍を素早く振り抜くと、紫電を帯びた双頭の衝撃波がこちらに向かって高速で飛んでくる。
タイミング的に回避は難しいかもしれない。
とっさにそう判断した俺は、振りかぶった【羅刹鬼鉄丸】を思いっきり前方に叩きつけていた。
「〈シャドウギロチン〉」
すると広範囲に渡って爆裂した閃光が壁の代わりとなってくれる。
見事に敵の攻撃を相殺することに成功した。
(こいつはなかなか使えるぞ)
俺は【羅刹鬼鉄丸】の必殺技に手応えを感じていた。
もちろんこんな攻撃を見せたところで怯むような相手じゃないってことは分かっている。
ディーネがあんな姿になるまで翻弄した相手なんだ。
警戒を怠ってはいけない。
ベルセルクオーディンは俺の必殺技を見て一瞬歩みを止めるも、すぐに突撃を再開させてきた。
今はナズナが傍にいないから一発でも攻撃を受けたらそれでおしまいだ。
即死は免れないだろう。
そうならないためにも俺は即座に次の一手を考える。
(このまま相手が近付いて来るのを待っているのは危険かもな)
攻撃は最大の防御とも言う。
ならばこちらから先に仕掛けてもいいかもしれない。
斧頭の重心を低くして【羅刹鬼鉄丸】を両手で持つと、腰を落として柄に力を込めていく。
まだ必殺技はいくつか放つ余裕がある。
(当たらなくてもいいんだ。今は数を撃ち込むことだけを考えろ)
全速力で向かって来るベルセルクオーディンが俺の射線上に入ったその瞬間。
「〈シャドウギロチン〉」
俺は大斧を素早く振り上げて必殺技を繰り出した。
爆裂した閃光はそのまま相手の体をかすめて飛んでいく。
あと少しで直撃コースだった。
(次だ。次で確実に当ててやる)
ベルセルクオーディンが寸前のところまで迫って来ていたが、俺は冷静さを失わなかった。
瞬時に【羅刹鬼鉄丸】をもとの位置まで戻すと次の攻撃の準備に入る。
当然、敵も黙っちゃいない。
「シュロロロロ!」
勢いよく駆け出す騎馬を器用に操りながら、片手で槍の刃先をこちらに向けていた。
あの体勢……。
先程とは違った攻撃を繰り出してくる可能性があった。
だが。
俺が三度目の必殺技を放つ方が寸秒早かった。
〔超会心〕のアビリティ・近距離での攻撃・命中率の上昇と条件はすべて揃っている。
「〈シャドウギロチン〉」
【羅刹鬼鉄丸】を全力で振り上げると、迫り来るベルセルクオーディンの体に必殺技が命中する。
今度こそ直撃だった。
しかし。
「シュロロロロ~~!」
ベルセルクオーディンは煙幕を振り払いながら爆裂した閃光の中から飛び出してくる。
それも何事もなかったかのように。
すれ違いざまに振り下ろしてくる槍による攻撃をギリギリのところで回避すると、俺は後方に下がって相手との間合いを取った。
敵は一度旋回しながら次の攻撃を仕掛ける準備に入ったようだ。
その間に俺は考える。
(攻撃が当たらなかったのか?)
いや違う。
間違いなく直撃したはずだ。
(ジャイアントメタルワームみたいに物理攻撃が効かないのかもな)
とすると、またナズナのスキルが必要だ。
そんなことを考えていると相手はすぐさま反撃を仕掛けてきた。
騎馬を高速で走らせながら、漆黒の鎧を身につけた亡霊が鋼の槍を高く掲げながら迫ってくる。
その刹那。
上空から巨大な雷が刃先に向かって一直線に降りるのが分かった。
(まさか……こいつが爆音の正体か?)
ベルセルクオーディンは火花と紫電が渦巻く槍の刃先を前方に向けてくる。
俺に放つ気だ。
とっさに【羅刹鬼鉄丸】を構えて〈シャドウギロチン〉を繰り出そうとするが、相殺できそうなタイミングじゃなかった。
敵が槍を振り払ったその瞬間。
バッゴゴゴーーーン!!
爆音とともに目の前の景色がピカーンと激しく光る。
死すらも覚悟した俺だったが……。
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