ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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同意した?私が!?

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あれっ?ちょっと待って、大事なこと聞かなきゃ、
先に進めないよね。

「でも、アトラン国が海の底に沈んだことと私、
どう関係があるの?」

「そうね、その説明がまだだったわね。
その前に話したおかなければいけないことがあるから、
聞いてくれる?」

「もちろん♪」

「アトラン国が海の底に沈んだ時、
私と一部の人は水柱に運ばれて宇宙に行き、
アトランという惑星になったってところまでは良いわね?

この水柱は、ポセイドン王が創ったものなの。
でもね、宇宙に行って惑星になったのは、
私たちだけじゃなかったの。

私の兄、ルシフェールも宇宙に行って、
新しい惑星を創ったの。
その惑星の名前はルシフェール。

おそらく、兄だけ、独りだけの惑星。
惑星アトランは、海の水に覆われているから、
太陽の光に照らされ、輝いているのに対して、
惑星ルシフェールは黒い霧に覆われていて、
その外見がハッキリしないの。

じゃ、ルシフェールは何のために
宇宙に行ったのかってことだけど、
地球を自分の支配下に置くという願望を
成就するためなの。

アトラン国が海の底に沈んだのに、
まだ、その願望だけは持ち続けているの。

地球を支配下に置くと言っても、
宇宙戦争を仕掛けようとしているワケじゃないの。
彼は、地球上にいる人々の思考や感情を
コントロールしているのよ。

競い合い、いがみ合い、奪い合い、
憎しみ合うことを促しているの。

その思考や感情によって、
地球上では戦争が絶えないし、
食料不足や水不足、民族紛争、
それに疫病の流行も起こったし、
今も起こり続けている。
人も本当は、愛のエネルギー体であるはずなのに、
忘れ去られてしまっている。悲しいわね。

私たちは、ずっとルシフェールに対抗して、
人々に愛のエネルギー体であることを
思い出してもらえるように努めてきた。
でも、エネルギーを届けるだけでは難しくて、
どんどんルシフェールに
押されている状態が続いて今に至っているの。

人って、ネガティブなことほど受け容れやすいのね。
そういう歴史を紡いできてしまったせいなんだと思うけど。
だから、ルシフェールが送る
愛の対極にあるエネルギーの方が定着しやすいの。

本当はね、ミウを煩わせたくなかったから、
ミウの力を借りずにルシフェールの力を弱めようと思ったし、
弱められるって信じていたのよ。

でも、ポセイドン王が正しかった。
目に見えないエネルギーだけでは、
どうにもならなかった。

やっぱり、地球で生きて、
直接的に人々に影響を与える存在が
必要だということを思い知らされたわ」

「それが今で、私なの?」

「そうよ。
地球は、宇宙からたくさんの影響を受けているのね。
気づいていないかもしれないけど、
人々の感情や思考に宇宙のエネルギーは働きかけてきたの。

少し前に木星と土星が水瓶座で重なったこと、
それによって時代の変革が促されるほどの
大きな転換期を地球が迎えたことは知っているかしら?
水瓶座は、風のエレメントに属する星座だから、
地球では【風の時代の到来】と言われているけど、
知ってる?」

「詳しくは知らないけど、
グレートコンジャンクションとか、
風の時代がやって来たっていう話は
聞いたことがあるかな。

でも、私には関係ないって思ってたし、
よく分かんないけどね。

風の時代を迎えたことと
アトランティーナが私のところに来たことは
関係があるの?」

「そう、大アリなのよ!
風の時代を迎える前は、
地の時代と呼ばれていて、
物質的なことに重きが置かれた時代だったの。

だから、ルシフェールにとって、
好都合な時代だったのね。
エゴは、物質主義と繋がっているから。

もちろん、私たちが地球から宇宙に行ってから、
時代は幾度も変わったし、
過去にも風の時代を迎えたことがあった。

その時もポセイドン王のサインで、
私たちは動き出したけど、
エゴのエネルギーの方が強くて、
愛のエネルギーが地球に定着することはなかった。

もちろん、私たちもやり方を変えてはみたけど・・・。
やっぱりエネルギーだけでは
上手く伝えることが出来なかったの。

アトラン国が海の底に沈んでいく中、
私たちが水柱で宇宙に運ばれる時、
ミウはルナではなく、セントロ・ソルに居て、
しかも私の傍に居たの。

だから私は、ミウの手を掴んでいた。
ミウも私と同じ考えを持っていたの。
自分だけのためではなく、
国全体、地球全体のことを考えていたのね。

だから、これからも一緒に地球の未来のために
動いていくために、ミウも連れて行きたかった。

でも、ポセイドン王に手を離されてしまったの。
ミウは、時が満ちた時、再び肉体を持ち、
この地球上で私たちの意図を実現させる役割があるからって・・・。

それでミウは、海の底に沈んで命を落としたの。
再び、この地球上で肉体を持つために・・・。

目に見えないエネルギーだけでは、
愛を定着させることが出来ないと
ポセイドン王は考えていて、
その役割を担うのはミウが相応しいと
ポセイドン王が選んだのよ。

もちろん、ミウの同意も得たわ。
時が満ちた時、力を貸してくれるとミウが同意して、
宇宙会議の時に今の時代が選ばれて生まれて来たのよ。
もちろん、覚えていないと思うけど」

「私の同意って何?同意した覚えなんてないけど・・・」

「人は、生まれる前、どんな人と出会うのか、
何をするのか、大まかな人生のアウトラインを決めるのよ。
もちろん、生まれて来た時には全て忘れている状態なんだけどね」

「えっ、なんで?覚えていた方が
効率良く進められて良いと思うんだけど・・・」

「覚えていると混乱してしまうからよ」

「でも、忘れてたら、実際、決めたことが
出来ないまま人生を終えてしまうこともあるでしょ?
なんか非効率な気がするんですけど・・・」

「そうね、でも不思議なことに人は
誰でも生まれる前に決めていたことを
成し遂げるものなのよ。

もちろん、その度合いはまちまちではあるけど・・・。
それに、あまりに道が違ってしまった場合には、
宇宙が軌道修正を促すこともあるの。

今回のミウもそうだったでしょ?
だから、決めてきた人生の道を
大きく外れることはないのよ」

「私の役割は、地球に愛のエネルギーを
定着させることなんだよね?

でも、そもそも愛って何?
まだ、ハッキリとは見えてないんだけど、
それでも大丈夫なんだよね?」

「もちろんよ!そのために私が居るんじゃない。
それに少しずつ気づき始めているしね。
ま、明日の朝、目覚めた時からミウの新しい人生が
幕を開けるから楽しみにしててね♪」

「どういうこと?」

「今までミウは、私のことを知らなかったけど、
今は知っているわよね?

そして、これから少しずつアトラン国で過ごしたこと、
そこでミウが何を考え、何をしていたのかも思い出していくわ。
思い出していくにつれ、ミウが自分自身に抱いている想いとか、
考えが変わっていくはずよ。
少し時間はかかるかもしれないけど。

例えば、今は自分には何の取り柄もなくて、
何も出来なくて、役割を果たせるかどうか、
不安に感じているでしょ?
でも、そのうちミウは自分の価値や可能性に
気がつくようになる。

それによって、どんなことでも不可能なことなんてない、
自分に出来ないことなんてないって思うようになるわ。
それは、高飛車になるとか、高慢になるということではないの。
ただ、自分に対する認識や価値が正しく修正されていくということ。
そうして、正しく修正されることで、ミウは自信を持てるようになるわ。
ステキなことでしょ?」

「よく分かんないや。
でも、確かに今の私は、自分にはそんなに価値があるとは
思えないかな。
だからかもしれないけど、自信もない・・・。
それが修正されるだけでも何かが変わるんだろうなとは思う」

「そうなのよ!良い調子ね。さすがミウ!飲み込みが早いわ」

「でも、どうやったら、そうなれるのかは分からないけどね(苦笑)」

「大丈夫。私がいつも傍に居るから。
もちろん、今は、おぼろげかもしれないけど、
なんとなく私が見えているでしょ?

でも、この部屋以外では、私の姿は見えなくなる。
でも、気配くらいは感じるかもしれないけど・・・。

ミウが困った時、どうしたら良いのか分からない時、
私がミウをサポートするわ。
少し前、自分の声かどうか分からない声が聞こえたり、
自分の考えかどうか分からないけど、
ヒントが浮かんだりしたでしょ?

あんな感じのことが、これから頻繁に起こるってこと。
もちろん、ミウは無視することも出来るわ。
強制はしないから」

「無視なんてしないよ!
だって、そのお陰で、どんどん良いことが起こったし、
色々なことに気づけたんだもん。感謝してる。

それが、毎日になったら、私も変われるって思うし、
今からめっちゃ楽しみだよ!
でも・・・アトランティーナが傍に
居てくれてるってことを忘れちゃいそう(汗)」

「そうよね(苦笑)
そのためにローズクォーツと出会ってもらったのよ♪
傍に居るって言われても慣れないと信じられないでしょ?
でも、身に着けているものなら、
そこにあるわけだから忘れても思い出すわよね?」

「このローズクォーツとアトランティーナには、どんな関係があるの?」

「そのローズクォーツは、
元々アトラン国のヴェヌスで採られた石なの。

アトラン国の王は、海の神ポセイドンだって話は覚えてるわよね?
ポセイドン王の人脈?っていうか、神さまだから神脈かしら?
そのお陰で、アトラン国は神々の恩恵を頂いた国だったの。

それで、ヴェヌスは女神アフロディーテの恩恵を頂いていたのね。
女神アフロディーテは、ヴィーナスとも呼ばれているわ。
ヴェヌスという島の名前は、ヴィーナスと同じ意味を持つのよ。

だから、そのローズクォーツには、
女神アフロディーテのエネルギーが流れ込んでいるの。

でも、長い年月の中で、そのエネルギーが
弱まってしまっていたから、
私がチャージして、本来の力を取り戻してもらったのよ。

石は、エネルギーが伝播しやすいのね。
例えば、自信が持てなくて、
いつもクヨクヨしている人の傍に居た石が
他の人の元に行ったとするでしょ。
そうすると、その他の人もその石を見る度、
持つ度、自信を失って、
クヨクヨするようになってしまうってことが起こるのよ。

そのローズクォーツもたくさんの人の手に触れて、
たくさんの人と接してきた。

その全ての人たちが前向きなエネルギーを
持っていたワケじゃないし、みんながみんな、
そのローズクォーツを丁寧に扱ったワケでもなかった。
そうしているうちに、本来、持っていたエネルギーが
損なわれてしまって、石が疲れてしまうのよ。

疲れた時、ミウも思い通りの力を発揮できないでしょ?
それは、石も同じなの。

ミウは疲れた時、どうする?
身体を休めたり、好きな音楽を聞いたり、
気分が落ち着く香りを嗅いだり、リラックスすることを
促してくれるお茶を飲んだりするでしょ?

石も同じで、石に溜まった疲れを取り除いて、
その後、エネルギーをチャージして、
本来の力を取り戻す必要があるの。

見て、石がキラキラして透明度が増しているでしょ?
その状態がエネルギーMAXだから、
今の状態を覚えておいてね。

ミウの心と身体が疲れた時、
ローズクォーツを見てみると良いわ。
今みたいにキラキラしないし、
濁って見えるはずよ。

そうなった時は、石を休ませてあげなきゃいけないの。
石を休ませて、エネルギーをキレイにしてから、
エネルギーをチャージするんだけど・・・。

今はまだ、分からないと思うから、
その時が来た時にまた話すわね」

「う~ん、このローズクォーツは、
アトランティーナというよりも
女神ヴィーナスとの関係が深いってこと?

アトランティーナは、エネルギーをキレイにして、
チャージしただけってこと?

えーっと・・・。
それだとこのローズクォーツを着けていても
アトランティーナを思い出せないかもしれないんじゃない?」

「そのローズクォーツを私の分身だと思って欲しいの。
確かに流れているエネルギーは、
女神アフロディーテ、ヴィーナスのエネルギーだけど、
私が居たセントロ・ソルでは、
全ての島のクリスタルを統合していたから、
ヴェヌスで採れたローズクォーツも無関係ではないってこと。

そして、エネルギー調整をしていたのも、
今現在、しているのも私。
だから、私の分身と言っても間違いじゃないってことなのよ」

「ふ~ん・・・よく分かんないけど、
このローズクォーツは、アトランティーナの分身なんだね。
分かった!アトランティーナが私の傍に居るために
ローズクォーツに姿を変えているって思えば良いんだ!
違うかなぁ・・・」

「ミウが、そう思うのが分かりやすいのなら、
それで良いと思う。
たくさん話したから、全部は理解できないと思うけど、
少しずつ前に進んで行きましょう。
今夜は、ゆっくり休んでね。おやすみなさい」

フッと電気が消えたように部屋が暗くなったような気がした。
『アトランティーナは光ってたんだなぁ・・・』
って思ったような気がしたけど、すぐに深い眠りに落ちていった。

<次回へ続く>
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